部活動 先生も生徒も 本音は「休みたい」――「みんなやりたいと思っている」勘違い

一週間の活動日数は、理想では「5日以下」が過半数、現実には「6日以上」が大多数

■年末年始の運動部活動

世間はすっかり年末年始の休日モードだ。だが、いまだに休日が訪れない世界がある。学校の部活動である。

ツイッターを検索すると、大晦日や元旦を除いてすべて部活動が入っているとか、それどころか大晦日や元旦にまで部活動があるとのつぶやきを見かける。

多くの部活動は、そこまで厳しいものではない(と信じたい)ものの、これを機に一つ考えたいことがある。それは、部活動の日数についてである。

■お互いに強制し合っている?!

中学校や高校では、平日の朝夕はもちろんのこと、土日祝日まで部活動を実施しているところは少なくない。

「土日にまで、なんで部活動やるの?」と先生に尋ねると、「生徒がやりたがるから…」という答えが返ってくる。他方で、生徒に同じことを尋ねると、「先生が、“やるぞ”と言うから」だという。なんだか、不思議なことが起きている。

部活動ありきの世界では、教員と生徒がお互いに、あるいは教員の間や生徒の間でもお互いに、「みんなやりたいと思っている」と勘違いしているだけなのではないだろうか。

■先生と生徒の本音

ここで、一つ興味深いデータを示そう。神奈川県で中学校と高校の運動部活動に関して、教員や生徒等を対象に実施された調査がある【注1】。そこからは、部活動の日数の「理想」と「現実」が見えてくる。

中学校における運動部活動日数の「理想」と「現実」(神奈川県の調査をもとに筆者が作成)
中学校における運動部活動日数の「理想」と「現実」(神奈川県の調査をもとに筆者が作成)
高校における運動部活動日数の「理想」と「現実」(神奈川県の調査をもとに筆者が作成)
高校における運動部活動日数の「理想」と「現実」(神奈川県の調査をもとに筆者が作成)

調査では、教員と生徒それぞれに対して、一週間における実際の活動日数(現実)と、適当であると思う活動日数(理想)が質問された。その結果のグラフからは、次の2つのことが読み取れる。

1) 教員も生徒も回答傾向が酷似している。

2) 活動日数の「理想」は5日以内だが、「現実」は6日以上。

先生も生徒も思いは同じ――「部活動は、やりすぎだ」と感じている。中学校と高校いずれの場合においても、先生と生徒の両者ともに一週間の活動日数は、「理想」では過半数が「5日以下」と答えているが、「現実」には「6日以上」の実施が多数派である。とくに中学校ではその傾向が強い。

■10年の間に活動日数が増加

さらに、気がかりなことがある。

じつは10年前にも同じ調査が実施されている。その調査結果との比較をみてみると、1998年から2007年にかけて、中学生の「6日以上」の活動割合が増加しているのである。確実に、土日祝日も、休養ではなく集団での運動部活動に充てられる傾向が強まっているのである。(ただし、高校生はわずかに減少している。)

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2008年以降の変化は不明である。どうか,この傾向が続いていないことを願う。神奈川県には、ぜひ新たな調査を期待したいところである。

■負荷と回復、オンとオフ

スポーツにおいては、負荷と回復、オンとオフの使い分けが重要であることは、よく知られている。

生徒の「休みなき部活動」は、「みんなやりたいと思っている」との勘違いのまま、進行し続けている可能性がある。そしてこれは、生徒にとってだけでなく、先生にとっても好ましいことではない【注2】。

お正月休みの期間中、大きなバッグを片手に学校に向かう生徒たちの姿を見かけたとき、ぜひこの記事のことを思い出して、子どもたちそして先生たちの部活動問題を考えてもらえれば幸いである。

注1:神奈川県教育委員会「中学校・高等学校生徒のスポーツ活動に関する調査報告書」。2007年の6月から7月にかけて実施。神奈川県内中学校、高等学校に在籍する生徒とその保護者、神奈川県内中学校、高等学校に在職する教員などが対象。調査の詳細は、こちら

注2:「公立中学校 部活動の顧問制度は絶対に違法だ!!」では、現役の公立中学校教員による、教員の立場からの部活動問題が語られている。