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Z900RSに早くもカフェスタイルが登場!「Z900RS CAFE」が導くものとは!?

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
KAWASAKI Z900RS CAFE

Z1の「操る悦び」を現代技術で再現

今年の「東京モーターショー2017」でも注目度ナンバーワンだったカワサキのZ900RSに早くもバリエーションモデルが登場しました。その名も「Z900RS CAFE(カフェ)」。

先週からミラノで開催されていた世界最大級のモーターサイクル見本市「EICMA」において、カワサキが正式発表したものです。

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▲Z900RS CAFE

Z900RSは往年の名車であるZ1をオマージュしたネオクラシックモデルで、RSはレトロスポーツを意味しています。40年の時を経て、当時世界最高性能を誇ったZ1が持っていた「操る悦び」を最新技術で再現したモデルということです。

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▲Z900RS

ベースになったのは、ストリートファイターとして欧州でも人気の高い現行モデルのZ900で、パワフルな水冷直4エンジンと最新の解析技術で設計されたスチール製トラスフレーム、倒立フォークにシングルショックを装備。

これに元祖Z1と見まがうほど忠実に再現されたエクステリアが与えられるなど、メーカーが作るモデルとしては珍しいほどカスタムテイストに溢れています。

プラットフォームはZ900RSと共通か!?

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▲Z900RS CAFE

そして今回発表された「Z900RS CAFE」は、それをさらにカフェレーサーというコンセプトで深化させたモデルと言えます。

写真を見るとエンジンや車体、足まわりなどの基幹となるプラットフォームはZ900RSと共通のようで、スペック的には水冷4スト並列4気筒DOHC4バルブ948ccで最高出力も82kW(111PS)/8,500rpmに落ち着くはず。

前後17インチのキャストホイールやラジアルモノブロックキャリパー装備のダブルディスク、4in1集合マフラーのデザインやステップ位置までも同じです。

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ハーフカウルに耐久レーサーのイメージも

逆に異なる点としてまず目につくのは、カフェレーサーイメージのフロントハーフカウルとカワサキ伝統のライムグリーン&ホワイトストライプで彩られた専用カラーでしょう。これは1970年代に世界耐久選手権などで活躍したZ1ベースの耐久レーサー、「KR1000」を彷彿させるカラー&グラフィックです。

さらにライポジ関係もブラック塗装仕上げのローポジションハンドルや専用の段付きシート、ショートミラーなどを採用し、よりスポーティな雰囲気を醸し出しています。

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また、良く見ると、サイレンサーにはヘアライン加工が施され、サイドカバーやラジエターカバーは黒塗りで精悍なイメージに。リヤショックにはホワイトスプリングを採用するなど、細部にまでこだわったデザインが印象的です。

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カフェレーサーは若者が作り出した文化

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そもそもカフェレーサーとは英国発祥のモーターサイクル文化のひとつで、1960年代に若者たちが集まる行きつけのカフェで腕自慢をするために改造したバイクのこと。

トライアンフやノートン、BSAといった当時の高性能マシンをより速く走らせるために、レーサーを真似して低いハンドルやシングルシート、ハーフカウルなどを取り付けて、エンジンやマフラーを改造したのが始まりと言われています。

それが「カッコいい」ということでブームとなり、流行に敏感な若者たちの心を掴んで音楽やファッションにも影響を与えつつ世界へと広がっていき、今ではクールでお洒落な空気感を持ったライフスタイルへと昇華されています。

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ネオクラシック・カフェが新たなトレンド

その意味では「Z900RS CAFE」はかつての名車Z1を現代的に解釈したZ900RSをさらにビンテージテイストを絡めてモディファイしたカフェスタイルということで、さしずめ「ネオクラシック・カフェ」とでも言うべきジャンルなのかもしれません。

新しい波はそこかしこに寄せてきていて、ホンダがミラノショーに参考出展した「ネオ・スポーツ・カフェ」をコンセプトにした「CB4 Interceptor」やスズキの「SV650X」、輸入車メーカーでも最近はBMWの「R nineT Racer」やトライアンフの「スラクストン/R」などのカフェスタイルを纏った最新モデルが増えてきている気がします。

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▲CB4 Interceptor

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▲SV650X

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▲R nineT Racer

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▲スラクストン/R

温故知新的なモノ作りの時代へ

欧州でもその流れは同じで、現地の情報筋によると今回の「Z900RS CAFE」は本家の英国でもとても注目度が高いそうです。

「ネオクラシック・カフェ」は古き良き時代を知る年配のライダーには懐かしくホッと安心できるような存在であり、当時を知らない若者にとっては新鮮でカッコよく映るようです。英国生まれのカルチャーが逆輸入された形でしょうか。

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「英国でもZは人気が高い。RSもいいけれど、CAFEはさらにウケると思うよ!」と知人は言っていました。日本でも古いLPレコードやフィルム式のカメラが最近になって細やかなブームになっているのと似て、背の中に溢れかえるITガジェットの陰で温故知新的なモノ作りがこれからは求められていくのかもしれませんね。

今回発表された「Z900RS CAFE」は2018年に国内販売予定ということなので、大いに期待して待ちましょう。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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