Yahoo!ニュース

#コールドゲーム』で偽装家族の娘役の久間田琳加。氷河期に臨み「人間のリアルな本心と向き合いました」

斉藤貴志芸能ライター/編集者
撮影/松下茜

極寒の氷河期に突入した世界での人間模様を描き、話題を呼ぶドラマ『#コールドゲーム』(東海テレビ・フジテレビ系)。生き残るために偽装家族となった一家の娘を久間田琳加が演じている。女子高生のカリスマから様々な女性誌で活躍する人気モデルとなり、女優としても頭角を現して3本目の連ドラレギュラー。明るいキャラクターの自身とは違う、クールな天才肌でトラブルメーカーでもある役に、これまでにない取り組みをしたという。

年上の方の話から昔のドラマを観てみようと

――『#コールドゲーム』が放送されている『オトナの土ドラ』枠の作品は、何か観たことありました?

久間田 なかったです。土曜日の夜の12時ごろは寝てるか、SNSを見てるか、お風呂に入っていて。でも、尖っていて変わった内容が多いという噂はよく聞いていたので、楽しみでした。

――琳加さんはどんなドラマを観て育ってきたんですか?

久間田 私はダントツで恋愛モノが好きでした。水嶋ヒロさんと榮倉奈々さんの『メイちゃんの執事』とか観てましたね。でも、『ファーストクラス』も内容が衝撃的すぎて、よく覚えています。

――配信で昔の作品を観たりはします?

久間田 あまりないです。でも、『#コールドゲーム』の現場で年上の方たちが多くて、昔のドラマの話題ですごく盛り上がっていたんですよ。木村拓哉さんの『ビューティフルライフ』とか『プライド』とか、「今のドラマよりもキュンキュンする」ということだったので、観てみようと思っています。

――『#コールドゲーム』は隕石衝突の影響で氷河期になった地球が舞台で、撮影では劇中の避難所も寒い状況だったんですか?

久間田 ではなくて、実際は暖かい中で衣装は厚着だったので、むしろ暑かったです。設定は建物の中も7~8度なんですけど、つい凍えることを忘れてしまって(笑)。発電機が故障した回とか、監督やキャスト同士で「気温マイナスだから!」って声を掛け合う感じでした。

氷河期は想像すらしたくなくて(笑)

――モデルさんはよく、寒い時期に春・夏服の撮影をしますよね。

久間田 それはあります。私は暑いときの(秋・冬用の)厚着の撮影のほうが、まだいいです。冬の薄着は辛くて。どちらかというと、寒いほうが得意でないです。

――今までで最高に寒かった経験というと?

久間田 ケツメイシさんの『さくら』のMV(2021年ver.)を撮ったときは、年末の時期に桜の木の下でのシーンがあって、すごく寒かった記憶があります。しかも、私はK-POPアイドルを目指す役だったので、ミニスカートにブーツで、途中で脚の感覚がなくなりました。カイロは貼っているのに温かさを感じなくて、ヤバイと思いながら頑張ってました。

――本当に氷河期が来たら、どうしますか?

久間田 いやもう、その中で生き延びようとするドラマなので、想像しないと入り込めませんけど、想像すらしたくない気持ちでした(笑)。

目線を人と変えて歩き方はぶっきらぼうに

マイナス45度の世界になった地球で、生き残った人たちのサバイバルを描く『#コールドゲーム』。主人公で天才詐欺師の木村祥子(羽田美智子)が辿り着いた避難所は家族優先で運営されていたため、寄せ集めの偽装家族を作って共同生活を送っていた。久間田はその木村家の娘となった陽菜を演じている。

――陽菜はいろいろ考えて演じないといけない役みたいですね。

久間田 そうなんです。自分にないところがある役で大変でした。衣装合わせのとき、監督が最初におっしゃっていたのは、ソシオパスっぽくしたいと。協調性がなくて、すぐキレてしまったり。そこが自分にはないので、ネットでたくさん調べたり、最近の作品だと『梨泰院クラス』のイソがそういう役で、改めて観直したりしました。撮影が進むにつれて、偽装家族として生き延びようとする中で、1人だけ勝手な行動は取れないと、ソシオパスの要素は減っていきましたけど、冷たい演技をするうえで勉強になりました。

