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ハクチョウを見に行こう 2021年版、東京から車で3時間の越後平野ならではの楽しみ方

斎藤秀俊水難学者/工学者 長岡技術科学大学大学院教授
新潟県柏崎市の田んぼに集まり餌をとるコハクチョウの群れ(筆者撮影)

 冬の渡り鳥、ハクチョウが新潟に集結しています。東京から車で3時間のところにある越後平野のあちらこちらで観察できます。週末はドライブがてらにお越しください。

 まずは動画1でコハクチョウたちが田んぼで餌をついばんでいる様子を撮りたて動画でご覧ください。

動画1 新潟県柏崎市内の田んぼで餌をついばむコハクチョウの群れの様子(筆者撮影、2分22秒)

 毎年、10月の声を聞くと遠くシベリヤからやってくるハクチョウたち。10月も終わりに近づいて、だいぶ増えてきたように思えます。動画のように、日中は田んぼに群れで出かけて餌をとり、夕方になると湖沼に戻って水上で夜を越します。

 昨年の冬から春にかけて新潟を訪れていたコハクチョウたちは、もっと警戒心があったように感じましたが、この秋に再来日したコハクチョウたちは警戒しつつも、少しリラックスしているように感じました。

ハクチョウを見学する時の意外な落とし穴

 日中のハクチョウを見学するなら、車で田んぼの広がる地域をドライブするのがよいでしょう。群れがいると白い点々が田んぼに見えて、かなり遠くからでもいることがわかります。ある程度の距離まで近づいて、車に乗ったまま眺めましょう。餌をとっている最中のハクチョウは、かなり警戒心が強くて、あまりの近さまで人が近づくと、まずは歩きながら距離を離そうとし、さらに怖くなれば群れで飛び立ってどこかに行ってしまいます。

 十分に距離を保ちつつ観察する場合でも、むやみに田んぼやその周辺に立ち入らないようにします。田んぼは農家にとっての職場です。農繁期には毎日何らかの作業をしている農家でさえ、危険な現場なのです。

 田んぼや畑には水を引くために用水路が張り巡らされています。図1のように少し大きめの用水路ならば、壁面は垂直に切られていてあぜ道と用水路の間にはガードレールや柵などの安全対策は施されていません。ハクチョウに見とれながらわき見運転をすれば、このように少々幅のある用水路に車ごと転落しかねません。深さが2 m以上あるような用水路はあちこちに隠れています。一度落ちたら車から脱出できたとしても、自力で上陸するのはほぼ不可能です。

図1 田畑を突っ切る用水路にはガードレールも柵も設置されていないことが普通なので、車の運転には注意が必要だ(筆者撮影)
図1 田畑を突っ切る用水路にはガードレールも柵も設置されていないことが普通なので、車の運転には注意が必要だ(筆者撮影)

 図2のような小さな用水路は、さらにあちこちに張り巡らされています。「まさか、こんな小さな用水路で事故などあるわけない」と思うほど小さいのですが、実際に年間に何件も死亡事故が起きています。例えば、用水路をまたぐ、脇道を散歩する時、少しよそ見しながらだと失敗して転落することも。水が少ない分、転落時に頭を地面や水底に打ち付けて、意識がもうろうとなりつつわずかな水で溺れてしまいます。

図2 このような小さな用水路でも溺水が発生する。よそ見しながら徒歩でまたぐと転落し頭をうち、意識朦朧となりながら溺れる(筆者撮影)
図2 このような小さな用水路でも溺水が発生する。よそ見しながら徒歩でまたぐと転落し頭をうち、意識朦朧となりながら溺れる(筆者撮影)

 警察庁の発行する水難の概況によれば、以上のような用水路事故で、わが国では令和2年中に61人、例年だと60人前後が命を落としています。この中にはもちろん農家も含まれています。毎日用水路に近づくことの多い農家や、農地と接している新興住宅地の住民がどうしても犠牲になってしまいます。

 つまり、「用水路に近づけば、転落して溺れる危険がある」という当たり前のことがハクチョウ観察の時にも発生しかねません。

確実に出会うためには

 確実にハクチョウの姿を見たいのであれば、ハクチョウが集まる湖沼の近くを日中ドライブすることをおすすめします。新潟県内では、ラムサール条約登録湿地である新潟県阿賀野市水原の瓢湖。そして新潟市北区の福島潟。このようなハクチョウをはじめとしたさまざまな渡り鳥を観察できる湖の周辺では、田んぼを中心に日中餌をついばむコハクチョウの群れを見ることができます。

 また新潟市北区の水の駅・ビュー福島潟などの施設では、潟周辺の自然観察を楽しむことができます。三密を避けながら秋の行楽を満喫するには、もってこいです。夕方の日暮れ近くになると、多くのハクチョウが空を飛びながら集まってきて、続々と水面に着水する姿は圧巻です。図3は筆者の職場を背景に田んぼに降り立つコハクチョウの群れの様子です。

図3 新潟県長岡市の日常(筆者撮影)
図3 新潟県長岡市の日常(筆者撮影)

 これから寒さを増していくとともに、数を増やしていくハクチョウたち。東京から3時間ほどのドライブで、ぜひ週末の新潟に会いに来てください。

水難学者/工学者 長岡技術科学大学大学院教授

ういてまて。救助技術がどんなに優れていても、要救助者が浮いて呼吸を確保できなければ水難からの生還は難しい。要救助側の命を守る考え方が「ういてまて」です。浮き輪を使おうが救命胴衣を着装してようが単純な背浮きであろうが、浮いて呼吸を確保し救助を待てた人が水難事故から生還できます。水難学者であると同時に工学者(材料工学)です。水難事故・偽装事件の解析実績多数。風呂から海まで水や雪氷にまつわる事故・事件、津波大雨災害、船舶事故、工学的要素があればなおさらのこのような話題を実験・現場第一主義に徹し提供していきます。オーサー大賞2021受賞。講演会・取材承ります。連絡先 jimu@uitemate.jp

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