■お正月も練習

2016年が始まった。「お正月くらいはゆっくり」と思っている人たちも多いことだろう。

しかしTwitter上では、「元旦から部活ってどういうことなんだよ」「大みそかと元旦しか休みがない」と、お正月中の部活動に関する生徒の嘆きも散見される。

部活動が生徒に与える負荷については、「昔からみんなそれを乗り越えてきた」「いまの子どもは弱くなった」といった議論がある。だが、そうした生徒の劣化論を唱える前に、お正月の練習を含めて、中学生や高校生がいまどのような状況にあるのか、その全体像を把握しておく必要がある

部活動顧問の過重労働(記事「部活『やりたくない』先生の訴え」)にも関連する課題として、以下、中学生や高校生における「過重部活」の実態の一端に迫っていきたい。

■部活動の活動日数が増加

まず、部活動の日数に関する全国調査を見てみよう。

一週間あたりの活動日数は、中学校と高校いずれにおいても増加している。
一週間あたりの活動日数は、中学校と高校いずれにおいても増加している。

ベネッセが2004年と2009年に実施した全国調査(第1回・第2回「子ども生活実態基本調査」)によると、部活動(運動部、文化部)の一週間あたりの活動日数は、中学校と高校いずれにおいても増加している。

中学校の場合、2004年調査の時点ですでに週に「6日」が36.9%でもっとも多く、「7日」の12.4%と合わせて、約5割を占めている。それが、2009年になると「6日」が40.0%、「7日」が14.8%で、計54.8%にまで増加している。

高校では、中学校と比べて「7日」の割合が大きく増えて、しかも中学校と同様に、2004年から2009年にかけて、「6日」と「7日」の合計値が増加している(2004年は計62.9%、2009年は65.1%)。

週に6日または7日ということは、平日の5日間すべて部活動に参加し、さらに土日にも参加するということである。学校教育の中核に据えられる授業でさえ週に5日(あるいは6日)の実施である一方で、学校教育の付加的な活動である部活動が週に6日や7日実施されているという事態である。

■中学生も高校生も「休みがほしい」

中学生・高校生ともに「一定の期間休みたい」という回答が増加
中学生・高校生ともに「一定の期間休みたい」という回答が増加
中学生・高校生ともに「休みが少なすぎる」と不満を訴えている
中学生・高校生ともに「休みが少なすぎる」と不満を訴えている

そして、「過重部活」が進むなかで、生徒は「休みがほしい」と感じている

神奈川県教育委員会の調査によると、「一年間のある時期に休みの期間を設けること」について「そう思う」と賛意を示した生徒の割合は、中学校の場合、2007年の時点で約6割(59.9%)であったものが、2013年には約7割(69.5%)にまで上昇している。高校生にも同様の傾向がみられ、2007年に61.5%が「そう思う」と答えていたものが、2013年には74.4%にまで増大している。

また、東京都教育委員会による2001年の調査では、運動部活動に関する悩み(18項目から複数回答可)のなかで、「休日が少なすぎる」は、中学生で2番目に多く、高校生ではもっとも多く選ばれている。

■生徒のためにも、先生のためにも

Twitterから聞こえてくる、お正月中も休めない生徒たちの嘆きは、けっして部活動参加者の多数派ではないにしても、今日の「過重部活」の象徴的な存在であるような気がしてならない。

先月下旬に、現職の若手教員らが立ち上げたばかりの「部活問題対策プロジェクト」は、顧問教員の過重労働を含めて、部活動に関連したさまざまな問題を「部活問題」と総称している。そのなかの一つに、生徒が受ける負荷として「連日の長時間練習による弊害」を指摘している。

教員の側からいま、教員自身の負荷にくわえて、生徒の負荷にも光が当てられようとしている。部活動のあり方はこれから先、複数の角度から検証されていくことになるであろう。そのとき、部活動の過熱ぶりをひそかに支えている私たち市民の意識もまた批判的に検討されなければならない。