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【R1世界最高峰へ挑戦】ヤマハが新型R1で「2016スーパーバイク世界選手権」に5年ぶりに復帰!

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
YAMAHA FACTORY RACING TEAM 2015鈴鹿8耐より

ヤマハのヨーロッパ現地法人「Yamaha Motor Europe N.V.(YMENV)」が2016年のスーパーバイク世界選手権(WSBK)に参戦することを発表した。ヤマハがファクトリー体制でWSBKに参戦するのは2011年以来5年ぶりのこと。ライダーには現在WSBKで活躍するシルバン・ギュントーリとアレックス・ローズを起用し、「YZF-R1」とともに2009年のベン・スピース以来となるチャンピオン獲得を目指す。

YMENVは今年、新型「YZF-R1」の投入に合わせ、ヨーロッパでレース活動と技術開発などWSBK復帰に向けて準備を進める中で、イギリスを拠点にBSB、WSBK、MotoGPなど豊富なレース運営経験を持つ「Crescent Racing」とのパートナーシップを締結、イタリアのスナックメーカー「PATA」をタイトルスポンサーに迎えるなど万全の体制を整えてきた。

新生ヤマハファクトリーチームの期待を担うライダーのギュントーリは1982年生まれのフランス人で、2007年にTech 3 Yamaha Teamから「YZR-M1」でMotoGPに参戦、2014年にはWSBKチャンピオンを獲得しているほか、世界選手権GP250や英国スーパーバイク選手権(BSB)など経験豊富。今年度はホンダ(Pata Honda World Superbike Team)から参戦し現在ランキング6位と健闘している。一方のローズは1990年生まれのイギリス人ライダーで、2013年に最年少でBSBチャンピオンを獲得、2014年にWSBKにデビューした若手の最右翼。現在はVoltcom Crescent Suzukから参戦中で、今年の鈴鹿8耐でもヨシムラ・スズキ・シェル・アドバンスから参戦し5位入賞を果たしている。

思い返せば、今年3月にプレス向けに開催された「2015年モータースポーツ活動計画発表会」において、ヤマハ発動機の木村副社長自らが「ヤマハ発動機の創立60周年の節目となる今年、これまで国内外で積み重ねてきた挑戦の歴史とチャレンジ精神をさらに推し進めていく」と力強くコメントしていた。また、「国内におけるレース活動を技術力の向上や人材育成を行う重要な開発拠点と位置づけ、継続的に力を注いでいく」とし、全日本選手権すべてのカテゴリー(ロードレース・モトクロス・トライアル)、および鈴鹿8耐へのファクトリーチームによる参戦や、2016年からのWSBK復帰についても宣言していた。

そして公約どおり、2015年の鈴鹿8耐では2002年以来となるファクトリーチーム「#21 YAMAHA FACTORY RACING TEAM」を投入。日本が誇るエースの中須賀克行、現役MotoGPライダーであるポル・エスパルガロとブラッドリー・スミスの3人が新型「YZF-R1」で参戦し、1996年以来19年ぶり通算5回目の優勝を獲得。予選でも耐久レースとは思えない「2分06秒000」のスーパーラップを記録してポールポジションを獲得するなど、新型R1のポテンシャルをいかんなく見せつけたことは記憶に新しい。

また、全日本ロードレース選手権JSB1000クラスでは、YAMAHA FACTORY RACING TEAMの中須賀が5戦中4戦連続ポール・トゥ・ウィンを飾る圧倒的な強さでクラス4連覇へ向けて躍進しているところである。

というように、国内レースシーンにおいて今のヤマハは敵無しの状態。まさに年初に描いて見せたロードマップどおりの展開となっている。ただ最近のWSBKではヤマハ系の有力チームやライダーは見当たらず、その意味ではここ数年で著しい進化を見せているカワサキを筆頭とするライバル勢との対決にも注目が集まる。果たしてこの快進撃が来年度はWSBKで見られるか、期待を込めて見守りたい。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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