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モト・グッツィ「V85TT TRAVEL」試乗速報 さらに快適になった本格派冒険ツアラー

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
MOTOGUZZI V85TT TRAVEL 写真出典:Webikeニュース

大型スクリーンとパニアで旅力をアップ

モト・グッツィから5月中旬に発売される「V85TT TRAVEL」にいち早く試乗する機会を得たのでインプレ速報としてお届けしたい。

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1980年代のダカールラリーに参戦していたV65TTをオマージュした懐かしさ漂うデザインに最先端の技術を融合した新世代の「クラシック・トラベル・エンデューロ」として昨年デビューしたV85TT。これをベースにツーリング性能をさらに高めた派生バージョンが「V85TT TRAVEL」である。

スタンダード仕様からの大きな変更点は4つ。大型ウィンドスクリーンとパニアケース、グリップヒーター、フォグランプを標準装備したことだ。スクリーンは従来比で60%表面積を拡大することでウィンドプロテクション性能を向上。

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プラスチック素材にアルミ製インサートで補強された専用設計の大容量左右パニアケース(右側37リットル/左側27.5リットル)および3段階の温度調整機能が付いたグリップヒーター、さらにヘッドライト左右にLEDタイプのフォグランプが新たに装備された。

ライダーに寄り添ってくれる懐の深さ

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アフリカのナミブ砂漠をイメージしたサンドカラーが印象的で、光の加減によってキラキラ輝くメタリック塗装が美しい。大型スクリーンやパニアが装備されたことで、道具的なヘビーデューティ感がさらに高まった感じだ。

最高出力80psを発揮する伝統の空冷縦置き90度VツインOHV2バルブ853ccエンジンはSTDと共通でマイルドな鼓動感とスムーズな回転フィールが特徴。低中速トルクに厚いまったりとした乗り味ながら、スロットルを開ければグイグイと加速していく力強さに現代のマシンらしさを感じる。田舎道をドコドコとのんびり走るのも楽しいし、高速道路をバビューンと突っ走っても気持ちがいい。そして、見た目以上に軽快でスポーティに走る。なんというか、ライダーに寄り添ってくれる懐の広さを感じるバイクだ。

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倒立フォークとラジアルキャリパー付きのダブルディスク、ABSにトラコン、フルカラーTFTディスプレイに3種類のライディングモードなど、現代的なシャーシとそれをバックアップする電子制御の充実ぶりもSTD同様。

程よいサイズ感と適度なパワーと低いシート高のおかげで、巨大なアドベンチャーモデルが多い中ではトップ級の扱いやすいモデルと言える。こうした長所はそのままに、長距離ツーリング性能をさらに高めてきたのがTRAVELというわけだ。

モト・グッツィで旅に出たい人へ

実感したのが大型スクリーンの威力。高速巡行でも顔から両肩を含む上半身をきれいに風圧からブロックしてくれる。それでいて目線にかからないので視界もクリアだ。パニアケースの収納力も試してみたが、右側ケースには掛け値なしにフルフェイス1個が余裕で収まった。

それでいてワイドは左右のケースを含めても950mmとほぼハンドルバーの幅内に収まってしまうスリムさ。元々軽量でコンパクトな車体サイズを生かして狭く混雑した道でもストレスなく走れるところが良い。

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高速道路でタンデムにもトライしてみたが、横風を受ける高架橋などでもハンドリングへの影響は最小限だった。ちなみにパニアケース自体も軽く作られていて、開閉および脱着もメインキーひとつで簡単にできるため持ち運びにも便利。キャンプツーリングなどにも活躍しそうだ。

また、グリップヒーターも左側ハンドルスイッチで迷うことなく操作でき、ハンドガードと相まって快適に手元の暖をとってくれた。大型スクリーンと合わせてロングツーリングでは大きな味方になるはずだ。

モト・グッツィが好きで、いろいろな場所に旅をしたい人にはぜひおすすめしたい一台だ。

※原文より筆者自身が加筆修正しています。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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