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ホンダから新感覚アドベンチャー「X-ADV」発売! DCT搭載の“冒険コミューター”の実像とは

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
HONDA X-ADV

日常と冒険を行き来する

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ホンダがアドベンチャーモデルの新たな提案として開発した「X-ADV」を発売する。

アドベンチャーモデルの力強さとコミューターモデルの利便性を高次元で融合させたスタイリングが特徴で、「平日は都会をスマートに移動し、休日は日常を離れて冒険へといざなう“アドベンチャースピリット”を持つモーターサイクル」として開発。

遊び心あふれるモーターサイクルライフを提供することを目指している。

DCTを低中速寄りに専用セッティング

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エンジンは水冷4ストOHC直列2気筒745cc(最高出力54ps/6250rpm)で低中速での力強いトルクが特徴。これにオートマチックの簡単な操作性とマニュアルの優れた伝達効率を融合させたホンダ十八番のDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション/有段式自動変速機構)を標準装備する。

シフトスケジュールはDモード、Sモードともに低いギアを選択する領域を拡大した専用セッティングを採用することで、市街地での機敏な走りから郊外のワインディングにおけるスポーティな走りを実現。

坂道での変速タイミングを切り替えることにより、必要な駆動力とエンジンブレーキを確保する「登降坂検出制御」も採用された。

ダート走行も視野に入れた足まわり

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足まわりでは、フロントに初期の作動性と剛性感に優れるφ41mm倒立フォーク、リアには軽量の新設計アルミスイングアームと作動性に優れたプロリンクサスペンションを採用。

また、前後ホイールにチューブレスタイプのステンレス製スポークと軽量なアルミリムを採用し、郊外の荒れた舗装路からフラットダートまで軽快な走りを実現する。フロントに17インチ、リアに15インチのブロックパターンタイヤを採用するなど、アドベンチャーテイストも演出されている。

ブレーキもフロントにラジアルマウント4ポットキャリパーとダブルディスク、リアにはシングルディスクを採用し、ABS標準装備とするなど安全性も高められた。

フルフェイス1個を収納可能

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デザインは前後方向に短く塊感のあるボディと長いサスペンション、アップライトなシルエットでアドベンチャーテイストを強調。エッジの効いた統一感のあるキャラクターラインにより、力強く上質感のあるスタイリッシュな外観を実現。また、全ての灯火器にLEDを採用することで先進性を演出。

手動で5段階に調整可能なウインドスクリーンや別体型ETC車載器、スポーツグリップヒーターも標準装備されるなど、ツーリングでの快適性も向上。さらにLEDライトとアクセサリーソケットを標準装備し、フルフェイスヘルメット1個を収納可能な21L大容量ラゲッジボックスをシート下に設置するなどコミューターとしての利便性も高められている。

インテグラの進化版か!?

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▲2015年のミラノショーで出展された「City Adventure Concept」

まさに、スポーツコミューターとアドベンチャーモデルを融合させたようなモデルが誕生した。「X-ADV」は2015年のEICMA・ミラノショーでコンセプトモデルとしてお披露目されたが、今回そのままの姿で市販化されたのは嬉しい限りだ。

「X-ADV」の登場で思い出されるのが、昨年惜しまれつつも生産終了となった「INTEGRA」である。インテグラはモーターサイクルとコミューターとの融合を目指したモデルで、エンジンもNCシリーズ共通の水冷4ストOHC4バルブ直列2気筒745ccを搭載。

DCTによる簡単な操作性と独自のエアロフォルム、タンデムでの快適性も追求することで、モーターサイクルの爽快感や機動性、コミューターの利便性を高次元で両立したモデルだった。

エンジンのスペックなどからも今回の「X-ADV」に搭載されるパワーユニットはNCシリーズ系であることは間違いないところ。とすると、「X-ADV」はインテグラにアドベンチャー風味を加えて機能を拡張し、各部をアップグレードさせた進化版と見ることもできる。

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▲生産終了となった「インテグラ」

ライトな感覚の冒険マシン

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完成度を高めたDCTや充実した足まわりからもスポーティで快適な乗り味は容易に想像できるが、個人的にも興味があるのはオフロードでの走破性。

予想するに、フロント17インチのワイヤースポークホイールにデュアルパーパスタイヤを標準装備していることから、林道レベルの軽いダート走行なら普通にこなせるはずだ。

街乗りにも便利で、高速道路を使ったタンデムでのロングライドや林道ツーリングまで、DCTで楽にこなせる新感覚モーターサイクル。

普段着のまま気楽に冒険旅行に出かけて、オンとオフの生活リズムを軽やかに切り換える。

そんなライト感覚が時代の空気にフィットしたモデルと言えるだろう。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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