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【危険な歩道】歩道を安心して歩ける世の中にしたい

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
歩道が危険とは誰も思っていない

運転者要因の事故の多発

先週に続き事故の話をしたい。したくないがせずにはいられない、そんな心境だ。最近、歩道にクルマが突っ込み歩行者をなぎ倒すパターンの事故がやたら目に付く。WEBや新聞のヘッドラインをチェックしていると、一週間に一度はそんな記事が飛び込んでくる。道路を横断中の事故ということであればそのリスクも想像できるが、普通は歩道が危険とは誰も思っていない。歩行者にとって安全なはずの歩道がまったく気を許せない危険な場所になってしまっているのだ。

原因は運転者自身の問題がほぼ100%である。未だに多い飲酒運転や脱法ハーブ(危険ドラッグ)の摂取、てんかんやそれに類する潜在的な疾患、そして急速に増えつつある高齢者の認知症など。2トンもの鉄の塊が猛スピードで無防備の人々に襲いかかるのだ。飲酒や薬物などの未必の故意は論外だが、たとえ病気であってもそれが言い訳になるはずもない。疑わしいと思ったら本人だけでなく、周囲の人がもっと積極的に関与して「乗らない」「乗せない」ようにすべきだ。

クルマだけではない。バイクが運転操作を誤って歩道に乗り上げ、人をはねるケースも発生している。クルマによる幅寄せや左折巻き込みに起因する事例もあるようだが、いずれにしても事故の当事者になってしまえば言い訳はできない。二輪による乱暴運転も目立つ。ヘルメットを斜めに被り顎ヒモもせず、だらしない恰好で大きくラインを外して膨らんでくるバイクがいる。私事だが先日も住宅地の段差のない路肩を歩いていたら、スクーターがはみ出してきて当たりそうになった。自分ならまだしも、これが子供だったらと思うとぞっとした。と同時に怒りが込み上げてきて、追いかけて注意してやろうかと思ったほどだ。彼はそのまま走り去って行ったが、きっと同じようなことをあちこちでやっているのだと思う。

事故を無くすために

クルマに話を戻すが、こうした事故を無くすためには、やはり自動ブレーキなどの安全装置の普及が急務だと思う。強固なガードレールなどで歩道と車道を完全に分離することも考えられるが、こうした道路の構造的な大改造を全国レベルで行うことは現実的には難しいだろう。クルマの「自動化」にはもちろんいろいろな意見はあるだろうし、法制化するためには問題点について語り尽くす必要があるだろう。ただ、その間にも悲惨な事故は起き続ける。そう思うと、とてもやるせない気持ちになるのだ。

※原文から著者自身が一部加筆しています。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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