今冬、最も衝撃を受けた選手!高校ラグビーで準優勝に貢献した1年生FL奥井章仁(大阪桐蔭) 

1年生ながら大阪桐蔭の中心選手として活躍した奥井(撮影:斉藤健仁)

 高校、大学、そしてトップリーグとラグビーの主要カテゴリーのそれぞれの決勝が行われ、どの試合も僅差となり、おおいに盛り上がりを見せた。

 年末から年始にかけておこなわれた試合の中で、個人的にもっとも衝撃を受けた選手は、「花園」こと全国高校ラグビーで、惜しくも準優勝だった大阪桐蔭(大阪第1)の1年生FL奥井章仁(あきと)だ。

◇1年生ながら強豪・大阪桐蔭でレギュラーをとして活躍

 身長177cm、体重106kgという1年生らしからぬ身体を武器に花園を駆け抜けた。

 過去の花園を見ても東海大仰星WTB正面健司(神戸製鋼)、啓光学園(現・常翔啓光学園)CTB森田尚希(近鉄)、東福岡FB藤田慶和(パナソニック)と1年生ながらに優勝に貢献した選手はBKに多いが、奥井はFWのFLという身体的な強さが必要なポジションながら大車輪の活躍をし、「本当に1年生か?」と目を疑いたくなるようなプレーを見せていた。

 大阪予選でも大阪桐蔭唯一の1年生選手として存在感を示し、花園に入っても初戦となった2回戦から「6」番を背負い続けて、フィジカルをウリとしているチームのFW陣の中に入っても遜色のないプレーを続けた。準々決勝では相手の選手をオーバーして、味方選手のトライを演出し、決勝戦ではモールから自らトライを挙げた。

 大阪桐蔭の綾部正史監督も「(奥井は)ドシッとしていますね。キャプテンのFL上山黎哉(3年)が上手く、リードしてくれているので、奥井は気持ち良くプレーしています。実力でレギュラーを取っています」とその活躍に目を細めていた。

◇毎日、白米を2000g食べて体重は100kgを超える!

 奥井は、小学校1年生から大阪の枚方ラグビースクールで競技を始め、中学は枚方市の楠葉中学でプレーし、大阪府で3位に入ったチームの中心選手だった。

 高校進学の際は、当然、いくつかの強豪校から誘いがあったというが、ラグビースクールのコーチのアドバイスなどもあり、大阪桐蔭に決める。「FWでガツガツ行くところに惹かれました。また、まだ日本一になっていなかったので、大阪桐蔭で日本一になりたかった!」(奥井)

 高校入学時、すでに体重は90kg後半だったという奥井は、大阪桐蔭でみるみるうちに成長する。毎日朝400g、昼と夜は700gの白米を食べることが必須であり、グラウンドまでの移動はバスを使わず走り込み、さらに毎週1回フィジカルトレーニングに絞った日があるなどラグビーに集中する日々を送った。

 すると体重はすぐに100kgを超えて、5月にはリザーブに名を連ねるようになり、夏合宿からレギュラーポジションを獲得した。

 「食べちゃう方なので、ご飯は(1800gよりも)もっと食べていますが(苦笑)、(高校のレベルに)慣れてきたら自分の持ち味が出せるようになって来たと思います。フィットネスはまだまだですが、サイズはある方なのでハードワークは貫けていると思います」(奥井)

◇大阪桐蔭、初の花園決勝の舞台で惜敗するも「悔いはない」

 迎えた花園準決勝、Bシードだった大阪桐蔭は、Aシードの優勝候補の一角・桐蔭学園(神奈川)と対戦した。

 「ブレイクダウンを中心に1年間やってきたので、そこで勝って、大阪桐蔭初の決勝に行けるように頑張りたい!」と意気込んでいた奥井の言葉通り、大阪桐蔭は相手の65次にわたる攻撃を守り切り、12-7で競り勝って初の決勝進出を果たした。

 決勝戦は、同じ大阪勢の東海大仰星(大阪第2)と対戦し、大阪桐蔭は後半の途中まではSOとCTBのキックとFWで相手に圧力をかけて20-10とリードしたが、後半12分から相手のBKに3トライを喫して20-27で惜しくも敗戦した。

 惜敗後、奥井は一目をはばからず号泣しながら、こう答えた。

 「準決勝の疲れはそんなになかったですが、相手は展開ラグビーしてくるチームで、前半は止めていたが、後半、(ディフェンスが)甘くなっていかれた。そこが反省点です。でも60分きっちりやれたので悔いはないです。来年は絶対ここ(決勝に)に戻って来て、超えられるようにしたい」

◇「将来はラグビーが好きなのでラグビーで食べていきたい!」

 笑顔になるとまだまだ高校生らしい奥井だが、憧れの選手は大阪桐蔭の先輩・NO8中野光基(3年)と、「ハードにコンタクトするところが好き!」という日本代表FL布巻峻介選手(パナソニック/サンウルブズ)だ。

 将来は「大学にいって、そしてトップリーグに行って、できればラグビーが好きなのでラグビーで食べていきたい!」と目を輝かせた。

 決勝戦で流した涙は、16歳の奥井を大きく成長させることになったはずだ。まだチャンスは2回ある。再び、「白い旋風」を巻き起こし、奥井は大阪桐蔭として初めて花園で優勝することができるだろうか。