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【冬のライディングについて#3】冬は「重ね着」テクで乗り切ろう!

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト

年末も押し迫り、寒さもいよいよ本格的になってきました。でもバイク乗りとしては、天気のいい日はツーリングに繰り出したいですよね。そこで冬のライディングの注意点について、最終回はウェアについて考えたいと思います。

レイヤリングで完璧に防寒

冬のライディングを快適にするためのポイントはずばり防寒。そのためのテクニックが「レイヤリング」です。簡単に言うとレイヤード(重ね着)すること。機能や目的の異なるウェアを重ねて着用することで、合わせ技で最大限の効果を発揮させるテクニックです。その基本構成は「アウター」「ミドル」「インナー」の3つになります。

アウターで走行風を遮断

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それぞれの目的としては、アウターは風雨を遮断するためのシェルの役割で、ヘビーオンスのナイロンなど風を通さず、走行風でもバタつかない強靭な生地が最適。加えて透湿防水効果のあるゴアテックスなどを内装しているタイプであれば、雨天にも強くムレないのでおすすめです。

ミドルは空気の層で保温

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ミドルウエアの役割は保温です。デッドエア(動かない空気の層)をアウターとインナーの間に作ることで、体温で温まった空気を外に逃がさないようにします。素材としてはフリースやダウンなどがおすすめ。バイク用が最適ですが、ウルトラライトダウンのような既製品をうまく活用するのも手です。

インナーで汗冷えを防ぐ

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インナーの役割は吸湿拡散で、汗を素早く吸収して外部に放出することで冷えを防ぎます。

肌に触れて温かく感じる起毛素材や、汗を吸って加温する素材、身体の輻射熱で保温する素材など各メーカーからいろいろなタイプが出ています。ロングスリーブ&タイツの組み合わせがベストですが、肌質との相性もあるので素材的にはどれが良いかは試してみるしかありません。

ちなみに自分はレーシングスーツ用の冬用インナーをツーリングでも活用しています。風を遮断するウインドストッパー+起毛素材なので一石二鳥なのがメリットです。

ベースレイヤードを活用する

また、自分はインナーを直に着たくないので、ヒートテックのTシャツやパンツなどを「ベースウエア(肌着)」として活用しています。

つまり4層のレイヤードで完成ということです。注意点としては重ね着しすぎてモコモコすると身体の動きを妨げたり、圧迫されて血行が悪くなってかえって冷えたりと逆効果なこと。

ジャケットの内側に防寒ライナーが最初から付いているタイプもありますので、その場合はミドルを省くなどして調整してみてください。

首、手首、足首からの風をブロック

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その他の装備としては、首まわりからの風の進入を防ぐネックウォーマーや最近ではマルチに使える「バフ」なども有効。ウインターグローブは手首まで覆う長めのタイプにジャケットの袖を入れて使うと完璧です。スキー用などは操作性が悪く危険なので間違っても代用しないでください。また、パンツの裾から足首が出ないようブーツも長めのタイプがおすすめです。雨天を考えると、グローブやブーツもやはりゴアテックスのような透湿防水タイプがベストでしょう。

電熱グッズもおすすめ

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さらに最近では電熱ウェアも進化して、バッテリー内蔵タイプなど使い勝手も向上していますので、完璧な快適性を目指すならこうしたハイテク装備の活用も考えてみてはいかがでしょう。体幹部を集中的に温めるベストタイプや、特に指先の冷えはどうしようもないので電熱グローブはおすすめです。

冬はライダーにとっても厳しい季節ですが、ちゃんとした装備と知識があれば工夫次第でなんとかなるものです。寒いからといって家の中で縮こまらず、冬のライディングを積極的に楽しみましょう!

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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