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ケニー佐川が勝手に選ぶ「インターモト2018」ベストマシン10

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
インターモトには世界中から珍しいモーターサイクルが集結する

先週末にドイツ・ケルンで開催された世界最大級のモーターサイクルショー「インターモト2018」を振り返り、Webikeニュース編集長のケニー佐川が印象に残ったモデルやトピックスを勝手にランキング。

マシンの話題性やインパクトの大きさ、会場での注目度やブースへの集客なども加味しつつ、あくまでも独断で決めさせていただいた。楽しみながら読んでいただけたらと思う。

第10位 Der Rote Baron

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このランキングに入れていいものか迷ったが、見た目のインパクトの大きさから是非紹介したいと思ったのがコレ。ドイツ語のネーミングを訳すと「赤男爵」。第一次大戦における、かの有名な撃墜王をモチーフにした珍バイクだが立派に走る。

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航空機用の星型9気筒エンジンは排気量3,600ccで最高出力150ps。車重も350kgと割と現実的だ。エンジンの先端にちゃんと回るプロペラが付いているのがチャームポイント。価格は6万5,000ユーロ(約1,000万円)。

第9位 Leonhart「GUNBUS410」

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ドイツのLeonhart社が開発した世界最大の市販モーターサイクルのサイドカー版。6,690ccのV型2気筒エンジンは最高出力350psとパワーも超ド級。全長約3.5mにホイールベースは2.5m、車重は950kgというからほぼクルマ並みだ。

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以前からあった2輪仕様に比べると側車が付いているので乗れそうな気もするが、日本の法規に適合するかは不明。ポイントは「市販」していることだが、価格は20万ユーロ(約2,600万円)だとか。

第8位 DUCATI 新型「スクランブラー」シリーズ

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バイク本来の自由な精神を体現した、気軽に乗れるドゥカティとして世界中で人気の「スクランブラー」シリーズの最新作。

コーナリングABSを新たに装備し、ディテールの質感アップとライポジも改良。ライダーの好みやライフスタイルに合わせて「フル・スロットル」、「カフェ・レーサー」、「デザート・スレッド」の異なる3つの個性から選べるところが魅力だ。ドゥカティの敷居を下げたのも同シリーズの功績と言えよう。

第7位 TRIUMPH 新型「ストリートツイン/ストリートスクランブラー」

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▲ストリートツイン

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▲ストリートスクランブラー

トライアンフ伝統のモダンクラシック系入門モデルが刷新。最高出力を一気に10psアップの65psとして走りのパフォーマンスを向上しつつ、ライドモードや切替式のABSやトラコンを装備するなど電子制御化。新型ディスプレイやアルミ鍛造ホイールをはじめ、ディテールの質感も向上している。

スクランブラーも幅広のカートリッジ式フォークが新たに採用されるなど、オフロード性能がより高められた。見た目以上の大きな進化を評価したい。

第6位 Kawasaki「Ninja H2」

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川崎重工のテクノロジーを結集したご存じウルトラマシンの第2世代。新型の直4スーパーチャージドエンジンは、H2SXの開発で得た知見を活かすことで、燃費そのままに最高出力231psを実現!さらにラム圧過給で243psを叩き出すという怪物ぶり。

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過給機付きとはいえ、リッター換算でMotoGPマシンを上回るパワーには戦慄すら覚える。どこまで行ってしまうのかカワサキさん!という意味でも注目せずにはいられない代物だ。

第5位 Kawasaki「Z125/Ninja125」

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▲Z125

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▲Ninja125

以前から噂になっていた125cc版が登場。他のZ&Ninjaシリーズと同じくエンジンと車体は共通で、すでに国内発売されている同250SL系水冷単気筒のスケールダウン版とも言えそうだ。ただ、車重は15kg程度軽くなっているのでハンドリングもさらに軽快になっているはず。

最高出力は欧州の小型二輪免許に当たるA1免許の上限:15psに設定したエントリーモデルということで、現地でも注目を集めていた。日本導入時期が気になるところだ。

第4位 HOREX「VR6」シリーズ

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日本ではあまり知られていないドイツのブランド「HOREX(ホレックス)」。1923年創業と歴史は古く、250cc~800ccクラスのスポーツモデルなどを作ってきた。90年代には日本のCKデザインとの合作「Horex 644 OSCA」が話題に。

その最新作、VR6シリーズはスーパーチャージャー搭載のオフセット配置シリンダーを持つ並列6気筒マシンで163psを発揮。

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オーリンズやカーボン素材を多用した軽量コンパクトな車体とプレミアム感が魅力。ほぼハンドメイドということで価格も3万5,000ユーロとプレミアム!

第3位 MOTO GUZZI「V85TT」

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モトグッツィ久々のアドベンチャーモデルが登場。丸目2灯やぽってりとしたボディラインなど親しみやすさに好感。縦置きVツインにシャフトドライブという唯一無二の伝統的レイアウトを貫く姿にも拍手を送りたい。それでいてタッチパネル式ディスプレイなど電子制御も最新式だ。

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実際に跨ってみたが、ボリューム感の割にはライポジもコンパクトで足着きもまあまあ。他のガチなADV勢とは一線を画したほのぼの感がいい!

第2位 INDIAN「FTR1200/S」

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アメリカンモーターサイクルの古豪にして伝説的カリスマを持つブランドがインディアンだ。従来のクルーザー路線から一転して、米国伝統のモータースポーツである「フラットトラックレース」をテーマにした新機軸を打ち出してきた。

2017年の全米選手権を制した実績を引っさげての堂々デビューであり、ファクトリーレーサーFTR750のレプリカとも言えるリアルなデザインと電子制御による先進テクノロジーの融合も見事。インディアンの本気度がうかがえる。

第1位 SUZUKI 新型「KATANA(カタナ)」

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今回のインターモトで最も多くの取材陣を集めていたのが新型カタナだった。本物の居合の達人を起用したPVのインパクトも大きく、会場は異様な熱気に包まれた。

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1980年に同じケルンの地で衝撃のデビューを飾ったカタナは、数十年の月日を経て再び洗練された現代のマシンとして蘇った。話題性と注目度を含め間違いなく今回のナンバーワン。日本刀を鍛造していく過程をなぞらえた、日本が誇る「モノ作り」の精神を世界に向けてアピールした姿もカッコ良かった。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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