Yahoo!ニュース

乃木坂46・与田祐希が“量産型”の役で連ドラ主演 「素の自分は嫌われると思ったら自然体を肯定されて」

斉藤貴志芸能ライター/編集者
撮影/松下茜 ヘア&メイク/小川友莉亜 スタイリング/中村絢

乃木坂46の与田祐希が『量産型リコ』(テレビ東京系)で地上波連続ドラマに初主演する。すべてに平均的な女子社員が、量産型ザクからプラモデルの魅力に目覚めて成長するストーリー。乃木坂46の3期生屈指の人気メンバーで、『日本沈没~希望のひと~』の居酒屋の看板娘役などでも注目された与田の女優活動への想いは?

アイドルを目指してはいなかったんです

――これまでも個人でドラマや映画に出演されてきましたが、乃木坂46に加入した時点で演技にも意欲があったんですか?

与田 まったくなかったです。というより、乃木坂46に入ったときは将来のことをまったく考えられていなくて。アイドルも目指していたわけではなくて、雲の上の存在でした。友だちに「一緒にオーディションを受けよう」と言われて、せっかくなので挑戦してみただけで、まさか受かるとは思ってもいなかったんです。だから入ってすぐの頃は、お芝居のことまで頭にありませんでした。

――ドラマを観るのは好きだったんでしたっけ?

与田 そうですね。小さい頃からドラマや映画はよく観ていて、友だちと話したりしていました。

――特に好きだった作品というと?

与田 毎クールのドラマをほとんど観ていたので、何かひとつというのはないですけど、『世界の中心で、愛をさけぶ』はめちゃめちゃ泣きました。

感情の起伏が激しい役で演技が楽しくなって

――乃木坂46での初舞台『3人のプリンシパル』やドラマ初出演の『モブサイコ100』は、どんな心持ちで臨んでいたんですか?

与田 苦手意識が強かったです。お芝居は学芸会でしかやったことがなくて、何が正解かもわからなくて。『モブサイコ100』のときはグループから離れて1人でしたし、その場を何とか乗り越えることに必死で、今後もやっていきたいとは思いませんでした。

――ちなみに、学芸会ではどんな役だったんですか?

与田 強制参加だったので、台詞が一番少ない侍役や雲の役をやりました(笑)。

――では、どこかの時点で女優へのスイッチが入った感じですか?

与田 『日本沈没-希望のひと-』のParaviオリジナルストーリー『最愛のひと』が大きかったかなと思います。

――本編にも登場した居酒屋の看板娘役で主演を務めました。

与田 感情の起伏が激しい役だったので、泣いたり怒ったりしました。私はあまり起伏がないタイプなので、真逆な役どころに苦戦しながら、自分とまったく違う人になる感覚にすごく楽しさも味わえたんです。難しいからこそ、もっと勉強していきたいと意欲が出ました。

恥ずかしさは振り切って弾けようと

――普段は感情を出さないほうなんですね。

与田 昔は起伏があったんですけど、最近は大人になって、人前で泣いたりすることはなくなりました。なので、そういう感情と向き合うのは久しぶりでした。

――劇中では泣くシーンも自然にできたわけですか?

与田 お芝居で泣くことも、そこまで経験がなくて。『最愛のひと』ではそういう場面が多かったので、最初は難しかったです。でも、だんだん「泣こう」と思って泣くのでなく、自然に悲しくなって涙が出るようになりました。役を演じていて、そういう感情になれたのは、あの作品が初めてでした。

――その前に映画『ぐらんぶる』では、白目をむいたり、金属バットを振り回したりしていました(笑)。

与田 普段そういうことをしないので(笑)、苦戦はしました。最初は恥ずかしさもありましたけど、『ぐらんぶる』では周りのキャストさんが弾けて、もっとすごいことをしていて。ここで私が恥ずかしいなんて思っていたらダメだと、振り切りました。自分の感情は捨てて弾けました。

――そういうふうに自分の殻を破れるのは、女優に向いているんでしょうね。

与田 まだまだ自信はないですし、不安も大きいですけど、どんどん挑戦していきたいとは思っています。

私も目立たない普通の人間でした

――『量産型リコ』で演じる小向璃子は24歳の会社員で、あらゆるものが平均的なタイプ。与田さん自身との距離感は大きいですか?

