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電動1輪バイク「Ryno」がいよいよ発売開始! シティコミューターの新潮流になりうるか!?

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
「Ryno」

画期的な電動1輪車が市販される。米国オレゴン州ポートランドに本拠を置く「RYNO Motors」が今年4月から「Ryno」の出荷を開始する予定だ。

「Ryno」は25インチのタイヤにサドル型のシートがついた電動1輪バイクのような乗り物である。現在、同社CEOのクリス・ホフマンが7年前に趣味として始めたのが話題となり、これまでもプロトタイプが度々メディアで取り上げられるなど注目を集めてきたが、いよいよ誰でも買える製品としてデビューすることになったのだ。

「Ryno」の最高速度は時速約16キロで、1回のフル充電で約16km走行可能という。つまり、フルスピードで1時間程度走れる計算だ。ちなみに充電時間は6時間でバッテリーは脱着式を採用。20%までの勾配に対応できるので、市街地での急な坂道などにもほぼ対応できるという。

操縦方法だが、加速させる場合は体を前傾させるたけでオーケー。減速する場合は逆に体を後ろに傾ければいい。自動的にバランスをとるための詳しい仕組みは不明だが、動画の走行シーンなどから察するに、「セグウェイ」やホンダが開発を進める次世代型パーソナルモビリティ「UNI-CUB」などと似た仕組みのようだ。つまり、傾斜角度などを感知するジャイロセンサーと前後への駆動力を生み出すモーターの組み合わせだ。

ただ、セグウェイは旋回を制御するハンドル付きの横2輪車であり、ユニカブも厳密には前後2輪(後ろに旋回用車輪がある)であることを考えると、「Ryno」のバランス制御テクノロジーはなかなかのものだ。

さらに驚くのは速度。時速16キロと言えば、市民マラソンのアマチュア選手並みのスピードである。レポートでは「車体の総重量は72.5kgで極端に下部が重く、地面に根が生えているような安定感がある」とのことだが、これだけの重量を持つ物体のバランスを1輪で制御するのは、「ハンドブレーキも用意されている」とはいえ、物理的に非常に難しいはずである。しかも、フル積載で50kg程度の荷物も積めて、フロントに装備されたスタンドで駐輪も楽々という。

参考までにホンダのユニカブは室内バリアフリー空間限定で、最高速度6キロ、航続距離も6kmだ。

気になる価格は5295ドル(約55万円)と意外にリーズナブル。「Ryno」が本当に安全にその性能を実現できるのであればまさに画期的。騒音や排気ガス、駐車スペース、高齢ドライバーなどの問題も含めて、都市部における近距離交通の在り方を根本から変える可能性をも秘めているといえるだろう。日本にお目見えする日が楽しみだ。

出典:Webikeバイクニュース

参考:RYNO Motors

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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