Clubhouseはこのまま伸びるか?SNSが大ヒットするために越えるべき壁とは。

Clubhouseはこのまま伸びるか?越えるべき壁とは。(画像は「いらすとや」)

音声SNSのClubhouseが話題です。Apple、iPhone専用のアプリですが、AppStoreでのダウンロードランキングでは1位をキープ。 認知も急速に伸びています。。

音声SNS「Clubhouse」5割以上が認知。1週間で2.7倍の伸び【LINEリサーチ調べ】

https://news.yahoo.co.jp/articles/758fdf132a790944de7021d88f76f883617c7f54

約1年前に発表されたアプリですが、日本では今年1月20日過ぎに突如として火が付き、ユーザ数が広がって大きな話題となっています。

とくに、最近では、著名経営者から、芸人さん、女優さん、俳優さん、アイドルなどが続々と参入してきて、そのナマの声が聞けたり、直接話すチャンスもあるなど、とても「熱い」コミュニティになっています。

Clubhouseはこれから伸びるSNSとして、その将来性や危険性についても各種メディアで連日のように取り上げられています。果たして、FacebookやTwitterのように、定番のSNSとして定着するのでしょうか?

IT批評家として著名な尾原和啓さんが、先日、Clubhouseの中で参加者を限定したルームを作り、そこで議論されていたので、その内容をまとめます。

(尾原さん及び発言者の方の許可を得て記事化しています)

今のClubhouseは「ボーナス期」だ

現在のClubhouseには毎日のように各界の著名人が新規に入ってきています。

新しいコミュニケーションをちょっと見てみたいという気持ちから、その場にいる人と気軽に話をすることが多いようです。

有名人・著名人と同じコミュニティにいて、普通に対等に話ができる。という環境は他になく、それがClubhouseの熱狂の一つの原因になっています。

ソーシャルネットワークの世界では、ごく少数のひとたちだけが大きな影響力を持ち、大多数の参加者はほとんど影響を持ちません。

そういうネットワークのことを「スケールフリーネットワーク」と言います。

スケールフリーネットワークでは、各界を代表するような人たち同士が結節点となって複数のネットワークをつなぎます。

これを「優先結合」と言います。

あなたが招待枠を2つ持っているとして、どんな人に配りますか?やはり話の面白い人に声をかけますよね?Clubhouseは招待制なので、初期の段階では、話の面白い人や各界のメジャーな人に声がかかりやすかったと言えます。

現時点では全体の輪がまだ小さいので、各界の著名人と比較的繋がりやすい状況にあります。全体の輪がだんだん大きくなってくると、通常の社会と同じぐらいの薄さとなっていくため、状況は変わっていきます。

著名人と繋がりやすい現在のClubhouseは「ボーナス期」だといえます。

コミュニティには3つの型がある

SNSなどのコミュニティには大きく分けて3つの型があります。

トップダウン型は情報提供型ともいい、リーダー的な存在の人が、フォロワーの人に何かを教える。というスタイル。セミナーのようなものです。ボトムアップ型は逆に井戸端会議の延長。親しい者同士の普通のコミュニケーションです。そして、なにか特定のジャンルにつよいこだわりのある人達が互いに持ち寄るのが偏愛型。もちろん、「トップダウンとボトムアップの中間的なコミュニティ」なども存在します。全体としてこの3つの軸で捉えることができます。Clubhouseのコミュニティも内部ではこの3つで捉えることができます。

トップダウン型

トップダウン型では、リーダー、「グル」的な存在から最先端の情報がもたらされます。参加者が共感を持って聞くというよりも、客観的に情報を得るような目的(と、一部の熱狂的な信者)で参加しています。

Clubhouseの日本での広がりに置いては、ベンチャー経営者、VCおよび、彼らに呼ばれてきたメディア関係者がトップダウン型のコミュニティを作り、全体を牽引しました。

他では聞くことができない貴重な話を好きなだけ無料で聞ける。というのが熱狂につながっています。

ボトムアップ型

ボトムアップ型はトップダウン型とは真逆で、元々の知り合い同士やなんらかの共通点のある人達がグループを作り、会話を楽しみます。特別貴重な話がされるというよりも、共感をもって互いに意思疎通できるのが楽しい、というコミュニティです。比較的小規模なことが多いです。

偏愛型

このコミュニティでは、趣味や技術などの特定のジャンルにおいて深い理解を示す人たちが集まっています。この場においては、底でしか得られない話題があり、かつ、共感性も非常に高いという中毒性の高いコミュニティになっています。対象によってコミュニティは細分化されますので、人数は必然的に小規模にならざるを得ません。

SNSの拡大の様子

SNSが拡大していくときは、おおよそ下記のようなイメージです。

最初は特徴があり、強い魅力のある人たちが集まった「トップダウン型」のコミュニティがたくさん発生します。そこに惹きつけられた一般人の方が増えるにつれ、等身大で話ができる「ボトムアップ型」が増えてきます。そして、両者の中から、「偏愛型」が生まれてきて、ネットワークがさらに多様で魅力的なコンテンツを増やしていくこととなります。ボトムアップ型、偏愛型が増えるとSNSは長続きします。

ルームクラッシャー

一方で、参加者が増えてくるにつれ、コミュニティに「空気を読まない」人が多数発生してきます。Clubhouseでは一つ一つのコミュニティが「Room」に入っていますので、ルームクラッシャーとも言える存在です。

ルームクラッシャーにうまく対応できないと、そのコミュニティはどんどん縮小します。しかし、一方的に排除すると、それはそれで言論封殺的と批判を浴びることになります。あちこちのコミュニティでルームクラッシャーが発生してくると、SNSにログインすることがなくなり、そのSNSは衰退します。Clubhouseは音声だけのメディアであるため、「面と向かっては言えない心無いひとこと」が出たり「言った言わない」の争いからトラブルが発生する可能性があります。

Clubhouseがこれから伸びていくために越えるべき壁

尾原さんは上記の話をまとめた上で伸びていくためには下記の2点に注目しているといいます。

・ボーナス期の熱狂がある間に、どれだけボトムアップ型のコミュニケーションを増やせるか?

・ルームクラッシャーに対抗するスキルのあるモデレーターが育つか?

また、同じ部屋で議論に参加していた、NIFTY-Serveでコミュニティ機能「フォーラム」の担当をしていたことのある「清田いちる」さんは

フォーラムには「初心者の部屋」があり、みんなまずはそこでそれぞれのコミュニティでのコミュニケーション方法を学んだ。一方、慣れた人は、フォーラムではなくPatioというトピックごとの小さな部屋に分かれていくことも多かった。

しかし、Patioがメインになると、新規流入が減り、コミュニティ自体が縮小していく。Clubhouseが、NIFTY-Serveでの「フォーラム」のような公的な場所を維持し、知らない人同士を横串で刺すような状況を維持し続けることは必要ではないかと思う。

これからClubhouseがどうなっていくのかはまだわかりません。

ただ、これまで日本でもたくさんのSNSが盛り上がり、そして衰退していきました。

いまの熱狂を楽しみつつ、これが半年後、1年後、どうなっているのか、注目して見ていきたいと思います。

参考記事

「Clubhouse(クラブハウス)」の魅力とは? リクルート、Google、楽天など10社の企業を渡り歩いたIT批評家が解説

https://news.yahoo.co.jp/articles/a3219d26c9d4992085c565c668065d97566381e1