【ターゲットは経験豊かなライダー】スズキからスーパーネイキッド「GSX-S1000/F」が発売!
スズキは、2014年秋にドイツ・インターモトで発表した「GSX-S1000 ABS」と「GSX-S1000F ABS」を2015年7月6日より発売する。優れたパフォーマンスで定評のあるスーパースポーツ「GSX-R1000」由来のエンジンを新設計のアルミツインスパーフレームに搭載。幅広いパワーバンドと軽快なハンドリング、高い耐久性を併せ持った高性能スポーツモデルであるGSXシリーズの伝統を受け継ぎつつ、さらにストリートでのエキサイティングな走りを追求した最新モデルとして生まれた。ちなみに「R」はレーシング、「S」はストリートを意味することからも、今回のGSX-Sの立ち位置は明らかである。
ターゲットは多くのモデルを乗り継いできた経験豊かなライダー、80年代~90年代のバイクブームを支えてきたベテランライダーをイメージしているという。実際にコンセプト開発の陣頭指揮を執った寺本氏によれば、「自分が本当に欲しいバイクを(スズキに)作ってもらった」そうだ。ヨーロッパに長く赴任した経験もある同氏は、本場アルプスのワインディングなどで欧州ライダー達とともに走りながら、彼らの週末の過ごし方やツーリングスタイルなども深く考察してきたという。
そこで再認識したのは、「ストリートモデルに求められるのはラップタイムを縮めるための道具ではない。仲間と走る高揚感、そして走り終わった後でもカフェでの心地よい語らいを楽しめるものでなくてはならない」という思いだった。
「日本で言うなら、週末の午前中にワインディングを走り込んでスカッと爽快な気分で帰ってこられる感じですか。午後はもちろん家族サービスで(笑)」。いわば大人としてのバランス感覚をも含めたバイクに乗ることの "楽しさ" "面白さ" を最後まで掘り起したのだという。
「クラウチング・ビースト」(うずくまる野獣)のデザインコンセプトをそのまま体現したような精悍なフォルムが特徴の「GSX-S1000 ABS」とそのフルカウルバージョン「GSX-S1000F ABS」。そのパワーユニットは2005-2008年型のGSX-R1000用がベースとなっている。開発段階では当然歴代R1000のエンジンを試したが、今回のコンセプトに最もマッチした出力特性を持っていたのがこの年式だった。スーパースポーツの中では比較的ロングストロークの設定で、豊富なトルクを生かした低中速域での扱いやすさと伸びやかなパワーの立ち上がりを重視した結果だ。
音質へのこだわりもポイント。排気音だけでなく高速域でライダーの耳に入る吸気音にもサウンドチューニングを施し、野獣(ヒョウ)が咆哮するような迫力ある音質を再現した。
電子制御テクノロジーも積極的に投入され、ABSだけでなくトラクションコントロールシステムも標準装備。先のV-Strom1000に投入されたシステムをベースに「3モード+OFF」の設定とすることでより細かな路面状況の変化にも対応。リヤタイヤのホイールスピンを検出し、秒間250回の精度で点火タイミングとセカンダリスロットルバルブの開度をコントロールすることでエンジン出力を制御、145psのパワーをより効率的かつ安全に路面に伝える。また、今回新たにスズキイージースタートシステムを導入し、ギヤがニュートラルであればクラッチを握らずともワンプッシュでエンジン始動が可能に。さらに、半クラ時に自動的にエンジン回転数を高めてエンストを防止するアシスト機構を新採用。上り坂での発進やUターン時の安心感を大いに高めてくれるはずだ。
なお、フルカウル仕様の「F」については、スペック的には車重が若干重い以外はSTDモデルと共通となっている。開発者の話では、防風性に優れるため高速ツーリングなどではより快適で、ハンドリングもSTDより落ち着きがあるとのこと。走りのステージとしては、STDがツイスティなワインディングが得意としたら、「F」は欧州的ななだらかな高速コーナー向けといったところか。また、車重や走りのシーンの違いを想定して、前後サスペンションの設定も僅かに変えているそうだ。
価格は「GSX-S1000 ABS」が111万5640円、「GSX-S1000F ABS」が116万6400円ということで、同カテゴリーの中でもかなり抑えた価格設定となっている点も魅力的だ。スズキとしてはリッターネイキッドクラスでは久々のブランニューモデルとなるGSX-S1000/F。それだけでも注目だが、欧州仕様と同じフルパワーが、しかもこのプライスで手に入るとなると、これはちょっと落ち着いていられないかも。