――陽菜は頭脳明晰な高校生でもあって。

久間田 そこも、私はすごく頭が良いわけではないので(笑)。どうしたら「この子はちょっと違う」という雰囲気を出せるか、考えながら演じました。みんなが同じところを見ていても、陽菜の目線は見てないとか。歩き方はちょっとダルそうにしたら、監督に「ぶっきらぼうでいいね」と言われました(笑)。陽菜は年下なので、動きに子どもっぽさがあってもいいかなと思って。

プロレス技を本気で掛けました(笑)

――物言いはストレートで冷めた感じです。

久間田 しゃべり方はわりとクールで、お父さんには当たりが強くて、お母さんにはちょっと信頼を寄せていて、お兄ちゃんには「かっこいいな」って恋心もあって。基本はテンションを落として、話すようにしていました。

――ずんのやすさんが演じるお父さんには、蹴ったりプロレス技を掛けたりもするとか。

久間田 現場にプロレス好きのスタッフさんが多くて、技を教えてもらいながら、いっぱい仕掛けさせてもらいました(笑)。後ろから首を絞めて「ふん! ふん!」とか。

――スリーパーホールドですね。本気でいったんですか?

久間田 はい。やすさんが「本気でやってくれたほうがいい」と言ってくださったので(笑)。

つかみどころがない役でいろいろ考えました

――いろいろあるだけに、家でもたくさん練習したり?

久間田 そうですね。台詞も『マリーミー!』や『お茶にごす。』は会話という感じでしたけど、陽菜は1人でしゃべるシーンもあって。そういうのは初めてだったので、慣れるために何度も練習しました。言葉で表現するより表情や立ち居振る舞いが大事で、イヤな子には見えないようにもしたくて、今まで以上にいろいろ考えました。今回は原作のないオリジナルだったこともあって。

――イチから役を作ったと。

久間田 でも、どちらかと言うと、ベースを作りつつ、現場ですり合わせる感じでした。今までだと自分で想像したことをやっていたのが、陽菜は人によって捉え方が全然違って、つかみどころがなくて。監督や羽田さんたちと「陽菜だったらこうしそう」と話しても、意見が分かれました。協調性がないけど、なさすぎでもない。その中間にいないといけなくて、そこを話し合いながら進めていきました。

――確かに、公式HPでの陽菜の設定も「冷めていて常に一歩引いてる」とある一方で、「もめごとを起こすこともしばしば」ともあって。

久間田 どっちの面もあるんです。頭脳明晰とはいえ、まだ子どもなので、間違えてしまったりもするんですよね。

人と争うのはイヤだと思ってしまって

――氷河期という状況についても、今までの作品以上に想像力を働かせないといけなかったんでしょうね。

久間田 想像して現場に行って、気温マイナスの世界が作り込まれているのを見たとき、「やっぱり寒そう」とイメージが合致しました。

――琳加さんだったら、サバイバルできそうですか?

久間田 このドラマでは避難所で頭脳対決とか運動会とかあって、1位になったら優先的に何かができたりするんですけど、演じながら「人と争うのはイヤだな」と思っちゃいました。木村家は「どんな手を使っても1位になってやる!」という覚悟がありますけど、私は絶対できないなと。

――琳加さんはやさしいんですね。でも、芸能界でのサバイバルはうまく行きそうなのでは(笑)?

久間田 えーっ!? どうなんですかね(笑)?

――モデルに女優に、バラエティでも4月から『ヒルナンデス!』の金曜レギュラーになったり、すべて順調に見えます。

久間田 好きなお仕事をたくさんやらせていただいてはいます。バラエティでもモデル業でも女優業でも、少しずつ成長していけたらいいなと思います。

――一番キャリアが長いモデル業は、もう自信を持ってできていますか?

久間田 そんなことはないです。よく思うのは、学校なら中3になれば最上級生ですけど、この世界ではいくつになっても先輩はいらっしゃって。やっと後輩ができてきて、真ん中くらいのところに来た感覚です。

――琳加さんに憧れてモデルになった人も出てきているでしょうね。

久間田 『Seventeen』の現場で、そう言っていただくこともあります。会った途端、泣いてしまう子もいて、ビックリしました(笑)。

――琳加さんにとって、そういう憧れの人はいました?

