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北朝鮮の軍事偵察衛星発射の日はいつ? ズバリ「Xデー」を大胆予測する!

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
前回失敗した北朝鮮の軍事偵察衛星発射体「千里馬1号」(朝鮮中央通信から)

 北朝鮮は前回(5月31日)同様に偵察衛星発射を日本の海上保安庁に通告してきた。発射予定期間は今月24日の午前0時から31日の午前0時までである。

 国際海事機関(IMO)が北朝鮮の軍事偵察衛星の発射を批判する決議を採択したことに反発し、北朝鮮外務省が国際問題評論家の名で「我々はこれを我々の事前通報がこれ以上必要でないという機関の公式立場表明と見なす」と批判し、「今後、IMOは我々が行うことになる衛星の打ち上げの期間と落下地点について自ら知って対策を立てろ」と不満を表していたことから今回は事前通告せず、不意に発射するのではとみられていた。

 結局、その後、IMOが北朝鮮側の立場を機関の公式文書に反映することに同意したことから北朝鮮は一旦矛を収め、前回同様に発射を事前通告することにしたようだ。

 それにしても、前回の失敗から約3か月で再チャレンジとは実に早すぎる。今から11年前の2012年4月に「光明星3号」という名の「衛星」発射を試み、失敗した時には再発射までに8カ月間も時間を要し、12月12日に断行していた。

 今回、急いだのは何と言っても金正恩(キム・ジョンウン)総書記が6月中旬に開かれた党中央委員会第8期第7次全員会議(総会)で「早いうちに軍事偵察衛星を成功裏に打ち上げよ」と命じたことに尽きるようだ。

 そこで、注目されるのは発射日である。早ければ、2日後にはカウントダウンが始まることになるが、発射期間を1週間にしたのは何よりも天候が最優先されるからではないだろうか。

 発射条件としては雨天は論外で、風速は地上で秒速15mを越えてはならず、地上から高度30km上空でも秒速100m以下でなければならない。また、周辺20km内に落雷があってはならない。さらに周辺50km内に雨や雪が降ってはならないなど様々な気候条件をクリアしなければならない。加えて、液体燃料を使用する場合、注入が終われば、一週間以内に発射しなければならない。

 北朝鮮の天気予報をみると、発射場(鉄山郡東倉里)のある平安北道の24日の天候は曇りとなっている。午前7時頃には雨の予報となっている。夕方頃から天候が回復し、25日、26日、そして27日の午前中までは晴れ間が続いている。27日の午後からは曇りで、28日と29日は雨、そして30~31日は曇りとなっている。

 北朝鮮は過去、7回衛星を発射しているが、午後12時7分に発射された1998年8月31日の1回目を除くと、いずれも午前中に発射されている。ちなみに前回(5月31日)は午前6時27分に発射されている。

 北朝鮮は7回のうち、IMOや国際民間航空機関(ICAO)など国際機関に通告しての発射は2009年4月5日、2012年4月13日、2012年12月12日、2016年2月7日、そして2023年5月31日の計5回である。その内訳を検証すると;

 ▲2009年の時は「4月4-8日の間に打ち上げる」と通告し、5日に発射している。

 ▲2012年4月の時は「4月12-16日の間に打ち上げる」と発表し、13日に発射していた。この時は1段目と2段目の分離に失敗し、2分で空中爆発し、失敗に終わっている。

 ▲再チャレンジしたこの年の12月は「12月10―12日の間に打ち上げる」と発表したもののカウントダウンに入った10日になって「技術的欠陥が見つかったので、発射予定日を29日まで延期する」と変更を通告したものの実際には最初の予定期間内の12日に発射していた。

 ▲2016年2月の時は国際電気通信(ITU)に「8ー25日に打ち上げる」と通告しておきながら、6日になって急遽予定期間を「7-14日」に変更して、予告最初の日の7日に発射していた。

 ▲前回(2023年5月)は5月29日に海上保安庁に「5月31―6月11日の間に打ち上げる」との通告があり、これまた予告最初の日の5月31日に発射していた。

 8月24日から31日までのカレンダーをみると、25日(金)は北朝鮮の先軍の日(先軍節)であり、予告最終日の31日(木)は初の衛星発射の日でもあり、21日から始まった米韓合同軍事演習「乙支フリーダムシールド(UFS、自由の盾)」の終了日でもある。

 政治的インパクトや米韓軍事演習への対抗手段として衛星発射を利用するならば、こうした節目の日を選ぶ可能性も考えられなくもないが、失敗が許されない今回は何よりも成功させることが最優先となっているようだ。

 筆者は前回、発射日を「5月31日」とズバリ的中させたが、その根拠としたのは北朝鮮が「9」に願掛けというか、縁起を担いでいるからであった。

 建国記念日が「9月9日」、金正日(キム・ジョンイル)前総書記の誕生日が「2月16日」、そして金正恩総書記の誕生日が「1月8日」という偶然も重なってか、1文字の「9」もしくは数字を足しても末尾が「9」になれば、事を起こしてきたのがこれまでの北朝鮮のパターンである。

 こうした過去のデーターに基づけば、27日(日曜)に発射される可能性が最も高いと予想されるが、米韓の電波妨害による失敗や迎撃を警戒しているならば、フェイント掛け、予定日を変更するなど遅延行為もあり得るかもしれない。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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