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名古屋発の2大アイドルが合体したシャチフレ。「自分たちそのもの」な影とプライドを歌う【後編】

斉藤貴志芸能ライター/編集者
左からHONOKA、MIYO、NAO、HINANO(ゼスト提供)

名古屋発で活動するアイドルグループ、TEAM SHACHIとカミングフレーバー(SKE48)が合体して、コラボユニット・シャチフレを結成。HONOKA(秋本帆華)とNAO(咲良菜緒)、MIYO(野村実代)とHINANO(青海ひな乃)の4人によるロングインタビュー後編は、シングル『I’s PRIDE』について。アイドルの輝きの裏の影、そして譲れないプライドを歌ったリアルな1曲となっている。

シャチフレインタビュー前編はこちら

悩みを抱え込んでいる人たちに届けられたら

――『I’s PRIDE』にはアイドルの光と影が歌われていますが、共感どころは多いですか?

HINANO もちろんです。アイドルの世界はキラキラしていて、いろいろなことに挑戦できて素敵ですけど、その裏では思い通りにいかないこと、しんどいことも多くて。それはアイドルだけでなく、普通に生活していれば誰にもあると思うんです。だけど気づいてもらえなかったり、表に出せず1人で抱え込んでしまう人は、きっとたくさんいて。私たちはアイドルだからこそ、それを曲として歌える。悩んでいる人たちにまっすぐ届けられる歌なので、そういう人たちの背中を押せたらいいなと思います。

NAO 同じアイドルちゃんたちに、聴いてほしい想いもあります。それぞれの道を歩んできたグループ同士だから、こういう大きなテーマを歌うことが可能になって。シャチフレをやる意味はそこにあるかなと思います。

――コラボを発表した生配信で、MIYOさんから「朝起きたらエゴサをする」という話がありました。ファンの方からの嬉しいコメントがほとんどかと思いますが、詞にある<顔の見えない心ない声>も目にしますか?

MIYO イヤでも目に入ってきます。でも、「私のことを目に留めてくれて、ありがとう」という気持ちになれます。自分がドMということもあると思いますけど(笑)。

HINANO SKE48はドMでないと、やっていけないんです(笑)。

MIYO 歴が長いほどドM(笑)。

HINANO ダンスもキツすぎてしんどいけど、そこで私たちは自分を追い込むのを楽しむんです(笑)。

NAO へーっ。

HINANO だから、(斉藤)真木子さんはヤバいドMです(笑)。でないと、あんなに長くやれません。

(C)2023 Zest, Inc./ STARDUST PROMOTION, INC.
(C)2023 Zest, Inc./ STARDUST PROMOTION, INC.

裏の顔を見せて、さらに好きになってほしい

MIYO 初めてこの曲のデモを聴いたとき、私そのものだと思いました。自分が書いた歌詞でもないし、こういう曲を作ってほしいと頼んだわけでもないのに、見透かされているような気持ちになりました。私はアイドルとしてのプライドがすごく高いんです。それは滲み出ていたかもしれませんけど、言葉で表したことはなかったのが、この曲でファンの人にも届くかなと思います。

――<オイテカレテク>や<キラワレタクナイ>も、実際に思うことですか?

MIYO ありますね。私は見た目は気が強そうですけど、実は気にしぃで人一倍泣きます。ふと我に返ったとき、涙がバーッと出てきたり。そんな裏の顔を見せて、さらに好きになってほしいと思って歌いました。

HONOKA 最初から最後まで、アイドルをやっていたら絶対刺さる歌詞です。レコーディングするとき、自分にとってアイドルとは何なのか、今一度考えてみる時間を設けていただきました。そこで自分の中で出てきた答えが、みんなを笑顔にすること。さらに、なぜ笑顔にさせるのか、自分も笑顔でいなきゃいけないのかを考えたら、<夢は決して捨ててはいけない>と歌詞にあって。「そうだ。私たちには夢があるんだ」と改めて気づけた曲です。

――<泣いて喚いてどうしようもない夜>もありつつ?

