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泉里香の振り切りスイッチの入れ方は? 完璧美女イメージを覆す恋愛レベルが小6の主演ドラマがスタート

斉藤貴志芸能ライター/編集者
テレビ東京提供

泉里香の初主演ドラマの続編『高嶺のハナさん2』がスタートした。会社では有能で一目置かれるエリート美女ながら、恋愛スキルは小学6年生止まりという役柄。前作から、まさに高嶺の花イメージの泉の全力のコメディ演技が話題を呼んでいた。今回もいっそう振り切っていくという。

今までにない、いろいろな顔の動きをしました(笑)

――『高嶺のハナさん』では前作から、泉さんの怒り顔やトロけ顔まで、表情の変化が楽しいです。

 今までのドラマにないくらい、いろいろな顔の動きをしました(笑)。自分の中で振り切ってやろうと決めていて、現場でのアドリブも多くて。監督さんやカメラマンさんからもアイデアをいただいて、一緒に作り上げていきました。

――最初から振り切れた感じでした?

 簡単ではなかったですね。華さんのキャラクターを掴むまで、前半はいろいろ挑戦しながら、ここはもっと表現しよう、ここは抑えよう、よりギャップを付けよう……とか話し合いました。

――高速まばたきとか、練習もしたんですか?

 現場で弱木くんとかキャラクターと関わることによって心が動いたのを、どう顔で表現するか、でした。体をいろいろ反応させるのを楽しんでいました。

衣装を着てメイクをしたらギアが上がって

――華のスイッチを入れるために、何かしたりも?

 自分とギャップがありすぎるので、現場に入ってギアを入れています。衣装を着て、メイクをして、鏡に映るハナさんを確認したら、スイッチが入る感覚です。あと、セリフで「弱木!」と言うとギアが上ります(笑)。

――会社で弱木が出した企画書をビリビリ破いて放り投げるシーンも、そんなノリで?

 破った紙が花吹雪のようにきれいに舞うのは、カメラで撮ると難しかったので、何度か撮影を繰り返しました。

――前作では、弱木にコーラをぶっかけられるシーンもありました。

 弱木役の小越(勇輝)さんに「思い切りお願いします」と言ったら、うまく命中しましたね。いいシーンが撮れました。でも、人生で初めてコーラの匂いが染み付きました(笑)。

DVDで自分を観てエネルギッシュだなと(笑)

ムラタコウジの人気コミックが原作の『高嶺のハナさん2』。菓子メーカーの商品企画部のエース社員で才色兼備の高嶺華(泉)は、年下のダメ社員・弱木強(小越勇輝)とピュアなおつき合いを始めたが、2人の恋愛レベルは小学6年生のままで進展しない。

――「2」をやることは早くから決まっていたんですか?

 現場では「やれたら楽しいね」という話はありましたけど、聞いたときは「本当に作るんだ!」とビックリしました。ご覧くださった皆さまのおかげだと思うので、感謝の気持ちでいっぱいです。

――すぐ華のモードには戻れました?

 前作のDVDや台本を見返して、気持ちを盛り上げました。イチ視聴者として観ると、本当に面白かったです。今まで観たことないようなラブコメで、楽しめました。

――自分の演技に笑った感じですか?

 そうですね。客観的に観て「エネルギッシュだな」と思いました(笑)。今回の撮影現場でも、笑いをこらえるのが大変です。テンションの振り幅が大きくて、どこまで表現できるか。監督と話し合いながら、ワンシーンずつ気を抜かずに追及しています。

――今回、華と弱木の恋愛レベルは小5から小6に上がったままだそうですが、自分のその頃も思い出しました?

 初めて好きな子ができたりする年ごろですよね。あまり覚えていませんが、素直に気持ちを伝えるのは難しかったかも。積極的に行くというより、華さんみたいに「好きだな。どうしよう?」くらいの感じだったと思います。

『高嶺のハナさん2』より
『高嶺のハナさん2』より

行くに行けない気持ちは私にもあります

――今回、弱木が華の家に行くシーンもありますが、泉さんの部屋はああいうファンシーな感じですか?

