「部活週2休」有名無実化 文科省の指針

(写真:アフロ)

■運動部 週に2日以上の休みを

・中学校は週に2日以上の休養日を

・高校は週に1日以上の休養日を

・長期休業中はまとまった休養日を

・平日は2~3時間まで、土日は3~4時間まで

これらはすべて、文部科学省がかつて運動部活動に関する報告書のなかで示した、運動部の適切な活動量(休養のあり方)である。

中学校では週に「2日以上」、高校でも週に「1日以上」の休みが要請されている。

■生徒のQOLを重視

上記の指針が、文部科学省(旧文部省)の「運動部活動の在り方に関する調査研究報告書」において提示されたのは、1997年のことである。同指針はそれ以降、とくに撤回されることもなく、ここ数年でも複数の教育委員会が部活動指導のガイドライン作成において参照している[注1]。

報告書では「これまでの運動部活動では、活動日数等が多ければ多いほど積極的に部活動が行われているとの考えも一部に見られた」ことが反省され、「スポーツ障害やバーンアウトの予防の観点、生徒のバランスのとれた生活と成長の確保の観点などを踏まえると、行き過ぎた活動は望ましくなく、適切な休養日等が確保される」べきと主張されている。

■現実は指針に逆行

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ベネッセの第1回・第2回「子ども生活実態基本調査」をもとに筆者が作成
ベネッセの第1回・第2回「子ども生活実態基本調査」をもとに筆者が作成

しかしながら、なぜ20年も前の指針を、教育委員会が引用するのか。その答えはまさに、「いまだにそれが実現していないから」ということに尽きる。

いや、それどころか状況はもっと悪くなっているとさえ言える。

上記指針の「2日以上の休養日」、「平日は3時間まで」を一つの基準として全国調査を見てみると、図に示したとおり、一週あたり6日以上、一日あたり3時間以上の活動が現在おこなわれていて、さらにその割合が2004年と比較して2009年でいっそう大きくなっているのである[注2]。

文科省の規制方針に逆行するかたちで、日数も時間数も増加している。もはや「文科省の指針は有名無実化してきた」と言うべきであろう。

■週3休養日の実践例

「ゆとり部活動」を実践する、現役中学校教員の藤野悠介さん。その「生徒の心に火をつけるためのブログ」によると、指導を担当するソフトテニス部は、「火曜日完全オフ+土日はほぼやらない(生徒から大好評)」というかたちで週に約3日の休養日を設けている。それでも県大会上位まで勝ち進んでいる。

もちろん、休養日を設けることが勝利につながる保証はないし、そもそも勝利を目指す必要はないのかもしれない。私たちが藤野先生の取り組みから学ぶべきは、毎日休みなく練習し続ける以外にも、運動部の実践方法がありうるということである。そして、そのことは、すでに20年も前の国の指針に明記されている。

[注1]

たとえば、大阪市教育委員会「大阪市部活動指針―プレイヤーズファースト」(2013年9月)や、長崎県教育委員会「運動部活動指導の手引」(2014年1月)などがある。

なお、文部省「運動部活動の在り方に関する調査研究報告書」に記載されている推奨例の詳細は、下記のとおりである。

〔運動部における休養日等の設定例〕(参考)

中学校の運動部では、学期中は週当たり2日以上の休養日を設定。

高等学校の運動部では、学期中は週当たり1日以上の休養日を設定。

練習試合や大会への参加など休業土曜日や日曜日に活動する必要がある場合は、休養日を他の曜日で確保。

休業土曜日や日曜日の活動については、子供の[ゆとり]を確保し、家族や部員以外の友達、地域の人々などとより触れ合えるようにするという学校週5日制の趣旨に適切に配慮。

長期休業中の活動については、上記の学期中の休養日の設定に準じた扱いを行うとともに、ある程度長期のまとまった休養日を設け、生徒に十分な休養を与える。

なお、効率的な練習を行い、長くても平日は2〜3時間程度以内、休業土曜日や日曜日に実施する場合でも3〜4時間程度以内で練習を終えることを目処とする。長期休業中の練習についても、これに準ずる。

[注2]

詳しくは、ベネッセによる第1回・第2回「子ども生活実態基本調査」を参照。この調査には運動部にくわえて文化部の生徒も含まれている。なお、一日あたりの時間数については、元の質問紙では「1時間未満/1時間くらい/1時間30分くらい/2時間くらい/2時間30分くらい/3時間くらい/3時間30分くらい/4時間くらい/4時間以上」と選択肢があったものを、本記事では便宜的に「2時間30分くらい」までを「3時間未満」、「3時間くらい」以上を「3時間以上」に分類し図示している。