与田 年齢や会社員というところは違いますけど、性格や考え方は素の自分に結構近いです。学校では1軍でも2軍でもない中間層。みんながやっているからサークルに入って、趣味は寝ること。大恋愛をしたことも、壮大な夢があるわけでもないという璃子の人生は、乃木坂46と出会う前の自分のまんまです。私も目立つことはなく、すごく普通の人間でしたから。私が乃木坂46に入って変わったように、璃子もプラモデルと出会って変わっていくのかなと思います。

――でも、与田さんは島育ちでたくさんの動物を飼い慣らしていたり、人と違うことも多いのでは?

与田 乃木坂46に入ってから、そう言われるようになりましたけど、自分にとっては普通のことだったので。特に人と違うところは、ひとつもなかったですね。部活もテニス部でしたけど全然活躍していなかったし、リーダー的なこともしていません。特技もなく、グループ内でダンスや歌に秀でていたわけでもなかったんですけど、そんな私をファンの方が肯定してくれて。自分ではいいと思っていなかったことを「そこがいい」と言ってもらえて、変われた部分は多いです。

グループでのキャラ作りに試行錯誤しました

――どんなことをファンの方に「いい」と言われたんですか?

与田 野性的に過ごしていたので、「自然体な感じが好き」と言っていただけたり。私は乃木坂46に入ってすぐの頃、素の自分を見られたら、普通だしアイドルっぽくもないから、嫌われると思ったんです。それでアイドルらしくしなきゃと思って、色気キャラになったんですね。

――「ちっちゃいけど色気はあるとよ!」がキャッチフレーズでした。

与田 キャラ作りを考えた結果で、試行錯誤しましたけど、活動していくうちに自然体がいいと言ってもらえることが増えたのが、すごく嬉しかったんです。素の自分を認めてもらえて、今があります。

プラモデル作りの時間はあっという間に過ぎて

――24歳の女子社員というと、どんなイメージが浮かびますか?

与田 オフィスで働くことは、私はドラマとかでしかわかりませんけど、イメージだけで言うと、パソコンの扱いが上手(笑)。AppleのMacノートを持ち歩いていたり、プレゼンをしていたり。私はパソコンを持っていなくて、どう使っていいのかもわからないので、憧れがあります。

――プラモデルには馴染みありましたか?

与田 今までの人生で、プラモデルに触れたことはありませんでした。役の璃子と同じく1から始めて、私自身も楽しさを見つけていけたらいいなと思っています。

――何かを作ったり、手作業をするのが好きだったりはしますか?

与田 DIYに一時期ハマっていました。集中して何かを作るのはすごく好きです。撮影に入る前にプラモデル作りを練習させてもらったときも、似た感覚があって楽しかったです。

――練習からザクを作ったんですか?

与田 はい。初めて触れて、いろいろ教えてもらいながらですけど1体作って、時間があっという間に過ぎました。いい感じのスタートでした。

(C)創通・サンライズ
(C)創通・サンライズ

新しい自分を探す人は輝いて見えます

――他に、インする前に準備でしたことはありました?

与田 監督から、私と璃子が近すぎるので「役作りより自然体で入ってほしい」と言われました。私は緊張しぃで、地上波の連続ドラマでは初めての主演で、緊張感やプレッシャーもあります。でも、あまり背負いすぎず、楽しい気持ちを忘れず、温かい空気感で撮影していけたら。璃子もそういうキャラクターだと思うので。

――何かホビー系の作品を参考に観たりもしませんでした?

与田 なかったです。固めていくより柔軟に、役と一緒に成長していけたらいいかなと。

――与田さんはこの『量産型リコ』の面白さは、どんなところだと思いますか?

与田 ドラマって主人公が強いヒーローだったり、事件が起きて解決することが多いですけど、今回は主役が一番普通などこにでもいる子なんです。だからこそ、感情移入しやすいように思います。プラモデルが好きな方にも観ていただきたいですし、何かに熱中することで人生が変わるのを、観てくださる方と一緒に知っていけたら。新しい自分を探している人は輝いていると、私は思うんです。皆さんの背中を押せたり、平和な気持ちになれる作品なので、身近なお話として気楽に観ていただけたら嬉しいです。

アイドルとお芝居は別ものでも表現力は磨けたら

――ちなみに、『量産型リコ』が放送される木曜深夜0時30分ごろって、与田さんは何をしていることが多いですか?

