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『貞子DX』でホラーに初挑戦の小芝風花。25歳になって生活スタイルを変えた理由は?

斉藤貴志芸能ライター/編集者
撮影/松下茜

世界的ホラーアイコン・貞子の恐怖を描く最新作『貞子DX』で小芝風花が主演している。IQ200の天才大学院生の役で、ビデオを観ると24時間後に突然死するという呪いに立ち向かう。ホラーは初挑戦。ドラマ『霊媒探偵・城塚翡翠』もスタートし、相変わらず出演作が絶えない中で、今年25歳になって生活に変化もあったという。

『リング』を観てトイレに行けなくなりました(笑)

――ホラーは苦手なんでしたっけ?

小芝 どちらかというと苦手ですけど、怖がりの見たがりです(笑)。家族がホラーを好きで、よくDVDを借りてきては、目を覆いながら観ていました(笑)。

――貞子が登場する『リング』も観たんですか?

小芝 観ました。めちゃくちゃ怖かったです。小学校低学年の頃、『着信アリ』とかも流行って、観ては夜にトイレに行けなくなって、母を起こしていて(笑)。しばらくトラウマになりましたね。

――『貞子DX』に出演することになって、改めて『リング』を観たりも?

小芝 観てないです。怖いから(笑)。

――大人になっても(笑)。

小芝 大人になってからのほうが、ホラーを観なくなりました。小さい頃は1人で部屋にいられなくて、母と一緒に観ていましたけど、今は想像力がより豊かになった分、もっと怖い気がします。

――『貞子DX』で小芝さんが演じた文華が「怖いものはないの?」と聞かれるシーンがありました。

小芝 私は怖いものばかりです(笑)。幽霊もイヤだし、虫もイヤ。道を歩いていると、すごくフラフラしている人や、電話でめっちゃ怒鳴っている人も怖いです(笑)。

現場に塩を持って行こうと思ったら何も起きなくて

――科学で解明できない怖い経験はありますか?

小芝 私に霊感はないので、危ないかもと思ったことはないですね。

――『貞子DX』の夜の神社も大丈夫でしたか。

小芝 ホラーを撮ると何かあるというじゃないですか。撮影が始まる前は「塩を持っていったほうがいいかな」と思っていたんですけど、まったく誰にも何も起こりませんでした(笑)。廃病院での撮影とかはなかったから、現場も怖い雰囲気というより、雑談しながら楽しくやっていました。

――カメラが回ったら切り替えて。

小芝 貞子が井戸から出てくるシーンは怖かったです。這って出てきて、バタンと地面に落ちて、向かってくる動きがもうリアルすぎて!

――ホラーならではの演技はありました?

小芝 今回はあまりなかったです。逃げ回るような役柄ではなくて、科学的に真っ向勝負をしていたので、役とシーンに合わせて演じるだけでした。

クイズ番組の東大生の方をイメージしました

――文華はIQ200の天才大学院生。呪いをウイルスとして説明する台詞もあります。

小芝 パッと理解できたわけでなくて、結構早口で説明するので、噛まないか心配でした(笑)。

――学生時代は理科系の勉強は?

小芝 めっちゃ嫌いでした(笑)。私は台詞を覚えるのも得意で、暗記系はわりと大丈夫でしたけど、方程式とか計算しないといけない応用問題は苦手でしたね。

――文華の天才ぶりを出すために、イメージしたこともありました?

小芝 賢い人=クールみたいなイメージで、感情を顔に出さない目のお芝居がありつつ、ちょっと意識したのは、東大生の方がクイズ番組に出られていますよね。

――『東大王』とか。

小芝 表情はそれほど変わらないけど、若干かわいらしさを感じるんです。文華もテレビに出演しているから、ああいうクイズ番組の東大生の方の雰囲気を出せたらいいなと思っていました。

――なるほど。クール一辺倒ではなくて。

小芝 台本を読んだときは強くて淡々とした印象で、一見冷たく見えそうに思ったんです。でも、現場で木村(ひさし)監督から追加されることが、台詞も含めてポップなもので、台本よりも人間味や親しみやすさが足されていく感覚でした。そのギャップに悩みながら撮影していた感じです。

クスッとしたりピリッとしたり緩急があって

――『99.9』シリーズなどを手掛けた木村監督から、どんなことが現場で追加されたんですか?

