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ホンダが新型ビッグアドベンチャーモデル「CRF1000L Africa Twin」を発表

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
HONDA CRF1000L Africa Twin

ホンダが新型アドベンチャーモデル「CRF1000L Africa Twin」を15年中に欧州で発売することを発表した。昨年11月のEICMA2014(ミラノショー)に出展した「True Adventure プロトタイプ」で示した方向性を製品化したモデルということだ。

新型アフリカツインには歴代モデルの優れた特性に加え、HRCのダカールラリー復帰などによって得たノウハウを投入されるなど、ホンダがこの10年間で開発に取り組んできた多くの技術が採用されているとのこと。ということは、Team HRCのワークスマシン「CRF450 RALLY」のレーシングテクノロジーもふんだんに盛り込まれていると期待していいだろう。

アフリカツインと聞くと、かつてのビッグオフを想像する方も多いだろう。初代モデルはホンダがパリ・ダカールラリーで3連覇を達成した1988年に「XRV650 Africa Twin」としてデビュー。当時最強とされたワークスマシン、「NXR750」のレプリカとして高い人気を得た。サハラ砂漠をイメージしたカラーリングが採用されるなど、パリダカがまだアフリカの大地を舞台にしていた頃のイメージを投影したモデルだった。エンジンは水冷4ストOHC3バルブV型2気筒を搭載し最高出力58psを発揮。バランスのいい車体とパワフルなエンジン、大柄な割に軽量な車体とフロント21インチホイール、プロリンク式リヤショックなどの本格的な装備により高い走破性と機動力を誇った。まだアドベンチャーツアラーというジャンルが確立されていない時代のまさにビッグオフローダーと呼ぶに相応しいアグレッシブなマシンだった。

では今回の新型アフリカツインはどんなマシンなのか。

ホンダのリリースによると「CRF1000L Africa Twinは、オンロード、オフロード双方で高い走行性能を持つ大排気量のアドベンチャーモデルとして、ホンダの新しい「True Adventure:真の冒険」の歴史を切り開くデュアルパーパスモデル」であり、「同カテゴリーで初となる、新開発のデュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT)モデルも設定。この新型DCTは、Africa Twinの名にふさわしい、オフロードで優れた性能を発揮できる仕様」となっているが、具体的な情報はまだ公表されていない。

ただ昨年のミラノショーに引き続き、今年の東京・大阪モーターサイクルショーでもあえて泥だらけで展示された「True Adventure プロトタイプ」を見る限り、本気でオフロード性能を作り込んだモデルであることは間違いないようだ。海外メディアが伝えるところによると、エンジンはツインでも完全新設計の水冷並列2気筒。排気量は1000cc、最高出力は100ps程度という情報もある。それが本当であればエンジンレイアウト的にはヤマハの「XT1200Zスーパーテネレ」あたりがライバルになりそうだ。また、ホンダはすでに「VFR1200Xクロスツアラー」や、よりオンロード寄りの「VFR800Xクロスランナー」など、V4エンジン搭載のクロスオーバーコンセプトのモデルを有しているが、その中でニューアフリカツインがどう位置づけられるかも興味があるところだ。

21世紀のアフリカツインはどんな姿を表すのか、期待しつつベールを脱ぐのを待ちたい。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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