「韓国が先月下旬に東京オリンピックの開会式(23日)に合わせて文在寅大統領が日本を訪れる意向を日本に伝えた」との日本発の報道に韓国大統領府(青瓦台)関係者は昨日、韓国のメディアの問い合わせに「公式に招請もされていないのに行けるはずはないだろう」と不快感を露わにしていた。

 また、日本も加藤官房長官が定例会見で「韓国側から現時点で訪日するとの通報があったわけではない」と報道を否定していた。両者の話を合わせると、水面下で文大統領の訪日を巡るやりとりはあったもののまだ決まった話ではないようだ。むしろ、流れる公算が大だ。

 「文大統領訪日」の一報に接した時、正直言って「文大統領はよく決断したものだ」と感心していた。その理由は2年前に大阪で開催された「G21サミット」に出席するため来日した際、唯一首脳会談をスルーされるなど冷淡な対応をされていたことだ。また、昨年12月に韓国で行われる予定だった日中韓首脳会談も菅首相が渋って実現しなかっただけでなく、先月英国で開かれた「G7拡大会議」でも肩透かしを食らったばかりで、何度も袖にされている経緯があるからだ。

(参考資料:韓国が不満を抱いている日本の6つの対韓「外交非礼」)

 まして、先月28日に発表された韓国の世論調査(世論調査会社「リアルメータ」が6月25日に実施)によると、大統領の訪日に「反対」が60.2%(「賛成」33.2%)と、世論は文大統領の訪日を歓迎しておらず、加えて李洛淵(イ・ナギョン)元首相、丁世均(チョン・セギュン)前首相、李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事ら与党の有力大統領候補らが揃って東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の公式ホームページの日本地図の竹島表記を理由に五輪ボイコットを主張しているだけに国内世論を無視しての訪日はリスクが高く、容易ではないはずだ。

(参考資料:「東京五輪ボイコット」に傾く韓国の世論  最新世論調査で判明!)

 それでもやって来るわけだから、これは単に3年前の平昌冬季五輪に当時安倍首相が出席してくれたことへの答礼ではなく、菅首相との会談実現の目途が立ったからではないかと推察していた。また、元慰安婦問題や元徴用工問題が解決されない限り、首脳会談には応じられないとの日本の立場を承知しているならば、手ぶらというわけにはいかないだろうと思い、「土産(解決策)を引っ提げて来日するのならば歓迎」と評価していただけにこの話が流れるとなると、正直残念で仕方がない。

 「火の無い所には煙は立たぬ」ではないが、文大統領は訪日する気は満々だった。早くから日韓首脳会談実現を前提に訪日の道を探っていたし、今年5月にも文大統領の特使として来日した朴智元(パク・チウオン)国家情報院長が菅首相にも二階幹事長にも文大統領の意向を伝えていた。

 日本はおそらく、「来るならば、礼も尽くし、会うこともやぶさかではない」という程度のメッセージは伝えていたのだろうが、正式な首脳会談を開く限りはやはり元慰安婦・元徴用工問題で日本が納得できる解決策を示すことが先決との前提条件は譲れなかったのではないだろうか。

(「竹島」に上陸していた「不法入国者」文在寅大統領の来日に問題はないのか?)

 韓国大統領府は「文大統領の訪日の可能性が完全に消えたわけではない」と未練を捨てていないようだが、日本国民の韓国に対する好感度が25%と最低で、かつ「嫌韓」「反文在寅」の日本の現況下では文大統領は「招かざる客」とみられているだけに成果の期待できない首脳会談に応じるのは得策ではないと菅首相が判断しているならば、韓国側の期待は無に終わるであろう。

(参考資料:菅総理と文大統領の支持率比較:逆転、また逆転の「低支持率競争」)