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BMW新型「R18」が国内初公開 史上最大ボクサー搭載のメガクルーザーだ!

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
BMW R18 画像出典:Webikeニュース 撮影:筆者

歴史的名車を1800ccボクサーで再現

BMWの新型 「R18」が日本初公開された。BMW初の本格派クルーザーセグメントとなる完全新設計モデルである。

デザインのモチーフは1936年製の「R5」で、クラシカルなデザインと最新技術の融合によるエモーショナルで洗練されたライディング体験がコンセプトだそう。一番の特徴は新開発のBMW史上最強のボクサー・エンジンだ。70年以上の伝統を持つ空冷水平対向2気筒OHVエンジンは1802ccの排気量から最高出力 67kW(91ps)/4,750rpm を発生、2,000~4,000rpmの回転域 で常に150Nm 以上のトルクを発揮するという。

伝統的なダブルループ鋼管フレームと密閉型アクスル・ドライブを備えたリジッドフレーム風リヤスイングアーム(カンチレバー式リヤショックを配置)や開放型ドライブシャフト、スリーブで覆われたテレスコピックフォークなどR5をイメージした外観と機能性にもこだわっている。

現代的な電子制御とカスタム前提の作り

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現代のマシンらしく電子制御も投入された。ASC(ABSおよびトラコン)、MSR(いわゆるエンジンブレーキ・コントロール) に加え、「Rain(レイン)」、「Roll(ロール)」、「Rock (ロック)」の3つのライディングモードを標準装備。コーナリングヘッドライトやディスプレイ内蔵の円形メーター、キーレス・ライドなどの最新デバイスの他、後進用にリバースアシストおよび坂道発進に便利なヒル・スタート・コントロールなども工場オプションで設定されている。

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またカスタムして楽しむことを前提に、外装類やハーネスなどは簡単に取り外せるように設計されている他、Roland Sands Design(ローランド・サンズ・デザイン)とのコラボによる高品質な削り出しパーツやVance & Hines(バンス&ハインズ)によるエグゾーストシステムなど豊富な純正オプションパーツも用意されている。

勇壮にして美しい圧倒的な存在感

実車を前にした感想だが、昨年のEICMA2019で公開されたプロトタイプからさほど変わった部分はないようだが、間近で見るとその巨大さと勇壮な存在感にあらためて圧倒される。特にフラットツイン独特の左右に張り出したシリンダーの大きさは圧巻で、まるでレシプロ飛行機のエンジンのようだ。フィッシュテールと呼ばれるマフラーの形状も見事なもので、プレス成型された複雑なRを描く鋼板を重ねるように美しく溶接してある。

車重は345kgとBMWでも最重量級だが、実際に取り回してみた感じはフラットツインの低重心のおかげか意外にも軽快で、かつ押し引きでのフリクションの少なさを実感。ライポジは見た目以上にコンパクトで、ハンドル位置は腕を伸ばした自然な位置にありステップ位置もいわゆるミッドコントロールで違和感なく操れそうだった。この辺りの作り込みは人間工学を重視するBMWならではだろう。

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巨大ボクサーから弾ける骨太な鼓動感

試乗は叶わなかったが幸運なことにエンジンをかけることができた。セル一発でズドンと目覚めたボクサーはドロドロと重低音を轟かせ、スロットルをあおると骨太な鼓動感とともに若干の炸裂音を含んだ乾いたサウンドが弾けた。これをカスタムしたらさぞ……と妄想が膨らむ。

これだけの排気量なので巨大なトルクリアクションを予想していたが、バランサーのおかげか左右への揺れも少なく回転もなめらか。今すぐにでも走り出したい衝動にかられたが、今回はお披露目ということで終了。次回へのお楽しみとなった。

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さて、日本での発売時期は今年中を予定しているとのことだが、今のご時世では遅れる可能性もありそうだ。なお、公開された「ファースト・エディション」は手書きのピンストライプやメッキパーツをあしらった豪華限定仕様にも関わらず、価格は日本円で300万円を切るとの情報も。続報を期待したい。

※原文より筆者自身が加筆修正しています。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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