小芝 ツイッターを見ながら「なんつって」という台詞が足されたり(笑)。それまで撮影した文華像で、どういうふうに言ったら「なんつって」が成立するのか。監督がお手本を見せてくれたのを信じてやるしかなかったんですけど、「この役を掴めた」みたいな感覚は最後までなくて。完成したものを観るまではずっと不安がありました。

――完成したら、結果的にいい感じになったようですね。

小芝 安心しました。占い師で自称・王子様の王司との掛け合いでクスッと笑えるところもありながら、貞子が出てきてピリッとしたり、緩急があって。監督を信じて良かったです。

(C)2022『貞子DX』製作委員会
(C)2022『貞子DX』製作委員会

現場で急に「このポーズをやって」と言われて

――文華は両耳の後ろをグリグリするのが、決めポーズになっていました。

小芝 あれも現場で監督に言われたんです。

――そうなんですか? メインヴィジュアルにも使われている動きなのに。

小芝 台本には全然書いてなくて、急に言われてやりました。謎を解くときにツボを押して血流を良くして、いろいろな出来事を思い出したり計算したりするんですけど、私は最初、冗談かと思ったんです(笑)。監督に「こんなふうに」と言われて、「何をしているんですか?」と聞いたら、「いや、これをしてください」という話になって。

――大事な場面で真顔でやっていました。

小芝 そうなんです。しかも、角度とかスピードとか、監督の細かいこだわりがあって。「ちょっと速すぎる」「ゆっくりすぎる」と言われながら、多めのカット数を撮りました。

――本当に台本からの変遷があったんですね。

小芝 ホラーという意識と、掛け合いのポップさと、演出の面白さ。そのバランスをどう保てばいいか。ポップに寄りすぎると、ビデオを観てからのタイムリミットが24時間に縮まった緊張感が損なわれるし、そっちに寄りすぎても掛け合いがやりにくい。そこがすごく難しかったです。

(C)2022『貞子DX』製作委員会
(C)2022『貞子DX』製作委員会

10代の頃と違うので体のケアをしっかりしないと

――タイムリミットが迫る中で、文華が「1日のリズムは大切ですから」と、ピーマンたっぷりナポリタンを食べる場面がありました。

小芝 ピーマンはよけるんですけどね(笑)。

――小芝さんも1日のリズムの中で、日課的にやっていることもありますか?

小芝 最近、変わってきました。昔は朝9時か10時まで寝ていたのが、アラームを掛けてなくても、8時ごろに目が覚めるようになって。まだ体が眠くても、二度寝ができなくなったんです。それと朝はプロテインを飲んで、この2ヵ月くらいは、お休みの日は頑張ってジムに通っています。

――それは何を目指して?

小芝 20代後半に入って、体が10代の頃と違って、ケアしないといけなくなりました。人前に出るお仕事をさせていただいているので、ちょっと引き締めて、きれいになりたくて。

――今でも十分すぎるくらい、おきれいですけど。

小芝 いやいや、お肉がちょっと付いてくるとか、シミができやすくなるとか、いろいろあるんです(笑)。だから、ケアをしっかりしたくて。まだメンテナンスの方法を勉強している段階ですけど、自分に手を掛けてあげないといけないなと。

――二度寝ができなくなったのは、何か関係があるんですか?

小芝 わからないんですよね。でも、ダラダラ寝なくなったので、健康的な生活にはなっていると思います。寝たい願望はあって体と気持ちがチグハグな感じで、夜も熟睡できない時期があるので、睡眠の質も上げていきたいです。

急にファッション系の撮影が来てもいいように

――『貞子DX』では走って逃げたり、階段を駆け上がるシーンもありました。

小芝 キツかったです(笑)。だから、ジムで鍛えています。通い始めたのは1年半くらい前からで、きっかけは階段で息切れしたことでした(笑)。この年でこの状態だと、将来、自分の脚で歩けなくなるんじゃないかと思って、基礎体力くらいは上げておこうと。

――確かに、階段で息切れするには早い年齢ですね(笑)。

小芝 年齢を重ねる中で、急にノースリーブを着ることになったとき、プニプニしていたらイヤだなというのもあって。ファッション系のスチールのお仕事が前より増えていて、すごく嬉しいことだから、いつ撮影してもいいようにちゃんとしておこうと意識しています。

――夜寝る前とかに、必ずすることもありますか?

