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今夜3話『純愛ディソナンス』ヒロインの吉川愛がドロドロ展開に思うこと。「生き方はひとつでなくていい」

斉藤貴志芸能ライター/編集者
フジテレビ提供

教師と生徒の禁断の愛から、5年を経た再会では妻がいて……。“純愛×ドロドロ”を謳うドラマ『純愛ディソナンス』で、中島裕翔が演じる主人公と恋に落ちるヒロイン役の吉川愛。子役からのキャリアを持ち、近年は映画や深夜ドラマで次々に主演を張って、今作でも強い存在感を発揮している。ひと筋縄ではいかない役を演じる裏側を聞いた。

自分のCMが流れるとビックリします(笑)

――これまで映画や深夜ドラマで主演されてきましたが、プライムタイムの連続ドラマのヒロインは大きなチャンスという感覚もありますか?

吉川 そういうのはあまり意識していません。新しいお仕事をいただけるのが嬉しいなと思っています。

――さらに有名な存在になりたい、ということもなく?

吉川 それより、いろいろな役を演じたい、というのが一番です。結果的に付いてくるものがあれば、ありがたいです。

――最近は『ホットペッパービューティ学割』などCMでもよくお見掛けします。

吉川 テレビをつけて、出演させていただいているCMが流れると、ビックリします(笑)。友だちと一緒にいると恥ずかしいです。

リアル高校生の若さにショックを受けて(笑)

――『純愛ディソナンス』は“教師と生徒の禁断の愛”という触れ込みでしたが、学校での話は3話の途中までなんですね。

吉川 そうなんです。高校時代は終わってしまいました。

――セーラー服が似合っていました。

吉川 いやもう、自分も高校時代と変わってないつもりでしたけど、最近リアルな高校生がよく目に入って、初めて「若っ!」と思ってしまいました(笑)。あんな初々しさや何でもパワフルにできる感じを見てしまうと、制服の自分はコスプレだなと、現実にショックを受けました(笑)。

――女子高生が街ではしゃいでいたりするのを見て、そう感じたんですか?

吉川 そういうところや、電車で勉強していたり、みんなでアイス屋さんに入っていくのを見たときですね。私もアイスは無限に食べられると思っていましたけど、最近は四つはいけないですね。

――高校時代はアイスを四つ食べていたんですか(笑)?

吉川 四種類、大きいサイズで食べていました(笑)。今は一つか二つでいいです。まだ二つはいけると思いますけど(笑)。

何を考えているかわからなくて惹かれたのかな

――そういう意味では、『純愛ディソナンス』の冴はキャピキャピした高校生ではなかったとはいえ、テンションを上げて臨んだ感じでした?

吉川 学生っぽい若々しさを思いっきり出していかないと、大人の先生と生徒が恋愛するギャップを見せられないので。弾けた感じも出せるように頑張りました。

――先生を好きになるストーリーはひとつの定番ではありますが、実際に見聞きしてました?

吉川 私の周りではなかったです。でも、友だちの友だちとかから「あったよ」という話は聞きます。恋愛まで発展しなくても、先生のことをすごく好きだったとか。だからリアリティがないことはなくて、意外と身近にあるものと思えます。

――冴が好きになった新田先生は、素敵な先生という感じでもなかったですよね?

吉川 最初は怪しむようなところから始まったのが、たぶん冴ちゃんが今まで出会ったことのないような人で、惹かれていったんだと思います。何を考えているのかわからない。でも、頭の中でいろいろ考えている。そこを感じ取ったのかなと。

――そんな大人に惹かれていく気持ちはわかります?

吉川 私は新田先生のようなミステリアスな方よりは、ハッキリした方のほうがいいなと思います(笑)。

本番に入って集中すれば切り替わります

――高校生だった序盤では、印象的なシーンはどの辺でしたか?

吉川 たくさんあります。お母さんとの関係性が1話から描かれて、私は怒鳴ったりもしていて。

――バイトして貯めたお金を、お母さんが愛人に渡してしまって、「何でみんな邪魔するんだよ!」とか。

吉川 勝手に親に使われたら、それは怒りますよね(笑)。いろいろな人間関係が出てきて、冴ちゃんがどんどんグチャグチャにされていくのが見えて、すごい人生を送っているなとよく思いました。

――感情を爆発させるシーンでも、撮影前に1人で気持ちを作ったりはしないタイプでしたっけ?

吉川 撮る前は全然このままです。お母さん役の富田靖子さんとも普通に話していて。でも、本番に入って集中すれば、切り替わります。

――女優体質なんですね。

吉川 ありがたいです。オンとオフで替えられなくて、役をずっと引きずっていたら、辛いだろうなと思うので。

――夜の公園のベンチで新田先生を抱き締めるシーンも、そんな感じでした?

吉川 すごくいいシーンで見せ場でしたけど、撮る前は中島さんと他愛ない話をしていました。「アリが大きいね」とか(笑)。本番前にちょっと集中するのは、泣くシーンくらいです。

壁があるだけでこんなに変わってしまうのかと

――クランクイン前に考えたことはありました?

吉川 先生との距離感をどこまで保っていいものか、考えました。最初はよく知らない人だから、すごく距離があるとして、そこからどんどん近づいていく。その過程で、冴ちゃんはこのくらい心を揺らしているだろうな、ここはまだ引いているだろうな……というところを考えながら、台本を読んでいます。

――その感覚を頭に入れておくわけですね。

吉川 すごく意識していることはないです。でも、頭の片隅に置いておくだけで、演技がちょっと変わってくるように思います。

――冴と新田先生は純愛だと思いましたか?

