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ケニー佐川が勝手に決める「2020モーターサイクル トップ5」国産モデル編

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
画像出典:Webikeニュース 撮影:星野耕作

毎年恒例のランキングを発表します。2020年に発売されたニューモデルの中からWebikeニュース編集長のケニー佐川が独断で勝手にランキング。話題性や注目度、テクノロジーや社会的インパクトなどを総合的に評価したつもりですが、あくまでも感覚的なものなので楽しみながらご参考にしていただければと。ちなみに発売前モデルは除外。では国内モデル編から発表します。

第1位「KAWASAKI ZX-25R」

30年ぶりに復活した直4スーパークォーターの輝き

カワサキが約30年ぶりに放つ4気筒250ccスーパースポーツ。空力やディメンション、重心位置などを含めZX-10Rの最新テクノロジーを注入した車体に完全新設計の超ショートストロークエンジンを搭載しクラス最強45ps/15,500rpmを実現。

トラコンにパワーモード、クイックシフターを装備するなどクラスを超えたハイスペックぶりは圧巻である。サーキット試乗会でも高速フルバンクでの安定感、メーター読みで180km/hオーバーを記録する加速性能など実力は証明済み。1万7000rpmの絶叫サウンドを楽しめるのも25Rならではの魅力だ。

だが何といっても評価したい点は「ウチがやらなきゃ誰がやる」と言い切ったカワサキ開発陣の心意気だろう。

第2位「HONDA CT125ハンターカブ」

オフも本気、大人も満足できる小さな万能バイク

カブシリーズならではの気軽さとタフさ、実用性能を兼ね備えた“遊べるコミューター”として伝統の名前で復活したCT125ハンターカブ。新型で街乗りなどの普段使いはもちろん、トレッキング性能や積載力を生かした林道ツーリングやキャンプなど、より幅広い用途で楽しめるレジャーバイクとしての魅力を前面に打ち出してきた。

不整地走行を想定してフレームや前後サスペンションも専用設計とするなど本気の作り込みが光る。実際のところ、軽量な車体としっかりとした足まわり、扱いやすいエンジンパワーでアドベンチャーモデル顔負けの走破性を見せてくれる。ディテールにも高級感があり、大人も満足できる小さな万能バイクだ。

第3位「SUZUKI ジクサー250/SF250」

MotoGPタイトル獲得!そのマシンにつながる空油冷

スズキから満を持して登場したジクサー250とそのフルカウル版のジクサーSF250。水冷ハイパフォーマンス化が進むこのクラスにあって、あえて油冷の単気筒エンジンで攻めてきた。

SOHC4バルブにスズキ十八番の油冷システムを組み合わせることで、エンジンを軽量コンパクト化しつつも同社の水冷2気筒モデルであるGSX250Rを上回るパワーと軽量化を実現している点に注目。しかも新開発の空油冷システムにはMotoGPマシンで培われた最新技術も投入されているとか。

小回りが利いて扱いやすく低燃費など実用性にも優れるところ、50万円を切るプライスも高評価。そして、スズキの2020年MotoGPタイトル獲得も大いに祝したい。

第4位「HONDA CBR1000RR-R FIREBLADE/SP」

自粛モードを破りサーキット最強を高らかに宣言

ホンダの最高峰スーパースポーツが久々のフルチェンジで登場。Rが3つに増えたことからも相当な気合の入れようは分かる。ダクトウイングなどMotoGPマシン「RC213V」の最先端テクノロジーを盛り込み、サーキット性能を極める方向で開発。

歴代CBRがあくまでもストリート主体としてきた、いわば自粛モードを打ち破って“サーキット最強”を高らかに宣言した意味は大きい。しかし一方ではレース前提のライポジや218psに達するパワーを支えるための車体の大型化など、公道での使い勝手は犠牲になっている部分も無きにしも非ず。

本来の性能を生かすためにはサーキットでしかも相当な腕前が求められるのも事実だ。

第5位「YAMAHA テネレ700」

ありそうでなかったミドル冒険マシンは走りも本格派

リッターオーバークラスが群雄割拠する人気のADV界にあって、国産初と言ってもいい本格派ミドルアドベンチャーモデルとして登場したテネレ700も今年注目すべき1台だ。

フラットトルクで扱いやすさに定評のあるMT-07由来の並列2気筒エンジンとトレール車並みの軽量スリムな車体、ロングストロークの本格的なサスペンションの組み合わせにより、卓越した走破性能を生かしてエンデューロモデル的な走りも可能。

パワーモードやトラコンなどの電子制御に頼らず“腕で勝負”的なスパルタンさも玄人受けする所以。一方で走破性の高さ故に足着き性が犠牲になりがちだが、ローダウン仕様が設定されている点も魅力だ。

※原文より筆者自身が加筆修正しています。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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