小芝 ルーティンみたいなものはないですけど、パックは最近毎日するようになりました。化粧水や美容液のことも勉強中です。保湿力のあるもの、鎮静効果のあるものとか、肌の状態に合わせて使いたくて。動画を観たり口コミを探したりして、美容を頑張ろうと思っているところです。

第一歩を踏み出すのが目標でいろいろ体験してます

――ドラマ『霊媒探偵・城塚翡翠』もスタートしました。清原果耶さんが演じる主人公・翡翠のアシスタントでお姉さん的存在の千和崎真役。

小芝 翡翠が一番信頼を置いていて近しい役なので、しっかりサポートするお姉さんを演じられたらと。

――料理や家事が得意という設定ですが、その辺、小芝さん自身はどうですか?

小芝 何でも作れるわけではないですけど、普通にします。お料理はレシピを見ながら作って、掃除はこまめにやるタイプでなくて、やるとなったら全部やります。「今日は掃除をしよう」とスイッチが入ったら、隅から隅まできれいにして、引き出しも全部ひっくり返して中を入れ直したり。そこまでやったら、しばらくは何もしません(笑)。

――忙しい中でインプットのためにしていることもありますか?

小芝 今年の目標が「第一歩を踏み出す」なんです。いつもやってみたいことはあっても、最初の一歩が難しかったので。まだ1回だけですけど乗馬に行ったり、ジムを今までと違うところに変えたり、ボイストレーニングをしたりしました。さっきお話しした美容もそうで、整体にも行きました。1回体験してから続けるか決めたくて、いろいろ模索しているところです。

映画のために練習したタップを続けます

――二歩目に行くものも見つかりました?

小芝 全部いいなと思いました。乗馬はできる場所が遠くて、なかなか通えないんですけど、ただ馬に乗るだけではなく、走れるようになりたくて。インストラクターの方が馬に乗って走っているのが、めちゃめちゃカッコ良かったんです。あと、今年は(来年公開の)『Lady Kaga』のためにタップを練習したんですね。9ヵ月くらいやって、ここまでできるようになったからには趣味にしたくて、習い続けようと思っています。

――プライベートも充実しそうですね。

小芝 この秋は泊りでキャンプに行きたくて。夏にデイキャンプには行ったんですけど。

――インスタに写真が上がっていました。

小芝 我が家はキャンプ好きなんですけど、暑いのも寒いのもイヤだから、春か秋にしかしないんです。今年の夏は数年ぶりに川遊びに行って、久しぶりに水着も着て、すごく楽しかったです。ただ、泊りでないと母は運転するからお酒を飲めないし、飲めない人の前で私も飲みたくなくて。秋は食べ物もおいしいし、たき火もして、ごはんを食べながら飲みたいので、泊りでゆっくりしたいですね。

撮影/松下茜

Profile

小芝風花(こしば・ふうか)

1997年4月16日生まれ、大阪府出身。

「ガールズオーディション2011」でグランプリ。2012年にドラマ『息もできない夏』で女優デビュー。2014年に『魔女の宅急便』で映画デビューして初主演。主な出演作は、ドラマ『あさが来た』、『トクサツガガガ』、『美食探偵 明智五郎』、『妖怪シェアハウス』、『彼女はキレイだった』、映画『天使のいる図書館』、『文福茶釜』、『妖怪シェアハウス―白馬の王子様じゃないん怪―』、舞台『オーランドー』ほか。ドラマ『霊媒探偵・城塚翡翠』(日本テレビ系)に出演中。10月28日公開の映画『貞子DX』、2023年秋公開予定の『Lady Kaga』に主演。

『貞子DX』

監督/木村ひさし 脚本/高橋悠也

出演/小芝風花、川村壱馬(THE RAMPAGE)、黒羽麻璃央、八木優希、渡辺裕之、西田尚美、池内博之ほか

配給/KADOKAWA

10月28日より全国ロードショー

公式HP

“呪いのビデオ”を観た人が24時間後に突然死する事件が全国で発生。IQ200の天才大学院生・一条文華(小芝風花)はテレビ番組で共演した霊媒師のKenshin(池内博之)から事件の解明を挑まれる。妹の双葉(八木優希)がビデオを観てしまい、文華は自称占い師の前田王司(川村壱馬)、謎の協力者・感電ロイド(黒羽麻璃央)と共に奔走する。

(C)2022『貞子DX』製作委員会
(C)2022『貞子DX』製作委員会

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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