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李明博元大統領がついに検察に出頭!朴槿恵前大統領同様に逮捕、収監へ!

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
李明博元大統領(写真:ロイター/アフロ)

 李明博(イ・ミョンバク)元大統領が明日(14日)午前9時30分、被疑者身分で検察に召還され、1年前に朴槿恵前大統領が取り調べを受けたソウル中央地検1001号室で取り調べを受けることになった。

 容疑は国家情報院特殊活動費の流用および民間から不法資金の授受、自動車部品メーカー「ダース」(旧、テブ機工)を通じた秘密資金の造成等などだ。収賄額はおよそ100億ウォン(10億円)、裏資金の造成は300億ウォン(30億円)と推定されている。

 大統領の検察への出頭は1995年の全斗煥と盧泰愚、2007年の盧武鉉、そして昨年の朴槿恵前大統領に続き、5番目となる。

 全斗煥と盧泰愚両大統領は死刑と無期懲役を求刑されたが、その後それぞれ減刑(無期懲役と懲役12年)されている。それでも、全斗煥氏の場合は追徴金が2,259億ウォン(225億円)、盧泰愚氏にも追徴金が2,838億ウォン(約283億円)も課せられた。

 盧泰愚以後も金泳三大統領の場合は次男が逮捕され、後任の金大中大統領もまた3人の息子が逮捕、裁判に掛けられたものの大統領本人らが検察に召還されることはなかった。

 しかし、盧武鉉氏の場合は、兄が逮捕され、妻にも容疑が掛けられ、また本人も賄賂授受の容疑で検察に出頭する羽目なった。前途に悲観したのか、逮捕を恐れたのか定かではないが、取り調べを受けた直後に自殺してしまった。そして、朴槿恵前大統領は賄賂授受、職権乱用など13の容疑で逮捕され、公判で30年の懲役刑と罰金1、185億ウォン(118億円)が求刑され、来月に判決を迎える。

 李明博元大統領に掛けられた主な容疑には「国家情報院特殊活動費授受疑惑」や「ダース関連疑惑」に加えて「仮名不動産取得疑惑」や「ダース地下倉庫の青瓦台文書疑惑」等がある。

 「国家情報院特殊活動費授受疑惑」とは情報機関の国家情報院が大統領秘書官らを通じて判明しただけでも20数億ウォン(2億円)の「裏金」を渡していたとの疑惑である。裏金の一部は李政権に批判的な民間人の査察に使われたり、選挙での不法世論操作に使われたり、金大中・盧武鉉前任大統領らのあら探し(ゴシップ)の費用に使用されたり、さらには夫人のブランド品購入に使われたと囁かれている。

 「ダース関連」では株価を操作し、投資資金を横領したとして逮捕され、服役した在米韓国人の金敬俊氏の投資顧問会社「BBK」(1999年設立)に李明博氏が大統領府を動員して「BBK株価操作事件」に介入した疑惑が中心となる。

 検察は李元大統領の指示で設立されたとされる「ダース」の秘密資金120億ウォン(約12億円)の造成経緯や「ダース」が「BBK」への投資金140億ウォンを金敬俊氏から回収する過程で大統領府が介入したと睨んでいる。さらに「ダース」が投資金回収のため米国で起こした訴訟の代金(370万ドル)をサムソンが収監されていたオーナーの恩赦を見返りに支払ったものとみている。事実ならば、李元大統領に収賄罪が適用されることになる。

 「仮名不動産取得疑惑」とは、李大統領が大統領在任中の2011年5月に退任後の居住のため土地(合計2、605平方メートル)を親族(息子)の名義で購入していたことで、これが不動産実名法に抵触している。

 この土地は李元大統領がソウル市長時代の2006年にこの一帯をグリーンベルトから解除したことで土地の価格が急騰した場所であった。仮に開発の利益があることを見込んだうえで、土地を安く購入したならば、業務上背任にあたる。これだけでも仮に有罪となれば、李親子共に5年以下の懲役、2億ウォン以下の罰金の刑に処せられることになる。

 「ダース地下倉庫の青瓦台文書疑惑」とは「ダース」の地下倉庫に李元大統領が現職時代に大統領府で作成した記録物が不法に搬出されていた疑惑である。これは、明らかに大統領記録管理法に抵触する。

 すでに「李明博の執事」と呼ばれていた最側近の金ベクジュン元大統領府総務企画官や李元大統領の「財団管理人」と称される李ヨンベ「金剛」代表らが逮捕されているほか、息子や次兄さらには娘婿までも検察で事情聴取を受けている。

 検察では「ダース」の実質的オーナーは李元大統領とみており、「BBK」への投資金140億ウォンを「BBK」から回収するため大統領府など政府機関を動員したとしてみて職権乱用罪や脱税罪も適用する構えだ。

 検察は様々な疑惑の中で収賄容疑の解明に全力を挙げているが、仮に1億ウォン(1千万円)でも収賄しているならば、最も重い罪となり、無期または懲役10年の実刑が求刑される。

 被疑者が元大統領だけに検察は慎重を期して、数回事情聴取をしたうえで容疑が固まれば、李元大統領を起訴する方針だが、朴元大統領のように在宅起訴ではなく、身柄を収監し、起訴することも検討している。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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