韓国野党党首の「核武装発言」に米国が真っ先に警告! 41年前の朴正煕大統領暗殺事件を彷彿!

故朴正煕大統領の41回目の追悼式に参席した金鍾仁氏(左)(国民の力のHPから)

 韓国の最大野党「国民の力」の事実上の党首でもある金鍾仁(キム・ジョンイン)非常対策委員長が「北朝鮮が最後まで核を手放さないならば、我々も核武装を考えてみるべきだ」と発言したことが物議を呼んでいる。

 金非常対策委員長の発言がオフレコ発言でもなく、酒席での発言でもなく、ソウルの外国人記者クラブが24日に主催した懇談会の席での公の発言であり、また再来年5月の大統領選挙の結果次第では「国民の力」が政権の座に返り咲く可能性もあるだけに金非常対策委員長の発言は決して軽視できるものではない。

 金非常対策委員長の唐突の「核武装発言」は北朝鮮が非核化に協力せず、核を保有し続けることを条件に発せられているが、「これまでのように米国の核の傘の下で暮しながら(北の)核脅威に対処する方法と強固な米韓同盟関係の下で核兵器を韓国に配備する方法がある」と二つの選択肢を示した上で「これらが不可能ならば、我々も核武装することを考えても良いのではないか」と真顔で語ったことからそれなりの波紋を呼ぶことになったようだ。

 この発言に真っ先に反応したのは軍事境界線で対峙している北朝鮮でも、中国でも、また日本でもなく、何と同盟国の米国、それも2006年から08年まで在韓米軍司令官兼国連軍司令官を務めたバーウェル・ベル氏である。

 ベル元在韓米軍司令官を26日に声明を出し、「北朝鮮の無責任な行動を追って自ら核兵器を追求することは、韓国の国家安保利益に決してそぐわない」と主張し、韓国が核能力を保有するようなことになれば「米国、日本、中国との安定的かつ友好的な外交・経済関係のための長期間の努力を破壊することになり、これは韓国に災難になる」と断じていた。

 同氏はまた「米国は北朝鮮の侵略に対抗して韓国と共に戦うという長期間の公約から確実に距離をおくことになるはずで、韓国に対する核の傘保障を撤回するしかない」として「日本は核で武装した韓国を直接的な脅威と見なし、これに対応するしかないであろう」と韓国に釘を刺していた。

 ベル元在韓米軍司令官が声明まで出したのは、韓国の核開発が「核ドミノ」を引き起こすことを憂慮したからに他ならない。

 米国は韓国が米国離れして、核保有に走ることを米国のアジア・太平洋戦略上、また核を独占している国連安全保障常任理事国として容認しない立場で一貫している。実際に、米国は過去、朴正煕大統領の時代に韓国が極秘に核開発を進めていたことを察知し、これを阻止したこともあった。

 当時朴正煕大統領は北ベトナムに武力統一された南ベトナムや米中国交正常化で見捨てられた台湾の教訓からいつの日か米国は米軍を韓国から撤収させ、韓国を見限るという危惧から米国離れを進めていた。実際に朴大統領は「米国が出ていくならば核を自力で開発する」(ワシントン・ポスト、1975年6月13日付)と公言し、行動に移していた。

 朴正煕政権は1976年1月に米国の反対を押し切り、カナダから重水型原子炉CANDUを1基購入する契約を結んだ。発電用の使用される天然フランを1年間稼働させると、副産物として原爆の原料となるプルトニウム239が250キログラム生産される。この年には核兵器を製造する再処理施設をフランスから輸入し、忠清南道大徳研究団地に建設する計画も立てていた。

 ウラン濃縮技術にも積極的に取り組み、1977年12月には核燃料開発公団を設立した。公団の目的は国内外の原子力技術者を総動員し、ウラン235の精密探査と濃縮技術開発を国家プロジェクトとして進め、1980年までに核燃料の国産化をはかることにあった。

 しかし、朴政権の核野望は米国によって挫かれた。韓国に再処理施設を輸出しないようフランスを説得する一方で、韓国に対しては再処理施設を購入するならば、韓国が米国から輸入する予定の原子力発電所の輸出許可と2億9200万ドルの輸出入銀行融資を棚上げにすると公然と圧力を掛けたからだ。

 肝心の朴大統領は1979年10月26日に側近の金載圭・中央情報部(KCIA)部長に暗殺されたが、この暗殺事件には「米国の関与」が取り沙汰されていた。実行犯の金載圭部長が事件後に国防部で開いた臨時閣僚会議で「大統領を殺したのは私だ。私と一緒に新しい韓国を創ろう。私の後ろには米国がついている」と語ったからだ。

 暗殺事件後ソウルに飛んだ「ニューヨーク・タイムズ」のヘンリー・スコット記者は11月4日付けの記事に韓国与党(民主共和党=当時)の創設に参加した韓国人ジャーナリストの「殺ったのは韓国人だが、支持したのは米国だ」とのコメントを掲載していた。

 朴大統領が保護国である米国の警告を無視し、米国の核の傘から外れ、核武装を秘かに進めていたため「米国から切られた」というのが「米国背後説」の根拠となっている。

 一昨日イランの首都テヘランでイランの核開発の「最重要人物」と目されている科学者が暗殺され、イスラエルや米国の関与説が取り沙汰されているが、イランであれ、北朝鮮であれ、韓国であれ、日本であれ、核保有を許さないのが「世界の憲兵」米国の方針だ。

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

有料ニュースの定期購読

「辺真一のマル秘レポート」サンプル記事
月額550円(初月無料)
月3、4回程度
テレビ、ラジオ、新聞、雑誌ではなかなか語ることのできない日本を取り巻く国際情勢、特に日中、日露、日韓、日朝関係を軸とするアジア情勢、さらには朝鮮半島の動向に関する知られざる情報を提供し、かつ日本の安全、平和の観点から論じます。

Facebookコメント

表示

※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対してヤフー株式会社は一切の責任を負いません。

Yahoo!ニュース個人編集部ピックアップ