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最近気になる”ロクゴー”国産4モデルのおすすめは!?

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
YAMAHA MT-07 ABS 画像出典:Webikeバイクニュース

役者が揃った“ロクゴー”クラス

100馬力を超えない扱いやすいパワーと200kgを切る軽い車体、100万円以内に収まるリーズナブルな価格など、我々一般庶民があまりムリしない範囲で買えて、街乗りからツーリング、スポーツライディングまで幅広く楽しめるコスパの高さで俄然注目を集めているのが650ccクラス。通称“ロクゴー”である。

ホンダから3月15日に発売される話題のニューモデル「CB650R」に触発される形で“ロクゴー”に注目したトピックスを連発してきたが、直接ライバルとして前回取り上げたカワサキ「Z650」だけでなく、ヤマハ「MT-07」やスズキ「SV650」など他にも個性的な役者が揃っているのもこのクラスの特徴だ。

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▲ホンダ CB650R

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▲カワサキ Z650

扱いやすく懐が深い「MT-07」

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▲ヤマハ MT-07 ABS

Z650の2019モデルが発売される3月1日に、ヤマハからも水冷4スト並列2気筒エンジン搭載のスポーツネイキッド「MT-07 ABS」の2019ニューカラーバージョンが発売される。MT-07は“スポーツパッション&スマート”をコンセプトに開発。走りの楽しさと市街地で映えるファッショナブルなデザイン、優れたコストパフォーマンスを兼ね備え、「普段着感覚で楽しめる運転の楽しさ」や「バイクのある豊かな生活」を提唱するモデルとして支持されている。MT-07のエンジン排気量は688ccということで厳密に言えば“ロクゴー”ではないが、まあ細かいことは抜きにしてキャラクター的には同じクラスとして位置付けたい。

ライダーのスロットル操作に対しリニアなトルクを創りだす設計思想“クロスプレーン・コンセプト”に基づき開発された270度クランクエンジンが最大のポイントで、小気味よい鼓動感とドライバビリティの良さが特長だ。ハンドリングは軽く意のまま感があり、日常使いからジムカーナなどの俊敏さを求められる競技などでも活躍するなど懐の広さを持っている。余談だが、個人的にはすべての大排気量モデルの中でもっともウイリーしやすい1台と思っている。

また、MT-07をベースにネオレトロ感満載の外観に仕上げたスポーツヘリテージモデルとして登場したXSR700はデザインセンスと各部パーツのクオリティの高さで他を圧倒している。流行に左右されない価値観、ギミックのない素材感などが印象に残るモデルだ。

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▲ヤマハ XSR700

Vツインの心地よいパルス感「SV650」

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▲スズキ SV650

一方、スズキも水冷V型2気筒650ccエンジンを搭載したスリムで軽量なロードスポーツバイク「SV650 ABS」の仕様を一部変更して既に1月23日より発売している。

SV650は軽快なハンドリングと俊敏で力強いスロットルレスポンスを持ちながら扱いやすさも兼ね備えたロードスポーツバイク。2019モデルの主な変更点はカラーリングに加え、ブレーキキャリパーを従来の2ポットから4ポットへと強化、マフラーカバーも変更されるなどマイナーチェンジが施されている。

新型SV650のプロダクトコンセプトは「原点回帰」。バイク本来の操る楽しさを求めたモデルだ。Vストローム650やグラディウス650などにも採用された実績のある水冷V型2気筒エンジンが搭載されているが、これが最高! まず国産Vツインというだけで希少価値があるし、心地よいパルス感とともに路面を蹴り出していく弾ける加速が気持ちいい。

また、Vツインには単気筒並みのスリムさがあり、特に90度Vは向かい合うシリンダーが振動を打ち消し合うため、鼓動感はあるが回転がスムーズという独特のメリットがある。さらにSV650には、発進やUターン時などに、自動的にアイドリングを少し上げてエンストしにくくするローRPMアシストという機構も付くなど、痒いところに手が届く親切設計にスズキの良心が垣間見えるのだ。

そして、スズキにもSV650の派生モデルとして、クラシカルな雰囲気のハーフカウルとセパハン、タックロールシートを装備したヘリテイジカフェレーサースタイルの「SV650X」をラインナップしている。よりグレード感と趣味性を高めた大人向けのモデルと言えそうだ。

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▲スズキ SV650X

国産“ロクゴー”をスペックで比較

このように親しみやすく身近な存在でバリエーションも充実してきた国産“ロクゴー”クラス。以下に各モデルの主なスペックを紹介しておくので、比較検討する際のモノサシにしていただければと思う。

■ホンダ CB650R

エンジン形式 水冷並列4気筒DOHC4バルブ648cc

最高出力 95ps/12,000rpm

最大トルク 6.5kgf-m/8,500rpm

車重 202kg

シート高 810mm

価格 96万1,200円(消費税込)

■カワサキ Z650

エンジン形式 水冷並列2気筒DOHC4バルブ649cc

最高出力 68ps/8,000rpm

最大トルク 6.6kgf-m/6,500rpm

車重 187kg

シート高 790mm

価格 78万6,240円(消費税込)

■ヤマハ MT-07

エンジン形式 水冷並列2気筒DOHC4バルブ688cc

最高出力 73ps/9,000rpm

最大トルク 6.9kgf-m/6,500rpm

車重 183kg

シート高 805mm

価格 77万7,600円(消費税込)

■スズキ SV650

エンジン形式 水冷V型2気筒DOHC4バルブ645cc

最高出力 76.1ps/8,500rpm

最大トルク 6.5kgf-m/8,100rpm

車重 197kg

シート高 785mm

価格 73万8,720円(消費税込)

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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