与田 お仕事が終わって家にいたら、お風呂に入っていますかね。寝る準備をしながら、テレビを観ていたり。

――『量産型リコ』もリアルタイムで観ますか?

与田 緊張しそうですけど(笑)、できるだけ観たいです。

――自分の出演作はいつも観るんですか?

与田 わりと観ています。自分が撮影中に思っていたのと映像になったもので、だいぶ違っていたりもするし、それが勉強にもなるので。

――アイドルと女優って、通じるものはあると思いますか?

与田 私は別ものだと思います。アイドルは自己プロデュースで自分自身を見せていくお仕事。お芝居は逆に自分自身を見せたらいけなくて、役としての人間を見せていく。そこが全然違っているように感じます。

――それぞれにフィードバックできる面もないですか?

与田 表現力はアイドルのパフォーマンスでもお芝居でも大事なので、どちらのお仕事でも磨いていきたいと思います。

――両方やっていくのは、物理的に大変なこともあるでしょうけど。

与田 ライブを控えている中でドラマの撮影をしたり、両立はかなり大変ですけど、ガッツで頑張ります。

衣装協力/marvelous by Pierrot
衣装協力/marvelous by Pierrot

泣こうとするのをやめたら自然に涙が

――今までお芝居の現場で、糧になった言葉や考え方はありますか?

与田 さっき言った泣くシーンで、一度どうしても涙を流せないときがあって。「泣かなきゃいけない。どうしたらいいんだろう?」と気持ちが先走りすぎて、感情がついてこなくて、逆にプレッシャーで焦ってしまったんです。そのとき、プロデューサーさんに「一番大事なのは涙を流すことではなくて、役の感情になること。いったん涙を出すことは忘れて、泣けなくてもいいから気持ちを見せて」と言われました。そしたら、逆に自然と涙が出てきました。

――日ごろから、演技に繋げるために何かしていたりは?

与田 時間が許す限り作品は観ています。あとは、アイドルのお仕事をしているとドラマとかでなくても、プロモーション映像を撮ったり、バラエティでちょっとしたコントをしたり、お芝居をする機会は結構多いんです。そういうときも意識を変えて、ひとつの役として向き合うようにしています。

地元の友だちに「変わらないね」と言われます

――『量産型リコ』では自分のオリジナリティを探すこともテーマのようですが、与田さんにはそういうものはありますか?

与田 やっぱり自然体ですかね。最近になって、ファンの方にもスタッフさんにも、そこがいいと言ってもらうことが多くなりました。

――肩の力が抜けている感じだと?

与田 自分ではそんなつもりはないんですけど、そう見られているんですかね。

――意識してないからこそ、自然体なんでしょうね。

与田 あまり自分を作ることはしていません。それが自然体なのか、正直わかりません。ただ人からそう言われることが増えただけですけど、きっと良い意味で言ってくださっているんだろうとは思います。

――人気アイドルになっても、根本は変わってなかったりも?

与田 地元の友だちには「全然変わらないね」と言われます。「違う世界の人みたいになるかと思っていたけど、安心した」と言ってもらいました。

撮影/松下茜

Profile

与田祐希(よだ・ゆうき)

2000年5月5日生まれ、福岡県出身。

2016年に「乃木坂46第3期生オーディション」に合格。2017年に18thシングル『逃げ水』で初選抜にしてWセンター。2018年に『モブサイコ100』でドラマ初出演。映画『ぐらんぶる』、ドラマ『日本沈没-希望のひと-』などに出演。配信ドラマ『最愛のひと~the other side of 日本沈没~』で主演。主演ドラマ『量産型リコ』(テレビ東京系)が6月30日スタート。

木ドラ24『量産型リコ-プラモ女子の人生組み立て記-』

6月30日スタート/木曜24:30~

公式HP

(C)「量産型リコ」製作委員会
(C)「量産型リコ」製作委員会

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

斉藤貴志の最近の記事