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韓国軍が竹島で12月恒例の「独島防御訓練」をやっていたのに日本政府は知らなかった?

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
韓国の「独島防御訓練」(韓国海軍から)

 韓国の「聯合ニュース」が本日午後に伝えたニュースによると、韓国国防部は今月中旬に竹島(韓国名:独島)海域で下半期恒例の「独島防御訓練」を非公開ですでに実施していたようだ。

 この件では12月25日のこの欄に「『竹島』での『12月恒例』の韓国の軍事訓練を巡る謎 訓練を実施したとの報道も、日本が抗議したとの報道もなし!」という見出しを付けて、25日現在「訓練が行われていないとすれば、謎だ」と伝えたが、「聯合ニュース」によって今日になって「訓練が今月中旬に実施されていた」ことが確認された。

(参考資料:竹島での12月恒例の韓国の「独島防御訓練」を巡る謎! 訓練実施の報道も、「日本が抗議」の報道もなし!)

 韓国軍関係者が「聯合ニュース」に対して「領土と国民財産保護のため定例的にこの訓練を実施している」と、そのことを明らかにしていた。

 文在寅(ムン・ジェイン)政権下の2020年8月から「東海(日本海)領土守護訓練」に名称変更されたこの訓練は1986年から毎年実施されいる訓練で、2003年からは年2回、上半期(7月)と下半期(12月)に分けて行われている。

 今年下半期の訓練も上半期と同じぐらいの規模で行われ、海軍と海洋警察隊の艦艇が動員されただけで海兵隊による島上陸訓練は今回も行われなかった。過去には空軍戦闘機まで動員し、海兵隊による島上陸など大々的にそれも事前公開し、行われていた。

 「独島防御訓練」は日本に融和的な尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権になっても続けられ、去年からすでに3回行われている。

 「聯合ニュース」は「尹政権になってからは小規模で実施され、マスコミには知らせていない」と伝えているが、これは事実とは異なる。

 非公開は文在寅(ムン・ジェイン)前政権の2020年から慣例化しており、2020年12月の訓練もマスメディアにキャッチされるまで3週間近く秘密裏に伏せられていた。規模も大幅に縮小し、任期最後の年の2021年12月の訓練では動員されたのは水上艦4隻だけで、海兵隊による上陸もなかった。

 訓練の非公開は日本への配慮ではなく、事前に洩れれば、日本政府が反発し、中止を求めてくるからとみられている。

 それにしても、訓練が終わって2週間近く経つのに日本政府はその事実を把握できなかったことになる。

 訓練が行われていたことが明らかになった以上、日本は当然、抗議しなければならない。昨年も外務省の船越健裕アジア大洋州局長(当時)が駐日韓国大使館の金容吉(キムヨンギル)次席公使を呼び「竹島は日本固有の領土であり、韓国軍の訓練は到底受け入れられず、極めて遺憾」と強く抗議していたからだ。

 尹政権の国防部は「訓練を日本に事前もしくは事後に通告しているのか」との国防委員会所属の野党「共に民主党」の鄭成湖(チョン・ソンホ)議員の質問に「軍事外交分野の軍事機密に関することなのでお答えできない」と回答していたが、仮に事前もしくは事後通告されていたのに韓国で公になるまで日本政府が沈黙を保っていたすればそれはそれで問題となりかねない。韓国政府が仮に事前もしくは事後通告したならば日本政府はその時点で抗議しなければならないからだ。

 日米との安保協力を重視している韓国国防部は当初、日韓関係に影響を及ぼさないため訓練事実を公にするつもりではなかったのかもしれない。

 しかし、国防部がこのほど将兵向けに発行した教材の中で「独島」を「領土紛争が進行中の地域」と記述したことが問題になり、世論の批判を浴びたため領土問題での国防部の姿勢をアピールする必要上、急遽、訓練事実を公表したのではないか、との穿った見方が出ても不思議ではないぐらい、ミステリーだ。

(参考資料:「竹島」で揺れる尹錫悦政権! 新任国防長官の進退に発展か?)

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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