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【イタリアの至宝】MVアグスタの3気筒スポーツ「ブルターレ800」シリーズの上級バージョン発売に

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
『MV AGUSTA BRUTALE 800 RR』

MV AGUSTAから3気筒フラッグシップモデル『BRUTALE 800 RR』と『BRUTALE 800 DRAGSTER RR』が来年2月に発売される。

「RR」はSTDモデルの上級バージジョンとして設定され、エンジンパフォーマンスのさらなる向上、およびリファインされたシャシーと標準装備のグレードアップなどにより、パッケージとしての完成度もさらに高められた。

ちなみに現在のMVアグスタはかつて1950年代~70年代において世界のレースシーンを席巻した同メーカーとは別会社であり、90年代後半にイタリアのバイクメーカーであるカジバグループの高性能モーターサイクルブランドとして再興されたものである。

新生MVアグスタの始動にあたっては、BIMOTAの創設者でありドゥカティ916シリーズなどの歴史的名車を数多く生み出した天才デザイナーとして知られるマッシモ・タンブリーニをチーフエンジニアとして迎え、第一弾として99年に4気筒スーパースポーツ「F4」

を発表。そのネイキッド版である「ブルターレ」シリーズの中から、新世代の3気筒エンジンを搭載した最新バージョンとして今回デビューするのが『BRUTALE 800 RR』と『BRUTALE 800 DRAGSTER RR』である。

4スト3気筒DOHC12バルブ798ccのエンジンは、スタンダードのブルターレ800をベースにいくつかの重要な変更が施されている。新デザインのエアボックスの採用によりφ50mmスロットルボディの高い位置にインジェクターを設置することが可能となり、Eldor EM2.0 ECUとミクニ製フルライド・バイ・ワイヤーのスロットルボディで構成される燃料噴射システムを進化。1気筒あたり2本のインジェクターに増設することで、高回転域におけるパワーを犠牲にすることなく、スムーズかつプログレッシブな出力を低中回転域から発揮できるようにした。これにより最高出力はスタンダードの125ps/11500rpmに対して、140hp/13,100rpmと大幅にアップ、最大トルクも86Nm/10,100rpmと上乗せされた。

また、4エンジンマップ(ノーマル・スポーツ・レイン・カスタム)と8段階調節トラクションコントロールシステムを搭載。新クイックシフター『EAS2.0』によりクラッチ操作不要でシフトアップ&シフトダウンも可能に。さらにスリッパークラッチとステアリングダンパーを標準装備とするなど、「扱いやすさとレーシングパフォーマンスの融合」という開発コンセプトを具現化している。

車体はALSスチールパイプのトレリスフレームと2つのアルミ合金プレート、および片持ち式アルミ製スイングアームによって構成され、最適な剛性バランスと軽量化を実現。足回りはフロントに軽量化された新しいマルゾッキ製フルアジャスタブルタイプのφ43mm倒立フォークに、DLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)コーティングを採用し、耐久性とスムーズな作動を確保。リヤのザックス製リヤショックも同様にフルアジャスタブルとなっている。

ブレーキはフロントにブレンボ製4ピストンラジアルマウントキャリパー+φ320mmフローティングダブルディスクを採用、リヤも同様にブレンボ製 2ピストンキキャリパー+φ220mm シングルディスクを採用。ボッシュ9プラスABSシステムにRLM(リヤホイール・リフトアップ・ミティゲーション)を装備することで、ブレーキング時における後輪のリフトアップを緩和するなどハイグレードな装備を誇る。また、アルミ鋳造ホイールには、5本スポークタイプの新しいデザインが採用された。

一方、大胆にテールが切り詰められた力強いデザインが特徴のブルターレ800ドラッグスターRRは、大型マッドガードやスポークホイールを採用する他、メーターまわりのデザインも変更されるなど、共通のエンジンと車体でありながら、よりアグレッシブな印象のモデルに仕上がっている。

なお、販売価格はBRUTALE 800 RRが1,792,800円(消費税込)、BRUTALE 800 DRAGSTER RRが2,084,400円(消費税込)となっている。

アートと工学、感性とパフォーマンスが融合したイタリアが誇る名門ブランドの逸品。ぜひ自分の目でその輝きを確かめてみてほしい。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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