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今年のベストバイクは!? ケニー佐川が勝手に決める「2021モーターサイクル トップ5」海外モデル編

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
画像出典:Webikeニュース

毎年恒例のランキングを発表します。2021年に発売されたニューモデルの中からWebikeニュース編集長のケニー佐川が独断で勝手にランキング。話題性や注目度、テクノロジーや社会的インパクトなどを総合的に評価したつもりですが、あくまでも感覚的なものなので楽しみながらご参考にしていただければと。ちなみに発売前モデルは除外。前回の国内モデル編に続き今回は海外モデル編を発表します。

第1位「HARLEY DAVIDSON PanAmerica Special」

荒野への憧れを現実にしたハーレー初の冒険バイク

世界的なブームを背景にハーレーが満を持して投入した初のアドベンチャーモデル。新開発の水冷Vツイン1,250ccエンジンは可変バルブを搭載し最高出力152psと幅広いトルクと高回転パワーを発揮。多様な走行モードやコーナリング対応の先進安全システムを搭載するなど従来のハーレーとは異なるコンセプトが目を引く。

最大のトピックは停止時に自動的に車高を下げることで快適な足着き性を実現するARH機構を搭載したこと。2輪市販車初の試みであり、宿命的に車高が高くなりがちなアドベンチャーバイクへの敷居を一気に下げた功績は大きい。

また、従来の常識にとらわれない斬新なデザインや本格的なオフロード性能も含め、すべてが予想を超える完成度を誇っていた。堂々のベストワンだ。

第2位「aprilia RS660」

軽量コンパクト・丁度いいパワーで操る楽しさ再発見

新開発の水冷並列2気筒は鼓動感があって回転はスムーズ。最高出力100psは普通のライダーが思い切って楽しめる“丁度いいパワー”である。

400ccクラス並みのコンパクトな車体に最高峰モデル「RSV4」と同格の電子制御パッケージを詰め込むなど、単なるスケールダウン版ではない同クラストップの走りを本気で狙ってきた作り込みが見事。

軽い車体と中速トルクに厚い穏やかな出力特性により、早いタイミングでアクセルを開け始められるので結果的にコーナー脱出速度を乗せられるメリットも。それでいてフルカウルスポーツとしては低めのシートと高めのハンドルが与えられ、街乗りやツーリングもこなせる懐の深さがある。

そして適正価格。バイクを操る楽しさを、あらためて実感できる。

第3位「Triumph TRIDENT660」

初めての外車に最適な3気筒マシンが伝統の名で復活

かつて5度のマン島TTレース優勝を誇った伝統の3気筒レーサーの名を持つトライデントは、ミドルクラスにおける新たなスタンダードを目指す新世代ロードスターである。新開発の水冷3気筒は最高出力81psと扱いやすさ重視のチューニングとしつつも全域にわたる豊かなトルクと独特のハスキーサウンドが魅力。

現代的ミニマルフォルムの中にトライアンフ伝統のDNAを織り込んだスタイルが斬新だ。走りは軽快そのもので、SHOWAやNISSINの足まわり、ライドモードにトラコン、ABSやスリッパーなど安全装備も万全。コネクト機能付きTFTを装備する先進性もマル。そして税込100万円を切るお手頃価格!

シンプルな中にも機能とデザインを融合した今の時代感にフィットしたモデルだ。

第4位「DUCATI Multistrada V4S」

V4と2輪初レーダーを得て無敵のマルチマシンへ進化

スポーツ、アーバン、ツーリング、エンデューロという4つのカテゴリーを1台に凝縮したムルティストラードがついにV4エンジン搭載の最新型へと進化。

パニガーレV4系をベースに最適化されたクラス最強170psのパワーはスーパーバイク並みに凄まじく、新たに19インチ化された前輪とオフロード寄りに作り変えられた軽量コンパクトな車体によりダートの走破性も格段にアップ。最新電子制御のフルサポートを受けてちょっとしたエンデューロモデル並みの走りも可能になった。

そして、注目すべきは世界初の2輪用レーダーシステムの導入だ。高速道路で自動追尾するACCとパックミラーの死角を検知するBSDなど4輪で培われた安全運転支援技術をいち早く取り込んだ先進性は高く評価したい。

第5位「BMW R 18 Transcontinental」

王者にガチ勝負を挑んだBMW渾身の大陸横断クルーザー

今に至るBMWの礎を築いた名車R5(1936年)をオマージュしたヘリテージクルーザーとして誕生したR18。その豪華版大陸横断クルーザーがR18トランスコンチネンタルである。

最大の特徴はフラットツイン史上最大排気量1800ccを誇る水平対向2気筒、通称ビッグボクサー。怒涛の極太低速トルクはアイドリング+αでも6速で高速クルーズできてしまうほど。

また、車体はツーリングシャーシと呼ばれる新たな設計でベースとなったR18以上に軽快でスポーティな走り。大型カウルと本格的ハードケース、英国マーシャル製スピーカーが奏でる高品質サウンドがバイクらしからぬ快適でラグジュアリーな時間と空間を提供してくれる。かの北米の王者を脅かすに十分なレベルの完成度に納得。

※原文より筆者自身が加筆修正しています。

出典:Webikeニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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