久間田 人というか、初めてTGCに出させてもらったときは、すごくテンションが上がりました。自分がお客さんとして、観に行っていた側だったので。

テレビで自分を観られないので携帯で観ます(笑)

――バラエティに関しては、自分が出演した番組を観て、反省や勉強もしてますか?

久間田 してます。でも、テレビの画面で自分を観るのは恥ずかしいので(笑)、携帯でTVerの見逃し配信で観てます。それくらいのサイズなら、自分のことも観られるぞと(笑)。

――これだけテレビに出ていて、そんな感覚があるんですか?

久間田 テレビのサイズになった途端、恥ずかしくなります。雑誌は長くやっているからか、大丈夫なんですけど。

――バラエティに出るときに、心掛けていることはありますか?

久間田 ちゃんと感情を出すようにしています。楽しいとか、おいしいとか、画面で伝わるように。でも、食べることは大好きなので、食レポとかあると自然にうれしくなっちゃいますね。生放送の『ヒルナンデス!』でも、「今日は何が出てくるかな?」くらいのテンションでスタジオにいます(笑)。考えたらバラエティって、自分の人生で好きなものが詰まっているんですよ。お笑いも好きで芸人さんもいらっしゃって、食レポもあって(笑)。

――演技ではドラマが続いて、目指すものも高くなってきていませんか?

久間田 今はひとつひとつの現場をちゃんと終えることに必死ですけど、今回の『#コールドゲーム』は前の2作の恋愛モノ、学園モノより社会性のあるテーマで、新しいところに足を踏み入れた感じはします。大人になるにつれて、こういう作品も増えていったら、いいなと思います。

――今回で女優としての新たな引き出しもできました?

久間田 キュンキュンさせる恋愛モノとは、視点がガラッと変わりました。もし人間がこういう状況になったら、リアルな本心が出てくるじゃないですか。そういうことに向き合うのは、今までにない時間でした。

長所だと言われたことを胸に刻みました

――今まで女優の現場で、監督や共演者から言われて刺さった言葉とか、ありますか?

久間田 あるんですけど、自分で言うのは恥ずかしくて(笑)。

――誉めてもらったということですか?

久間田 そうです。「そこは長所だと思うよ」と言っていただいて、自分の胸に刻みました。『マリーミー!』のとき、初ドラマで初主演でいっぱい悩んで、無事に最後まで撮ることだけで精いっぱいで、何とか乗り切ったクランクアップの日に、その言葉をいただいたんです。頑張ってきて良かったと思いました。

――『#コールドゲーム』は夏場にかけて放送されます。「寒いのは苦手」とのお話でしたが、夏は好きなんですか?

久間田 大好きです! 最近、暑い日が出てきて「やったー!」と思います。

――今年の夏のお楽しみもありますか?

久間田 コロナがなければ、やらなきゃいけない打ち上げが溜まっているんです。ドラマも去年出した写真集やスタイルブックの打ち上げも、まだできてないので。いつかできたら、ビンゴ大会とかやりたいです。

――打ち上げのビンゴで何か当てたことが?

久間田 全然ないんです。そういうのも当てられるくらい、強運になりたいです(笑)。

撮影/松下茜

Profile

久間田琳加(くまだ・りんか)

2001年2月23日生まれ、東京都出身。

2012年に『nicola』のモデルオーディションでグランプリとなり、2017年3月まで専属モデル。2017年8月から『Seventeen』の専属モデルに。女優としての主な出演作は、映画『ミックス。』、『青夏 きみに恋した30日』、『ヌヌ子の聖★戦~HARAJUKU STORY~』、ドラマ『マリーミー!』、『お茶にごす。』など。『ヒルナンデス!』(日本テレビ)で金曜レギュラー。ラジオ『久間田琳加 りんくま*めがへるつ』(文化放送)でパーソナリティ。1stスタイルブック『明日、もっとキレイになる りんくまがじん』が発売中。

オトナの土ドラ『#コールドゲーム』

東海テレビ・フジテレビ系/土曜23:40~

公式HP

『#コールドゲーム』より(東海テレビ提供)
『#コールドゲーム』より(東海テレビ提供)

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

斉藤貴志の最近の記事