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ヤマハがサブスク型のバイク貸出サービスを開始!レンタルバイクとの違いは? どっちが得なのか!?

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
※写真はイメージです。撮影/筆者

ヤマハ発動機は気軽にバイク体験ができる月額制バイク貸出サービス『月極ライダー』の実証実験を2019年5月20日(月)から埼玉県でスタートした。

『月極ライダー』webサイト:https://tsukigime-rider.com/

バイクライフへの敷居を下げたい

月極ライダーは保険料等込みの30日単位の月額料金でバイクを貸出し、ユーザーに所有体験を提供するサービスとのこと。体験後にそのまま購入することも可能だ。リーズナブルで気軽なサービスを通してバイクライフへの敷居を下げ、バイクに乗るきっかけ作りの支援を行うのが狙いだ。来年5月末までの期間、埼玉県内で実証実験を行い、サービスの反響・効果検証を行い、2020年以降のさらなるサービスエリア拡大や利便性を向上につなげたい意向だ。

1か月から利用可能、気に入れば購入もできる

具体的な仕組みとしては、支払総額の5%の月額料金でバイク所有を体験することができる。任意保険・各種税金・通常メンテナンスなどが利用料金に含まれ、頭金も不要ということで、諸手続などの煩わしさがなく金銭的にも気軽に始められるのがメリットだ。

専用ページを見てみると一例として支払い総額15万8,000円のスクーターの場合で月額7,900円。同じく33万8,000円の小型バイクの場合で月額1万6,900円となっている。

※写真はイメージです。撮影/筆者
※写真はイメージです。撮影/筆者

最低利用期間は30日とし、これを過ぎればいつでも返却が可能で、最長6ヶ月まで利用できる。 基本的に提携バイクショップに展示されている中古車の中からメーカーを問わず選ぶことができるのが特徴。利用後に気に入れば、貸出しショップから購入することもできる。実証実験では埼玉県にショップを展開する「はとや」(https://hatoya.jp/)の全7店舗で利用できるとのことだ。

モノからコトを売るサブスク方式

月極ライダーの仕組みは最近注目を集める「サブスクリプション」というビジネスモデルである。簡単に言うと、料金を支払うことで一定期間サービスを受けられる方式のこと。コンピュータのアプリや、音楽・動画の定額配信サービスなどがよく知られているが、つい先日はトヨタがサブスク方式でトヨタ車およびレクサスを利用できる「KINTO」を立ち上げるなど自動車業界にも広がってきている。

サブスクはモノからコトへ、所有から利用へと世の中の価値観が変化する時代にフィットした方式と言える。ユーザーの選択肢を増やすことで、クルマやバイクなどの高額商品との接点を増やし、結果として購入へのハードルを下げるのが狙いだ。

ヤマハは一方でレンタルシステムも始動

一方でヤマハ車の販売会社であるヤマハ発動機販売が昨年10月から開始したサービスとして「ヤマハ バイクレンタル」がある。こちらは既にバイク業界でも浸透している短期貸出システムで、国内で発売されているヤマハ車のほとんどの最新モデルが対象。排気量によって基本料金が設定されていて、~50ccクラスで24時間レンタルして4,500円。同じく950cc~クラスで22,000円となっている。異なるサービスなので単純比較はできないが、月極ライダー1カ月分の料金がレンタル1日の料金とほぼ同額と考えると、月極ライダーは割安感があると言えそうだ。

※写真はイメージです。撮影/筆者
※写真はイメージです。撮影/筆者

既にある会員制の月額利用サービスも好評

また、レンタルバイク大手の「レンタル819」が全国で展開している「マイガレ倶楽部」という年間利用サービスも好評だ。こちらは会員制で月額固定会費を支払えば年間24回(月最大3回、1回24時間以内)まで乗りたいときに好きなモデルをレンタルできる。入会金は12,000円で、大型免許向けの全クラス・全曜日に対応した最上級コースの場合、月額9,800円となかなかリーズナブル。普通免許向けの平日限定コースだと月額6,500円とさらに安くなる。マイガレ倶楽部の場合、一般会員に比べると車種はやや限定されるが、それでも大型スポーツモデルを含む多彩なラインナップを揃えているのが特徴だ。

気軽にいろいろか、オーナー気分でじっくりか

いずれにしてもユーザーにとってバイク選びの選択肢が増えることは望ましい。好きなときに好きな場所で最新モデルを借りられるレンタルシステムは、気軽さという点では一番だろう。購入前に試乗してフィーリングを確かめてみたり、旅先の移動手段としての利用も便利だ。

一方、月極ライダーはオーナー気分でじっくり乗ってみたい人や、憧れの名車や絶版モデルを体験してみたい場合にもおすすめだろう。否、現状ではそうした可能性を秘めている。その意味では、今後どれだけ魅力的なラインナップを増やせるかが、成功のカギを握っているように思えるのだ。

※原文より筆者自身が加筆修正しています。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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