吉川 純愛ですかね。2人とも何かかわいいんですよ(笑)。本当は素直に生きたいんだろうし、ただお互いを好きなだけ。壁が何もなければかわいい恋愛になるのに、壁があるだけでこんなにも変わってしまうのか……と思いました。

丁寧な表現をしないとダメだと思いました

――5年後からのストーリーでは、よりドロドロな展開になるようで。

吉川 そうですね。新田先生が妻帯者になっていてビックリしましたし、また新たな壁ができました。冴ちゃん自身も就活をしたり、いろいろ環境の変化があって。学生の頃とはまた違う難しさ、ゴチャゴチャしたものが出てくると思います。

――恋愛ものでも、『虹色デイズ』や『ハニーレモンソーダ』とはだいぶ違いますよね。

吉川 全然違います。少女マンガ原作のヒロインは、もっと女の子らしくて、か弱いところがあったりもするので。冴ちゃんも根本的にはピュアだし、かわいらしいところもありますけど、ラブコメのようにはいきませんね(笑)。

――演じるうえでも新境地という感じですか?

吉川 そういう感覚はあまりないかもしれません。ただ、いろいろなことがグチャグチャになっていく中で、冴ちゃんの表情は今まで以上に丁寧に表現しないとダメだと、すごく感じました。冴ちゃんの行動によって、作品自体の面白さが変わってくるので。ただ先生を好きなだけでなく、心の中で考えていることはあるのを、ちゃんと出そうと思っています。

体にもメンタルにも来るので合間にリフレッシュを

――今後も冴の修羅場的な場面は出てくるんですか?

吉川 あります。ゆったりしていることはなかなかなくて(笑)、エネルギーをすごく使ったりもします。体にもメンタルにも来るので、空き時間にリフレッシュして自分を癒しながら、撮影しています。

――リフレッシュのために、どんなことを?

吉川 アニメを観たり、愛犬の写真を見たり。あと、何時間か空きがあったら、スタジオ周辺をふらついたり、ロケだったらカフェに入ったり。撮影現場と離れて過ごすようにしています。

――冴の心情がわかるところもありますか?

吉川 ありますね。「好きな人の言葉だったら、こういうふうに受け取るな」とか、「相手が先生だったら、葛藤するだろうな」とか、そういうことは思います。

捨てたいものは全部捨ててもいいと思います

――新田先生の親族が集まる法事の会場に出向いて、「逃げよう。全部捨てちゃおう」と連れ出したところはどう思いました?

吉川 追い詰められすぎたら、捨てたいものは全部捨ててしまってもいいと思います。ひとつだけの生き方で行かなくてもいいし、1回だけの人生は好きにしたほうがいいんじゃないですかね。

――撮影は中盤かと思いますが、このヒロイン役をまっとうしたら、得るものは大きそう?

吉川 繊細な部分をちゃんと考えながら演じているので、他の役をやるときも役立つことはあるだろうなと思います。

――希望としては、2人は最後にどうなってほしいですか?

吉川 私としては、もちろん結ばれてほしいです。でも、結ばれないという説も出ていて(笑)、どうなりますかね。全員が幸せになれる方法はないのかなと思ってしまいます。何の縛りもなく生きていけたら、いいんですけど。

ジェットコースターは大好きでおばけ屋敷は苦手(笑)

――猛暑の夏になって、撮影で大変なこともありますか?

吉川 ロケが多いので大変です。(ウェブCMに出演している)シーブリーズは欠かせません(笑)。

――夏は好きな季節ではあるんですか?

吉川 苦手なんです(笑)。セミとか虫がいるし、湿気が多くて、どんなにサラサラにしようとしてもベタベタするのが、本当にダメなんですよね。

――海やお祭りに行くノリもなく?

吉川 ないですね。本当は行きたいんですけど、海は日焼けするし、お祭りは今、なかなかやってないじゃないですか。やっていたら行きたいです。屋台ですもも飴や焼きそばを食べるのは大好きです。

――しばらく前に、インスタに富士急ハイランドに行った写真が上がってました。

吉川 富士急にもディズニーランドにも行きました。1日お休みがあると、そういうところに行っています。次の日からまた仕事ですけどリフレッシュできて、頑張ろうという気持ちになれます。

――FUJIYAMAに乗ったりも?

吉川 私が行ったときは工事中で乗れなかったので、ちょっとショックでした。ジェットコースターは大好きです。でも、おばけ屋敷は苦手です(笑)。

Profile

吉川愛(よしかわ・あい)

1999年10月28日生まれ、東京都出身。

2006年に子役としてドラマデビュー。主な出演作はドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』、『おちょやん』、『カラフラブル~ジェンダーレス男子に愛されています。~』、『明日、私は誰かのカノジョ』、映画『虹色デイズ』、『転がるビー玉』、『のぼる小寺さん』、『ハニーレモンソーダ』、『ALIVEHOON』など。ドラマ『純愛ディソナンス』(フジテレビ系)に出演中。

『純愛ディソナンス』

フジテレビ系/木曜22:00~

公式HP

*写真はフジテレビ提供

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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