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「日本海」か「東海」か 米国は日本の肩を持った!

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
「竹島」か「独島」か、「日本海」か「東海」か、島と海を巡る日韓の係争(写真:Fujifotos/アフロ)

 日本と韓国の間には島(竹島=韓国名:独島)をめぐる領有権係争の他に海をめぐる国際表記係争がある。「日本海」(Sea of Japan)と呼ぶか、「東海」(East Sea)と呼ぶかの争いである。

 日本、韓国、北朝鮮、ロシアの4か国が共有する海を日本は「日本海」、韓国は「東海」、北朝鮮は「朝鮮東海」(East Sea of Korea),そしてロシアは「日本海」と呼称しているが、世界の海の国際的標準と安全な航路に必要な国際規範を設けるため1929年に設立された国際組織の国際水路機構(IHO)はこの約1世紀、「Sea of Japan」と定めてきた。

 実際に、世界の地図の95%が「Sea of Japan」と明記している。例えば、インターネットポータルサイトの検索に「Sea of Japan」を入力すれば、数百万のウエブサイトと地図が検察される。その代表的なものとして、米CIAの国家情報サイトである「The World Factbook」にて韓国と日本の地図を検索すれば、全部「Sea of Japan」と表記されている。「日本海」は国際的に確立された呼称、表記となっている。

 しかし、韓国は1957年にIHOに加盟して以来、「16世紀から『East Sea』あるいは『Sea of Korea』が使われていた」と主張し、「東海」への名称変更、もしくは「日本海」との併記を求めてきた。韓国による全世界の教科書出版社、世界地図関連会社、放送局、通信社、国家情報ウエブサイトへの宣伝、ロビー活動の結果、今では世界的な地図製作出版社である「National Geographic」や米国の最大地図製作会社「Rand McNally」、また世界的観光ブック出版社「Lonely Planet」でも「日本海」と並んで「東海」が併記されている。さらに、「Economist」、「Financial Times」、 「CNN」など世界の主要言論機関や通信社などでも併記されるようになった。

 地図製作の指針となるIHOの標準海図集「大洋と海の境界」には1929年の初版から現行版まで「Sea of Japan」と表記されているが、IHOは1974年に紛争がある海域の名称はそれぞれの国が求める名前を併記するよう決議しており、一昨年4月に開かれたIHO総会でも「日本海」を単独表記している地図の改訂について関係国が話し合いをするよう勧告していた。

 そのため先月には併記問題を巡り、日本と韓国、北朝鮮との3か国協議が英国・ロンドンで非公式に行われたばかりだった。来年4月末に開催されるIHO総会までに3か国の間で妥協点を探し出すよう「勧告」されているが、日本が譲歩しない限り、韓国が求める併記採用は困難とみられている。

 そうした渦中、来日したトランプ大統領が横須賀に駐屯する在日米軍の隊員らを対象に行った演説で「Sea of Japan」と発言したわけだから韓国で波紋が巻き起こるのは当然のことで、韓国外務省は即刻「東海を(日本海と)併記しなければならない」との報道官談話を出していた。

 韓国内では「トランプ大統領が日本の肩を持った」として米国への不満が高まっているが、米国務省はトランプ大統領が「Sea of Japan」と呼称したのは「日本海が米国の表記方式になっているからである」と韓国の反発を全く意に介してなかった。

 米国務省は韓国メディアの問い合わせに「韓国が他の名称を使用しているのは知っているが、米政府としては米国の地名委員会(BGN)が決定した名称に従っており、BGNがその水域で承認した名称が『Sea of Japan』となっている」と回答したうえで「日韓両国がこの問題でお互いが同意できる方法に到達するため協力することを求める」と付け足したが、米政府はこれまでの慣行に従い、全ての公海を呼称する際、一つの名称しか使用しないことから米国が併記を受け入れる可能性は極めて少ないものとみられる。

 「東海」ではなく「日本海」と呼称したのはトランプ大統領だけでなく、ペンス副大統領も一昨年4月に豪州を訪れた際、マルコム・ ターンブル総理との共同記者会見の席で「空母・カールビンソンが数日内に日本海に到着するだろう」と「日本海」と呼んでいた。韓国のメディアは当時、「日本海」ではなく、「東海」と報道していたが、ペンス副大統領は明確に「Sea of Japan」と表現していた。

 韓国政府は数年前から米政府に対して「東海」併記を求めているが、米政府は韓国側の要求を受け入れず、北朝鮮のミサイルが日本の排他的経済水域に落下した際も、米太平洋司令部のホームページにはその都度、「Sea of Japan」と表記されていた。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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