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東北地方 台風大雨で過去に大洪水が 就寝は2階以上で

斎藤秀俊水難学者/工学者 長岡技術科学大学大学院教授
東北地方に大きな水害をもたらしたのは、関東で被害をもたらした台風(筆者撮影)

 東北地方の洪水に要警戒です。台風19号が首都圏を通過する予定です。過去の台風災害の記録によると、このようなルートをとる台風はその後東北地方にて大洪水を引き起こしていることがわかります。過去にそれほどなかった首都圏直撃の今回の台風、歴史は繰り返すかもしれません。土曜日夜半から日曜日未明にかけて東北地方は洪水に要注意、あまり心配がなくても就寝は2階以上で行うのがよろしいかと思います。

東北地方、就寝は2階以上で

 カバー写真は、先日JR一ノ関駅で筆者が撮影した駅前の様子です。過去に1947年のカスリーン台風と翌年のアイオン台風で、ここまで水位が来たようです。その後治水事業が進んで、これほどの水位となる洪水はないだろうとは言え、降ってくる雨まで減らせているわけではありません。そのため、今回も念には念をいれて、夜中の洪水に注意してください。

 特にカスリーン台風とアイオン台風で水害のあった地域では、まだ雨がひどくなければ、避難所に避難するべき時間軸となっています。この後、雨が強くなってきたら、自宅において2階以上へ避難する、垂直避難を手段として取ることもできます。「避難所にいくまでもないだろう」と思っていても、就寝は2階以上で、手元に警報のなるスマートフォンやラジオなどをつけっぱなしにして、休むようにするとよいかと思います。

 冠水したら、外に出ての避難は無理です。溺水トラップがあちこちにあって、そこに落ちて溺れてしまう可能性がたいへん高くなります。溺水トラップは水面の下にあって、周囲が明るくてもなかなかわかりません。周囲が暗ければなおさらです。

参考 危険!冠水時の避難 溺水トラップが事故を招きます

水路の点検作業には細心の注意を

 すでに台風の影響を受けている御殿場では、水路で流された人がいます。

 側溝のようなコンクリート水路では、ごみが流れをせき止めて、水が道路に溢れそうな場所も出てきます。そういうごみを取り除くために作業せざるを得ない状況もあります。まだ水位が低くてもごみ除去作業を水路に入って行わないようにしてください。作業中に下流に入ってごみを取り除くと、急に流れ出した水で足がとられ、あっという間に流されます。尻もちをついた瞬間にウオータースライダーのように高速で流されます。流された後、自力で立ち上がって逃れようと思っても、立ち上がることすらできません。

参考 こんな小さな用水路で、なぜ人は次々と溺れるのか?富山の用水路の現状から

過去の台風について

カスリーン台風:1947年9月8日未明にマリアナ諸島東方において発生、9月14日未明には鳥島の南西400 kmの海上まで北上。最盛期中心気圧は960 hPaだった。中心気圧970h Pa(推定)で房総半島南端をかすめた。岩手県一関市などで被害が出ており、岩手県内では109人の死者を出している。

アイオン台風:1948年9月7日マーシャル諸島東部で発生。9月15日に最盛期中心気圧 940 hPa となった。9月16日、房総半島に上陸した。岩手県では北上川やその支流が氾濫し、死者・行方不明者が700名を超えた。

 いずれも、今回の台風19号に比較して最盛期気圧だけでみれば、勢力は弱かったようです。それでも、岩手県一関市を中心に大きな被害を残しました。今回も注意を要します。

さいごに

 首都圏の台風被害の状況を伝えるニュースばかり見ていると、「まさか遠く離れたわが町は大丈夫だ」とバイアスがかかります。過去の災害は必ず繰り返します。少なくとも同じようなルートパターンであれば、細心の注意をもって警戒するべきでしょう。

水難学者/工学者 長岡技術科学大学大学院教授

ういてまて。救助技術がどんなに優れていても、要救助者が浮いて呼吸を確保できなければ水難からの生還は難しい。要救助側の命を守る考え方が「ういてまて」です。浮き輪を使おうが救命胴衣を着装してようが単純な背浮きであろうが、浮いて呼吸を確保し救助を待てた人が水難事故から生還できます。水難学者であると同時に工学者(材料工学)です。水難事故・偽装事件の解析実績多数。風呂から海まで水や雪氷にまつわる事故・事件、津波大雨災害、船舶事故、工学的要素があればなおさらのこのような話題を実験・現場第一主義に徹し提供していきます。オーサー大賞2021受賞。講演会・取材承ります。連絡先 jimu@uitemate.jp

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