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北朝鮮が戦術核潜水艦を保有!SLBMに巡航ミサイル「ファサル」、核無人水中攻撃艇「ヘイル」の発射可能

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

 北朝鮮が建国75周年(9月9日)を前についに戦術核攻撃潜水艦を建造した。「金君玉(キム・グンオク)英雄」号と命名された戦術核攻撃潜水艦は日本海側を防御する海軍東海艦隊管下の水中艦戦隊に移管され、6日に進水式が行われた。

 ソ連製ロメオ級潜水艦を改造したものとみられるこの潜水艦はおよそ3千トン級と推定されるが、潜水艦にはミサイル垂直発射管が備えられていた。大きな発射管が6個と小さな発射管が4個確認できた。

 試験航海のため出港を準備していた「金君玉英雄」号を昨日視察した金正恩(キム・ジョンウン)総書記は進水式で演説を行っていたが、およそ次のようなことを強調していた。

 ▲戦術核攻撃潜水艦の建造は建国75周年への贈り物となった。

 ▲数十年にわたり我が国に対する侵略の象徴物と存在してきた核攻撃潜水艦の手段を手にしたことで敵に恐怖を与えることができる。

 ▲様々な威力のある核投下手段を大量搭載し、任意に水中から敵対国に先制及び報復攻撃することができる。

 ▲我々は8月28日を期して人民軍海軍武力の新たな全盛期を開いていくと宣言したことが決してハッタリではなかったことを見せつけることになった。

 ▲これまでは小型で、速度の速い潜水艦を多く作り、敵が攻め込んできた場合一撃でやっつけることのできる小型潜水艦の建造に注力してきたが、今後はこの戦術核攻撃潜水艦をモデルに既存の中型潜水艦も全て戦術核を搭載できる攻撃型潜水艦に改造する。

 ▲現在計画されている新型潜水艦、特に原子力潜水艦と共に既存の中型潜水艦も発達した動力体系を投入し、全般的な潜水艦作戦能力を向上させていく。

 ▲今日の戦術核攻撃潜水艦の進水式は我々が新型原子力潜水艦を建造しているのと同じぐらい、敵にとっては負担となるであろう。

 ▲我々は今後も連続的に水中及び水上戦力の現代化を引き続き見せつけ、我が海軍の核武装化を一層進めていく。

 演説で金総書記が言及した「様々な威力のある核投下手段」とは「ファサル(矢)」と称する巡航ミサイルの他にSLBM「北極星1型」と「ミニ北極星」及び今年3月に実験が行われた「ヘイル(津波)」という名称の核無人水中攻撃艇を指しているようだ。最大巡航距離1000kmの「ヘイル」の直径は80~90cmで核弾頭「火山31」(直径50cm)の搭載が可能である。

 戦術核攻撃潜水艦の詳細は明らかにされてないが、これまで北極星1号(全長7.35m、直径1.10m、射程1300kmの2段式SLBM)の発射に使用されてきたのは1990年代にロシアから購入した「コレ級」潜水艦である。

 全長67m、幅6.6m、排水量は2000トンで、速度は水面では16ノット(時速約29.7km)、水中では10ノット(時速約18.5km)で、乗務員は30~50人とされる。ミサイル搭載能力は1発で、報復手段としては実戦能力に乏しい。このため北朝鮮はロシアから購入した退役の「ゴルフ級」潜水艦をベースに密かに3000トン級以以上の潜水艦の建造に着手していた。

 なお、北朝鮮は原子力潜水艦の建造を急いでいるが、原子力技術を持つ国でしか製造できないため保有国は限られ、米国、ロシア、英国、フランス、中国、インドの6ヶ国のみである。

 韓国国防部の「2022年の南北軍事力比較」をみると、潜水艦の保有数は韓国の10隻に対して北朝鮮は7倍の70隻となっている。

 数字上では韓国が圧倒的に劣勢だが、韓国が3000トン、3600トン、そして4000トン級を有しているのに対して北朝鮮はこれまで2000トン級は1隻しかなく、後は1800トン、300トン、それに130トン級の小型潜水艇であった。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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