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【改造マフラー50万円以下の罰金も】「不正改造車を排除する運動」バイクに関する注意点は!?

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
「不正改造車を排除する運動」二輪版ポスターより

すでに伝えられているとおり、6月1日より国土交通省は「不正改造車を排除する運動」を全国的に展開。6月を強化月間に設定している。不正改造車を市場から排除するのが目的だが、今回は特に二輪車を対象とした効果的な街頭検査を全国168カ所で実施するとしている。そこで主にバイクに関係するポイントに絞ってまとめてみた。

今回対象となる悪質事案として5項目が挙げられていて、特に二輪車においては以下の2項目が重点項目となっている。

■灯光の色が不適切な灯火器及び回転灯等の取付け

■騒音の増大を招くマフラーの切断・取外し及び基準不適合マフラーの装着

これらに該当する場合は、整備命令を発令し、従わないときには車両の使用停止等を含む厳正な処分を行なうとしている。

また、各運輸支局等に相談窓口として「不正改造車・黒煙110番」を設置し、寄せられた情報に基づいて、不正改造車ユーザーに対して改善や改修を求める他、不正改造を行った者に対する立入検査などにより、これの抑止・早期発見と指導を行なうとのこと。加えて、不正改造防止の啓発を目的としたポスターやチラシを大量に配布し、積極的に不正改造の排除を呼びかけるとしている。

そもそもこの「不正改造車を排除する運動」については、平成18年から実施していて今に始まったことではない。実施内容も当初から一貫しているが、今年は特に二輪車が重点項目となったことが我々ライダーとしても気になるところだ。

趣味でカスタムを楽しんでいる二輪ユーザーが特に心配なのは、概ね「不適合マフラー」の件であろう。

要旨を簡単にまとめてみると、適用車種としては「平成22年以降に製作された自動車(二輪車)および原付バイク」が対象となる。不適合事例としては、マフラーの芯抜きや切断はもってのほかだが、注意したいのは「バッフル等の騒音低減機構を容易に除去できるマフラー」。要するにバッフル脱着式タイプは構造的に一発アウトだ。

音量規制としては加速走行騒音が「82dB以下(原付は79dB以下)」が適合であり、それを超えるものは違法。自分のバイクのマフラーの音量が分からないという人もいるだろうが、マフラーに「自動車製作者表示」や「性能等確認済表示」などの表示があるものはオーケー。つまり、純正マフラーはもちろんだがJMCAなどの政府認定の確認機関の表示付き、あるいは輸入車であればEU指令適合品表示(いわゆるeマーク)があれば大丈夫だ。

では、不正改造車のユーザーに対しては、どのような措置が取られるのか。

該当車両には整備命令のステッカーが貼られ、15日以内に運輸支局等へ持込み確認が義務付けられる。これに従わない場合は「50万円以下の罰金」となり、もしステッカーを剥がしたり車両提示しない場合は最大6ヶ月の使用停止、車検証やナンバープレートの没収となる。また、不正改造を実施した者に対しても「6ヶ月以下の懲役」または「30万円以下の罰金」となるなどの重い処分が待っている。

そもそも、不正改造は道路運送車両法第99条の2(不正改造等の禁止)により、保安基準に適合しない改造そのものが「犯罪」と見なされている。つまり、不正改造車に乗っているライダー自身だけでなく、そうして違法改造を施した業者に対しても責任を求めているのだ。

禁止薬物などと同じで、「知らなかった」では済まないのが法律である。直管マフラーやレース管なども許容された "ゆるい時代" を知る人からは昔を懐かしむ声も聞かれそうだが、時代とともに環境も変われば法律も変わる。成熟した社会では独り善がりは通用しないと知るべきだ。もし自分の愛車が今回の取り締りに該当するケースであるならば、大人の判断で速やかかつスマートな対応を求めたい。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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