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最新“ロクゴ―”対決! CB650RとZ650、どっちがどうイイのか!?

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
写真出典:Webikeバイクニュース

ホンダから注目モデルの「CB650R」が3月15日に発売されることは先週のトピックスでもお伝えしたとおりだが、これに先行する形で3月1日にカワサキの「Z650」発売のアナウンスが流れた。大型バイク初心者でも馴染みやすいジャストサイズと扱いやすいパワー、手頃な価格で最近注目を集める650ccクラス。ガチ対決の予感を含め、盛り上がりを見せる旬な“ロクゴ―”を読み解いてみたい。

伝統シリーズを代表するミドル級

Z650は2017年にER-6nをベースにエンジンと車体を新設計とした新型ライトウェイトスーパーネイキッドとして登場。気軽に乗れる扱い易さと優れたスポーツ性能がウリである。

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▲Z650

一方のCB650Rは従来モデルのCB650Fの進化版で、エンジンと車体を全面的に見直すとともにサスペンションやブレーキなどの足回りを強化。電制システムを新たに導入しつつ、新世代CBシリーズに共通のレトロモダンなデザインで仕上げられているのが特徴だ。

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▲CB650R

Z650に関しては今回グラフィックとカラー変更のみということだが、排気量や立ち位置としては新型CB650Rとの比較対象として最適と思われる。何故ならCBもZも下は125ccから上はリッタークラスまで統一イメージでフルラインナップを揃えたシリーズモデルだからだ。その中で両者とも世界標準のミドルクラスという位置付けになる。

パワー勝負ならCB、日常域ではZに軍配か

まずはエンジンだが、CBが水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ648ccから最高出力95ps/1,200rpmに対し、Z650は水冷4スト並列2気筒DOHC4バルブ649ccから68ps/8,000rpmということで、パワー的にはCBが圧倒的。ただ、これは同排気量であれば出力は多気筒が有利なのは当然のことで仕方ない。むしろ注目したいのは最大トルクで、CBが6.5kgf-m/8,500rpmのところ、Zは6.6kgf-m/6,500rpmと、より力強いトルクを低回転から発揮している。

つまり、スタートダッシュなどの瞬発力に勝り、街乗りなどの日常域で実力を発揮するのがZということになる。一方、高回転高出力型のCBは4気筒らしい伸びやかな加速感で高速道路などではリードするだろう。

スパルタンなCBとしなやかなZ

車体に関しては、フレームは両者ともスチール製だがCBは2本の太いサイドビームで構成されたツインスパータイプであるのに対し、Zは最近のカワサキが好んで使っているトレリスタイプを採用。また、サスペンションはCBが倒立フォークとリンクレス式モノショックの組み合わせであるのに対し、Zは正立フォークとリンク式ホリゾンタルバックタイプを採用している。

スイングアームやピボット周りの作りを含め、あくまで構造から見た印象だが、CBは剛性感が高めで割とカッチリしたハンドリングであるのに対し、Zはよりしなやかな乗り味を狙っていると予想される。

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▲Z650

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▲CB650R

ブレーキに関しては両者ともフロントにダブルディスクを採用するが、CBが4ピストンのラジアルマウントキャリパーを採用しているのに対し、Zは片押し2ピストンの標準的なタイプとなっている。これはパワー差に加え、車重でもCBの202kgに対しZは187kgと15kgも軽いことを考慮しなければならず、Zにとっては必要十分な装備といったところだろう。

きっと双方とも十分軽くて俊敏な走りをするはずだが、その中でもCBはよりパワフルでガチッと止まる手応えのあるハンドリングであり、Zはより軽やかな扱いやさを持った小回りの利く走りと予測される。シート高もCBが810mmに対してZは790mmと低く、2気筒のスリムな車体を生かして足着き性も良いはずだ。

価格差は20万円弱

その他、電子制御についてはCBにはトラコンや急ブレーキ時にABSと連動してハザードランプを高速点滅させる「エマージェンシーストップシグナル」が装備されるなど充実。ABSとスリッパ―&アシストクラッチに関しては双方とも標準装備されている。

そして気になる価格だが、CB650Rの96万1,200円に対しZ650は78万6,240円(共に消費税8%込)と20万円弱の差が開いた。

狙いが異なる2台

ここまで読み進んでいただければ、予想どおりというか納得のプライスだと思うが、要は両者の狙いどころが異なるということ。ひと口に言えば、CBは格上のクラスにも挑めるパフォーマンスを持った中量級スーパーネイキッドであり、Zは日常域から気軽に乗り回せるフレンドリーなライトウェイトスポーツといったところだろう。あとはデザインの好みによって選択すれば間違いはないはずだ。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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