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【21世紀のアフリカツイン】ホンダから「CRF1000L Africa Twin」が発売!

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
HONDA CRF1000L Africa Twin

コンセプトは、UNLIMITED ADVENTURE(無限の冒険)

ホンダから注目のアドベンチャーモデル、「CRF1000L Africa Twin」がいよいよ国内投入。2月22日(月)に発売される。

1988年登場の初代アフリカツイン
1988年登場の初代アフリカツイン

新型アフリカツインは1988年に発売された初代「XRV650 Africa Twin」と同様、市街地から高速道路、さらに未舗装路まで、さまざまな道を走破できるアドベンチャーモデルとして誕生した。 「どこへでも行ける」「True Adventure」を開発コンセプトに、次世代アドベンチャーモデルにふさわしい装備や技術が搭載されているのが特徴だ。

また、デザインコンセプトに掲げた「UNLIMITED ADVENTURE(無限の冒険)」をテーマに、2灯ヘッドライトを採用するなど初代アフリカツインの個性を継承しつつ、現代のダカールラリー参戦モデルである「CRF450 RALLY」をイメージさせる冒険心溢れるスタイリングで表現するなど、伝統と新しさが融合したデザインが魅力となっている。なお、カラーリングはラリーマシンをイメージしたヴィクトリーレッド、往年のアフリカツインを彷彿とさせるトリコロール、都会の風景に馴染むデジタルシルバーメタリックの全3色が設定されている。

2016年登場の新型アフリカツイン
2016年登場の新型アフリカツイン

特徴的なユニカムエンジンとクラストップレベルの最低地上高を実現

新開発のエンジンは水冷4スト並列2気筒OHC4バルブ998ccで、モトクロス専用マシン「CRF450R」「CRF250R」などレーシングマシンの開発で培ったノウハウを活用したコンパクトな「ユニカムバルブトレイン」方式を採用。270度位相クランクによる不等間隔爆発および、ツインプラグ式「位相点火制御システム」などの採用により優れたトラクション性能と小気味よい鼓動感を獲得。エンジン背面にバッテリーなどの重量物を集中配置することでマスの集中化も達成した。また、「クランクケース内蔵オイルタンク式ドライサンプ構造」により、250mmというクラストップレベルの最低地上高を実現している。ちなみに最低地上高はオフロードにおける走破性を計るひとつの目安となるため注目したい点だ。

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3段階のシフトパターンが選択できるスポーツモードを搭載

DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)
DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)

また、NCシリーズでも実績のあるホンダ独自の二輪用としては世界初となる有段式自動変速機構「デュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT)」をタイプ設定しているのも見逃せないポイントだ。DCTとは、マニュアルトランスミッションの構造そのままにクラッチ操作とシフト操作を自動化した仕組み。クラッチ操作不要でライダーはスロットルとブレーキの操作に集中でき、また、通常のマニュアル式ではどうしても発生してしまう変速時の駆動力の途切れを抑えられるため、滑らかかつダイレクトな加速や減速が可能となっている。そればかりか、

マニュアル操作で任意のシフト操作が可能な「MTモード」のほか、燃費とクルージング性能を最適にバランスさせた「Dモード」、スポーティな走りをさらに追及すべく3段階のシフトパターンを選択できる「Sモード」が加えられた。

これ以外にも、新たに登降坂を推定して最適なシフトタイミングを制御する新機能を追加。不整地においても本来の性能を最大限に発揮するため、スロットル操作による駆動力変化をダイレクトに後輪へ伝達する「G-スイッチ」を装備。さらに荒れた路面でも効率よく動力を伝達する「Honda セレクタブル トルク コントロール」を全車に搭載するなど、オフロードでのコントロール性と走破性を向上させるデバイスを満載。同時に安全性も高められている。

オフロードでの優れた走行性能とオンロードで使い勝手を両立

フレームについては、適度なしなやかさと剛性を併せ持つスチール製のセミダブルクレードルフレームを採用し、オフロードでの優れた走行性能とオンロードでの安定感のあるハンドリングを両立するなど、アドベンチャーツアラーとしてのパフォーマンスを追求。

サスペンションはフロントに路面からのショックの吸収性に優れたロングストロークの倒立フロントフォークを採用し、リヤショックには工具無しで調整が可能なダイヤル式油圧プリロードアジャスターを搭載しツーリングでの使い勝手を向上。さらに前後ともフルアジャスタブル機構とし幅広い路面変化に対応している。また、ホイールはフロントとリヤに本格的オフロード走行に対応した21/18インチのスポークホイールを採用、それぞれ90/90-21、150/70R 18サイズのタイヤを装備することで走破性も高められた。

また、ブレーキはフロントに4ポットラジアルキャリパー+ダブルディスクを装備するなど制動力を確保しつつ、リヤ側はABSオン・オフの切り替えを可能とするなどオフロード走行の使い勝手を向上。シートアジャスト機構を採用し、スタンダードポジションの870mmから20mm低い850mmへ簡単に変更できる設計とするなど足着き性への配慮も見られる。

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戦略プライスと進化型DCTで勝負か!?

気になる価格だが、マニュアルミッションのスタンダードモデルがが138万2400円(税込)から、DCT搭載モデルが149万400円(税込)から、とライバル機種と比べると割安感のある戦略プライスに設定されていることも見逃せないポイントである。

最高出力は92ps/7500rpmsということで、このクラスのアドベンチャーツアラーの中では控えめな数値だが、比較的軽量(車重はスタンダード仕様232kg、DCT仕様242kg)でスリムな車体とオフロード性能にフォーカスした進化型DCTの実力、そして現在進行形で開発が進められているラリーマシンからの技術的フィードバックなどを考え合わせると、これは相当面白いモデルと言えそうである。試乗できる機会が今から楽しみだ。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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