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「原発処理水放出」に続いて今度は「竹島」を理由に再燃した韓国の「東京五輪ボイコット」の動き!

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
竹島か、独島か、日韓が領有権を主張している「対立の島」(韓国外交部のHPから)

 韓国では先月は日本政府の福島原発処理水の海洋放出方針に抗議して、東京五輪をボイコットする動きが表面化したが、今度は東京五輪のホームページに掲載されている日本地図に韓国が自国の領土と主張している「竹島」が記載されていることへの反発から再びボイコットを呼びかける声がインターネットを通じて拡散している。

 原発処理水海洋放出では日本近海の全羅北道の議会が「海洋放出を決定した日本政府に対抗するために中国や北朝鮮など近隣諸国と協力して東京五輪への出場拒否など国際的な連携を強化し、共同対応する必要がある」(イ・ミョンヨン環境福祉委員長)と政府に要望書を提出したほか、政権与党「共に民主党」の所属の金承南(キム・スンナム)議員が「日本が原発処理水海洋放出の決定を撤回しない場合、日本で開催される東京オリンピック出場をボイコットすべきだ」と声を挙げていた。

 しかし、韓国政府は福島の原発処理水の放出問題でボイコットする気は毛頭ないようだ。何よりも放出はまだ2年先であること、また文在寅政権が東京五輪を南北、米朝、さらには日韓の対話の場に政治利用しようとしていたことなどがその理由だ。外交カードとして東京五輪不参加を真に検討していたならば、4月6日に「コロナ」を理由に五輪不参加を表明した北朝鮮に翻意を促すような呼びかけはしなかったはずだ。

 文在寅政権は原発処理水海洋放出に抗議して4月19日から始まった国民の青瓦台(大統領府)請願(「政府は日本福島原発の放射能汚染水放流決定を強力に糾弾し、放流を阻止してもらいたい!」)が政府に説明責任を求める基準の20万人にはるかに及ばない12,971人に留まったこと、また日本が情報提供などを含めた韓国との2国間協議に応じる姿勢であることから五輪と結び付けて騒ぎ立てるのは本意ではないようだ。

 ところが、一難去って、また一難で今度は東京五輪のホームページに掲載されている地図上の竹島(韓国名:独島)の表示をめぐり韓国が騒ぎ出した。

 韓国外交部が「日本の島であるかのように表示されている」として在韓日本大使館を通じて修正を要求したことに「地図の修正要求は受け入れられない」と日本が拒否したことが伝えられると、ネットユーザーからは「東京五輪をボイコットしよう!」「ボイコット運動を始めよう!」「放射能の国に行くのを止めよう!」などの声がSNSなどを通じて拡散し始めたのだ。

 東京五輪のホームページ内で聖火リレーのコースを紹介する全国地図で島根県の上段に竹島を指すものと見られる小さな点がつけられていたが、韓国政府は2019年7月に「独島がまるで日本の領土のように表示してある」と日本側に抗議して削除を求めていた。

 韓国の削除要求を日本は当初は突っぱねたが、韓国が国際オリンピック委員会(IOC)や各国NOCに問題提起するなど政治問題化する動きを見せたこともあってその後、東京オリンピック組織委員会が地図のデザインを変えて肉眼では見えにくくしたことによりこの問題は鎮静化していた。

 しかし、東京五輪での旭日旗の使用禁止をIOCに働きかけている徐坰徳(ソ・ギョンドク)誠信女子大学教授が最近、「肉眼で見ると消えているように見えるが、画面を拡大して見ると点が見える」と問題視し、再び韓国政府及びIOCに直訴したことから今回の騒ぎとなった。

 韓国は(2018年)平昌五輪時に南北が使用する「統一旗」に描かれた「独島」に日本が抗議し、結局IOCの勧告で「独島」を抜いたことから日本に対しても同様の措置を求めているが、仮に日本が拒んだ場合の韓国政府の対応が注目される。政治と切り離して、東京五輪に参加するのか、それとも領土問題に拘るのか、原発処理水海洋放出とは異なり、苦しい判断を強いられることになりそうだ。

 韓国は米国のスポーツデータ及びエンターテイメントサービス会社「グレースノート」が今年1月に発表した東京五輪での各国のメダル獲得予想では金メダル9個、銀メダル11個、銅メダル6個を獲得し、総合10位が予想されている。ちなみに、韓国は前回のリオデジャネイロ五輪では金メダル9個、銀メダル3個、銅メダル9個で総合で8位だった。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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