HONOKA TEAM SHACHIは“ポジティブグループ”を掲げているので、ステージでこういうことは言ってませんでした。でも、悔しいことも苦しいことも、もちろんあって。シャチフレだからこそ、やっとアイドルのプライドを歌えると思いました。

NAO 年は取るし、時代も変わる。同じグループをやっていても、求められるものも変わっていく。どうしたらいいのか悩んで、ふと「このままでいいかな」と考えてしまうこともあります。でも、「夢は決して捨てない」というマインドだけは、絶対に忘れたらいけない。逆に、この気持ちがある限り、アイドルを続けられる。プライドがあるか、ないかが一番大事だと気づかされました。

カミングフレーバー (C)2021 Zest, Inc.
カミングフレーバー (C)2021 Zest, Inc.

MVではお互いを探り探りで

――プラネタリウムで撮影したMVでは、それぞれのグループではやらなかったこともしました?

HONOKA サビの振りは歌詞をストレートに伝えて、手話をダンスチックにした感じになっていて。それはやったことがなかったです。

NAO 伝えることを本当に考えている曲なので。リップシーンは今回、カミフレちゃんのメンバーとシャチのメンバーと2人で歌うところが多いんです。そのときの手振りとかをどうするか、すごく考えました。

HINANO こっちもです! お互いどんな感じでやるのか、探り探りでした。

NAO 私とHINANOちゃんで撮ったよね。フリーのところは個性が出るし、グループごとの表現があるのか気になって。でも、映像を観たら、私たちは意外と同じ動きをしていました。

MIYO 私はYUZUKI(大黒柚姫)ちゃんと撮っていたら、YUZUKIちゃんが激しすぎて「抑えられますか」と注文が入って(笑)。「そんなにやっていたんだ」と思って、私も頑張って動きました。

HONOKA シャチは4人だから、必ず自分が映る番が回ってきますけど、シャチフレで10人で引きになったとき、「目立たないといけない」と思って。しっかり手を上げたり、「歌ってます」とアピールすることを考えました。

HINANO 私たちはいつも、そればかり考えています(笑)。どうやったら、見てもらえるか。

HONOKA 最初からそういう意識を持っているのがすごいよ。

HINANO 無意識でしたけどね。

かわいいパートを歌えて姫気分でした(笑)

――『超・ワルプルギス』のほうは賑やかで展開が目まぐるしい曲ですが、パート割りは最初から決まっていたんですか?

HINANO 全部歌ってみて、パートごとに一番合うメンバーを選んでもらいました。

NAO 私はシャチの楽曲だと、強気なパートが多いんです。

HONOKA 力強い歌声だからね。

NAO かわいらしい部分を歌うことはほぼなくて、だいたいHONOKAになるんですけど、今回は<花の園にご招待>という何ともかわいいところを歌わせてもらって。ここだけは姫気分でした(笑)。

HINANO かわいいです!

NAO TEAM SHACHIバージョンになるとパートが変わって、脱落しましたけど(笑)。

――ラップをやりたい、とかはありませんでした?

NAO <PohPohPoh!!>は言いたかったです。

HINANO 私はそこはイヤで。

NAO そうなの?

HONOKA 一番ラップをやってそうなのに(笑)。

HINANO おふざけならイケますけど、<炎のゾーンへようこそ>からのかわいいところなので、めちゃ難しくて。私は<唄を奏でる軌跡>のところが歌えて良かったです。この曲は元気で“遊ぼう!”って感じなのに、このパートだけ急に眠くなるような落ち着いたメロディになるから、ギャップを見せられました。

MIYO 私のパートでは、<夜空に光る>のところの振付がすごくて。私が一番後ろにいて、みんなが道を作ってくれるんです。急に道が開くので、すごく感動します。

3歳児っぽく歌ったのがたくさん使われてます(笑)

HONOKA 私はひと通りノーマルHONOKAで録ったあと、「じゃあ、3歳児っぽく歌ってみて」と言われたんですね(笑)。その3歳児がいろいろなところで使われています。<ドールのゾーンへようこそ>とか、TEAM SHACHIバージョンの<星達の世界>とか。

NAO そこは急に声が変わって「えっ、誰?」となります(笑)。

MIYO めっちゃ聴きたくなる。

HONOKA その辺は台詞も全部、3歳児です。

――3歳児っぽく歌うのは、難しいことではありませんでした?