 近いところはあまりないかもしれません。華さんの部屋はぬいぐるみがたくさんあって、ピンクでお花もあったり、女の子らしくかわいくて。私の家はわりとシンプルで、正反対です。

――やっぱり泉さん自身には華と重なるところは少ないと。

 私も華さんみたいに行くに行けない気持ちは、いろいろなことに対してあります。オフィスでの華さんみたいに、ビシッと指針を決められたらと思っています。

――劇中では、会社で仕事中と家でウジウジしているときで、華のギャップが見ものになっていて。

 前作から1年が経過して、華さんはキャリアアップして、みんなをまとめる立場になっているので、オンのときはカッコいい上司の一面を見せたいですね。でも、恋愛になると変わらずピュアなので、そのギャップはより作れたらと思います。

『高嶺のハナさん2』より
『高嶺のハナさん2』より

幅広い表現をカメラの前でどう伝えるか

――泉さんは中学時代にデビューして、20代でモデルなどで人気を呼び、ドラマ出演も相次ぎました。自分の中では女優への意欲に変遷はありました?

 昔から、モデルも女優もチャンレンジしたいという気持ちで来ています。

――女優に興味を持った原点は何だったんですか?

 デビュー作の『美少女戦士セーラームーン』(実写版)が大きいですね。1年間撮影していて、キャストとスタッフが一丸となって、ひとつの作品を作る楽しさを教えていただいた気がします。

――経験してみて目指すようになったと。これまでの出演作で、自分の中で特に大きかったものというと?

 どの現場でも勉強になることばかりですが、やっぱり『高嶺のハナさん』は初主演だったので、すごく気合いを入れて取り組みました。表現の幅がすごく広くて、カメラの前でどうわかりやすく伝えるか。出力の仕方を学んで、成長できました。

――悩んだ作品もありますか?

 WOWOWの『密告はうたう』や『眼の壁』は経験なかった社会派ドラマで、難しい部分がすごくありました。重厚な作品でしたけど、私には新鮮で、体当たりで頑張りました。『眼の壁』はホステスの役で、所作も直接ホステスさんから教わったり、チークダンスのレッスンも受けました。人間的にも学ぶことが多くて、良い作品に出会えたと思っています。

――他の作品でも、その後の演技の指針になるようなことを学んだりは?

 WOWOWで出会った内片(輝)監督からは、お話を聞いたり、アドバイスをいただく中で、自分自身を見つめる時間が多かったです。自分に足りないものやお芝居とどう向き合うかを、考えさせられました。

『高嶺のハナさん2』より
『高嶺のハナさん2』より

映画を観るときは仕事と結び付けません

――『高嶺のハナさん』のようなコメディは観るのは好きですか?

 好きです。昔から洋画でも、楽しくなるラブコメをたくさん観ていました。『プリティ・ウーマン』のようなかわいらしい作品だったり、『高嶺のハナさん』の監督から「こういう動きがほしい」ということで、参考に薦められた映画もありました。

――コメディに限らず、映画やドラマはよく観るほうですか?

 趣味として観ています。最近はNETFLIXで韓国ドラマにハマっていて。良い作品が多くて楽しいです。

――韓国の役者さんは感情表現が豊かだと言われますよね。

 私はお仕事に結び付けて考えることはなくて。ただ観て、リラックスしています。

スパイの役をやってみたいです

――演じるうえでは、役柄によってやりやすさ、難しさはありますか?

 簡単な役はひとつもないですね。いつもちゃんと準備して、自分の力が発揮できるように頑張っています。

――セクシーでミステリアスな役はハマるのでは?

 そういう印象を持たれる方も多いと思います。でも、それは役であって私ではないので。そこだけにこだわらず、いろいろな役に出会いたいです。

――演じてみたい職業というと?

 スパイをやりたいです(笑)。もちろん作品の世界の中でしか知りませんが、自分とかけ離れた役のほうが楽しめる部分が多いので。

――目指す将来像はないですか?

 目標を決めて、それに向かって進むより、今はひとつひとつの仕事を積み重ねながら、進んでいった先に何かを見つけられたらと思っています。

――最後に、『高嶺のハナさん2』は土曜24時~の枠ですが、その時間は泉さんは何をしていることが多いですか?

 寝てます(笑)。『ハナさん』の放送日はリアルタイムで観ますが、基本的に早寝するタイプなので。

――美容のためにも?

 それもありますし、寝るのが本当に好きなので(笑)。趣味が睡眠で、8時間は確保したいんです。

Profile

泉里香(いずみ・りか)

1988年10月11日生まれ、京都府出身。

2003年にドラマ『美少女戦士セーラームーン』で女優デビュー。主な出演作はドラマ『海月姫』、『隕石家族』、『密告はうたう 警視庁監察ファイル』、『正直不動産』、『眼の壁』、映画『春待つ僕ら』、『記憶屋』、『まともじゃないのは君も一緒』など。『Oggi』専属モデル。

真夜中ドラマ『高嶺のハナさん2』

BSテレ東/土曜24:00~ テレビ大阪/土曜25:00~

公式HP

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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