Yahoo!ニュース

毎日気軽に走りを楽しめるミドルスポーツ アプリリア「RS 660」が注目される理由とは!?

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
APRILIA RS660 撮影/佐川健太郎(以下同)

スーパースポーツの走りを日常で楽しむ

EICMA2019では国内外の大手メーカーによる派手なニューモデル発表が相次いだ中で、地味にだがしっかりと注目を集めたモデルもあった。その代表格として挙げられるのがアプリリア「RS 660」だろう。

「RS 660」はスーパースポーツの走りをストリートで楽しむために設計された新時代のマシンである。デザインはアプリリアV4伝統のデュアルヘッドランプに新たにDRLライトを備えたトリプルLEDのフェイスに、アプリリアレーシングで鍛えられた空力デザインのフルカウルを装着。象徴的な赤×紫のメインカラーは、ロードレース世界選手権が2サイクルレーサーで競われていた1990年代に125ccと250ccで勝ちまくっていたアプリリアのレッジーナカラー「RS 250」をオマージュしたもの。これもファンには堪えられない魅力だろう。

画像

660cc、100ps、169kgのジャストサイズ

画像

エンジンは新設計の水冷並列2気筒DOHC4バルブ660ccで、ベースは「RSV4 1100」のフロントバンクに由来するものであり、非常にコンパクトな最新世代のユニットとなっている。270度クランクで最高出力は100ps、乾燥重量169kgということで、小気味よいパルス感と扱いやすいパワーを持った軽快なハンドリングマシンであることが想像できる。

画像

フレームはエンジンを剛性メンバーとするアルミ部材で非対称形状のスイングアームもエンジンにピボット部を設けるなどコンパクト化。足まわりは調整式のKYB製φ43mmフロント倒立フォークにリンクレスの軽量なシングルリヤショック。ブレーキはフロントにφ310mmダブルディスクとラジアルキャリパー&マスターシリンダーを含む前後一式をブレンボ製に統一。ステアリング角度も十分考慮し、街中でも小回りが利く設計になっているとのことだ。EICMA会場では実車を間近で見ることができたが、とてもコンパクトで凝縮感があり、ティテールの質感も高かったと思う。

画像
画像
画像
画像

電制もV4からフルパッケージで移植

また、リリースによるとアプリリアV4から継承した高度な6軸慣性プラットフォームが採用された「APRC」電子制御フルパッケージを搭載しているというのもポイント。中排気量クラスでも手抜きはしないという意思表示だろう。

画像提供:APRILIA
画像提供:APRILIA

具体的には5つのライディングモードがあり、コーナリングABSやトラクションコントロール、ウィリー制御、エンジンブレーキなどを統合制御。その他にクイックシフターやクルーズコントロールも採用され、安全性と低燃費も実現。さらにフルカラーTFTディスプレイにはスマホ接続機能を有する新しいマルチメディアプラットフォームも用意されるなどエンタメ機能も充実している。

画像提供:APRILIA
画像提供:APRILIA
画像提供:APRILIA
画像提供:APRILIA

若者やエントリー層の期待に応えるミドルクラスへ

アプリリアも含めてだが、最近はマシンの高性能・高出力・高価格化が一段と進み、スペック的にも価格的にもなかなか庶民が手を出しにくい状況になってきている。そんな現状をブレークスルーするひとつの方向として今回「RS 660」がお披露目されたのだろう。

アプリリアとしては元々得意だったミドルクラスに回帰することで、普通のライダーや若いエントリー層が毎日のライディングの中で操れる喜びを提供したいと考えているようだ。

未だコンセプトモデルではあるが、既にスペックも発表になり実車もほぼ完成品と言える状態なので、比較的早い段階でリリースされるかもしれない。続報を期待して待つことにしよう。

※原文より筆者自身が加筆修正しています。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

佐川健太郎の最近の記事