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【新型GSX-R1000R国内仕様 試乗インプレッション】“激速なのに超安心“という新たな次元

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
SUZUKI GSX-R1000R ABS

先日、新型「GSX‐R1000R ABS」国内仕様のメディア向け試乗会が袖ケ浦フォレストレースウェイで開催された。Webikeバイクニュース編集長のケニー佐川が参加してきたので、ファーストインプレッションをお届けしたい。

コンセプトは「No.1スポーツバイク」

GSX-R1000は、これまで世界中の数々のレースで活躍してきた、スズキを代表するスーパースポーツモデルである。

今回は8年ぶりのフルモデルチェンジに加え、初の日本仕様が設定されたこともトピックだ。 日本仕様にはETC車載器と180km/h速度リミッターが装備されているが、その他に関しては欧州仕様(202馬力)と全く同じスペックとなっている。

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新型では「No.1スポーツバイク」をコンセプトに、「走る・曲がる・止まる」の基本設計を徹底的に見直しつつ、MotoGPで培った電子制御テクノロジーがふんだんに投入されているのが特徴となっている。

跨っただけで安心感が伝わってくる

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見た目は、従来モデルに比べるとひと回りスリムで、コンパクトな印象。跨ってみると、特にタンク後端からシートにかけて絞り込こまれ、足着きの良さにも貢献していることが分かる。

ライディングポジションは、スーパースポーツとしては前傾が緩めで、シートも低め。ショーワ製の最新型レーシングサスペンションも初期の沈み込みが豊富で、跨っただけでライダーの緊張感を解してくれる安心感がある。

思い切ってスロットル全開にできる

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走り出して最初に感じたのは、トルクの力強さ。「ローRPMアシスト」のおかげでスルリと発進してコースイン。タイヤを温めながらスロットルを開けていくと、モリモリと中速トルクが立ち上がってくるのが分かる。

パワーの出方はとてもスムーズで、吹け上がりはピークエンドまで淀みない。電制スロットルならではのツキの穏やかさがあり、可変バルブ機構「SR-VVT」の効果なのか、直列4気筒エンジンにありがちな二次曲線的な感じではなく、パワーカーブはあくまでフラットな感じ。

いい意味で速度感がないため、思い切ってスロットルを全開にできる。ただ、袖ケ浦では使えるのはせいぜい4速まで。ホームストレートでも、3速で速度リミッターが効いてしまう。

安全に滑らせるモーショントラックに感動

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マシンの姿勢変化を3軸6方向で制御する「モーショントラックシステム」の片鱗にも触れることができた。

スズキが推奨するサーキット走行に適したAモードとTCS(トラクションコントロール)レベル5の組み合わせで走行してみたが、ノーマルタイヤのRS10では、コーナー立ち上がりで強めにアクセルを開けると常にトラクションコントロールのインジケーターが点滅してしまう。

つまり、後輪の滑りを感知して即座にシステムが介入しているのだ。これは絶大な安心感!

気を良くして、さらに深いバンク角から開けていくと、さすがにリヤタイヤがたまらず滑り始めるが、それでも細かな“グリップ&スライド”を繰り返しながら路面を捉えてマシンを前に進めてくれる。

ひと昔前のスーパースポーツだったら、きっとハイサイドを食らって終わっていたに違いない。

これがMotoGPのテクノロジーなのか!興奮と感動のあまり全身にザワザワと鳥肌が立ってくる感じがした。

新たな次元のポテンシャル

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ハンドリングも安定志向。もちろんスーパースポーツとしての軽快さとアジリティは持ち合わせつつも、おそらく最近の新世代スーパースポーツの中では、最も落ち着きのあるマイルドなハンドリングではないだろうか。

言葉を変えれば「扱いやすさ」とも表現できる。そのフィーリングはきっと乗り手のレベルを問わないと思う。

GSX-Rシリーズが元々DNAとして持っている素性の良さと最新の電子制御の融合により獲得した新たな次元のポテンシャルと感じた。

なお、動画付きの詳しい試乗インプレッションを後日アップする予定なのでお楽しみに!

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出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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