HONOKA 初めてやりましたけど、何が正解かわからないので(笑)、悩まずに歌いました。

HINANO 私はHONOKAさんの「めちゃくちゃ早い…」という台詞が好き。もう、かわいいんですよ~。私たちは踊りながら、そこだけ耳を澄ませてます。

HONOKA でも、あそこは3歳児ではないから(笑)。

NAO そこが難しいよね。私たちもたまにカン違いしちゃう。

HINANO 何が違うのか? 聴き比べないといけない(笑)。

HONOKA 私の中ではノーマルと3歳児を混ぜています。

――ガヤや笑い声も味が出てます。

HINANO ガヤは10人全員で録って、楽しかったです。

HONOKA HINANOちゃんのグループはうるさかったな~(笑)。

NAO HINANOちゃんとHARUNAと私で。

HINANO 使われてはいないんですけど、ずっとふざけていました(笑)。はるっぴが出ているラジオの『推シマシ』のネタをガヤで入れて、「酒井さーん!」ってパーソナリティの方の名前を叫んだり(笑)。

NAO 絶対使われない(笑)。

HINANO 勝手に盛り上がっていました(笑)。

点と点から線になって可能性が広がります

――シャチフレでは地元・愛知の盛り上げもしていきますか?

HINANO もちろんです。SKE48もTEAM SHACHIさんも名古屋から同じ目標を掲げていて、ふたつのグループが重なったことで、違う入口を作れると思います。素敵な曲もいただけて、愛知はもちろん、全国へ、世界へ、どんどん広げられたらいいなと。

MIYO カミフレだけでは届けられないところへも、シャチさんと一緒なら届けられる。巻き込める人数が多いので、それをさらに増やしていくのが私たちの目標かなと思います。

HONOKA それぞれ活動してきて点と点だったのが、線になって可能性が広がりました。「コラボしているなら、ちょっと見に行こうか」と、この曲に出会ってくれたら嬉しいです。

――愛知はアイドル熱は高いんですよね?

HONOKA アイドル文化はありますね。

MIYO 名古屋に引き込む力はめちゃくちゃ強いと思います。「MIYOちゃんにもっと会いたくて、関東から引っ越してきた」というファンの方がいらっしゃったり。そうやって推してくれる人に幸せをあげたいです。

――シャチフレの活動は5月のライブまで決まっていますが、その間に皆さんの仲もより深まりそうですか?

HINANO こんなチャンスは二度とないかもしれないから、裏でも楽しみたいです。

HONOKA ごはんに行こうね。

HINANO 人数が多いから、全員で動くにはバスが必要なんです。だから、できれば番組とかで行きたい(笑)。

NAO 仕事として組んでもらいたい(笑)。焼肉がいいね。

HONOKA そうしよう!

HINANO 今、肉に決まりました(笑)。

『I’s PRIDE』

3月1日発売

通常盤 CD+生写真1枚(全10種) 2000円(税込)
通常盤 CD+生写真1枚(全10種) 2000円(税込)

@Loppi・HMV限定盤 CD+生写真1枚(全10種) 2000円(税込)
@Loppi・HMV限定盤 CD+生写真1枚(全10種) 2000円(税込)

シャチフレライブ

3月1日(水) 「 dot yell fes 2 周年 SP 」出演 KT Zepp Yokohama

4月20日(木) 名古屋 DIAMOND HALL

5月18日(木) 新宿 BLAZE

シャチフレSPECIALサイト

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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