”クラス最強”を引っさげて新型Ninja250が登場 その真の狙いとは!?
現在開催中の「第45回 東京モーターショー2017」だが、今年は例年になく2輪のブースが盛り上がっている。各メーカーから2018年シーズンを占う真打的なニューモデルが続々と発表になっているからだ。
その中で今回注目したのは、カワサキが隠し玉として用意していた新型Ninja250(ニンジャ250)である。
3代目は完全新設計のニューマシン
2008年に初代Ninja250Rが世界戦略車として発売されたのを期に国内でも4スト250ccスポーツモデルブームが巻き起こり、CBR250RやYZF-R25、GSX250Rといった本格的フルカウルモデルが続々と登場。ついには今年春、ホンダが本気の並列2気筒スーパースポーツCBR250RRを投入し、その圧倒的なパフォーマンスで天下統一を果たしたかに見えた。
▲CBR250R
▲YZF-R25
▲GSX250R
▲CBR250RR
が、しかし、カワサキが黙っていなかった。
そもそも、このカテゴリーを国内で再構築した立役者が初代Ninja250Rである。そのプライドにかけて全力投球で仕上げてきたのが今回の新型だ。
Ninja250の現行モデルは2012年に大幅リファインされた2代目で、エンジンやフレームなどの見直しが図られデザインも変更されてはいるものの、スペック的には初代と変わらず、逆に車重は増えて大柄になるなど、近年の進化する250スポーツ戦線においてはやや時代遅れ感は否めない状況ではあった。
▲Ninja250 現行モデル
その鬱憤を晴らすかのような会心の一撃が新型Ninja250である。ちなみに新型はエンジンもシャーシも外装もすべてが新設計で、同時にデビューする新型Ninja400とプラットフォームを共有化しているのが特徴だ。
▲新型Ninja400
クラス最強39psと7kgの軽量化を実現
▲新型Ninja250
まずはスペックを見てほしい。現行モデルが最高出力31ps/11,000rpm、最大トルク2.1kgf-m/8,500rpmであるのに対し、新型は39ps/12,500rpm、2.4kg-m/10,000rpmを発生。実にパワーで26%、トルクで14%も上乗せしてきている。
エンジンレイアウトは水冷並列2気筒DOHC4バルブでボア×ストローク比も従来と同じだが、吸気効率を高めるダウンドラフト吸気やスロットルバルブの大径化、ストレート排気などにより大幅に高回転化されていることが大きい。
フレームも最新の解析技術を駆使して新設計されたスチール製トレリスタイプで、エンジンを剛性メンバーとすることでより軽量コンパクト化。フロントフォークはしなやかな乗り味を生かすため、敢えて正立タイプとしつつインナーパイプをφ41mmに大径化。
リンク式リヤショックを採用するスイングアームは路面追従性を高めるため、よりロング化しつつ、ホイールベースではなんと40mmも短縮しているという。
さらに前後ブレーキのディスクを大径化しつつABS標準装備とし、パワーに見合った制動力を確保。キャスター角も24.7度と立てられ、よりクイックな旋回性を狙っていることが分かる。
そして、車重は167kgと7kgの軽量化を実現するなど、よりパワフルで軽量コンパクトかつ戦闘的なディメンションに改められたことは一目瞭然だ。
外装も全体的にエッジの効いたよりアグレッシブな造形となり、贅肉を落としたスリムなボディラインが特徴。LED化されたヘッドライト下のスポイラーや角度の立ったスクリーンなど、レーシングマインドを掻き立てるデザインもポイントだ。
オールラウンド性能を目指した結果が「最強」
実際に跨ってみたが、とにかくスリムでコンパクト。それもそのはずで、シート部分で左右15mmずつ絞り込んだのだとか。
開発者の話では、ハンドルもやや角度を絞りつつ、ステップ位置も従来は後退しすぎていたので最適化したという。クッションの厚みを40mm増やしたというシートは従来+10mmの790mmに抑えられ、快適な座り心地と足着きの良さも両立している。
開発の狙いとしては、「スポーツ性能をより高めつつ、誰でもイージーに乗れるよう間口も広げた」ということで、サーキット最速が目標ではなく、あくまでも街乗りからツーリングまで使える「オールラウンド性能」を目指したという。
クラス最強のパワーについては、「いろいろトライする中で結果的にそうなった」とあっさりしているが、その実、今年もスーパーバイク世界選手権で圧倒的な強さでシリーズチャンピオンを獲得したZX-10Rの設計ノウハウが注がれているようだ。「カワサキは他のメーカーを見ていないので・・・」と淡々と語る開発者の言葉が印象的だった。
新型Ninja250の発売時期は2018年春あたりと見られる。逆襲するカワサキの衝撃の走りを目にする日は近いだろう。