秘密裏に行われていた米特殊部隊による「斬首作戦」訓練!

潜水艇で浸透訓練する米特殊部隊「ネイビーシールズ」要員ら

 北朝鮮の対外宣伝団体である「朝鮮平和擁護全国民族委員会は」は昨日(19日)、16日から実施されている米韓合同海上演習について「サイバー攻撃戦を交えた斬首作戦計画を現実化することを検討、確定するのが目的である」として「宣戦布告なき戦争の開始である」と米韓両国を非難していた。

 北朝鮮は米韓による「斬首作戦」遂行の企図が捕捉されれば、「我々式の無慈悲な先制攻撃を開始する」と牽制しているが、北朝鮮が警戒するまでもなく、米韓は今回の演習でも先制攻撃を掛け、平壌を制圧する「5015作戦計画」に則り、北朝鮮の大量殺傷破壊兵器(WMD)の破壊と金正恩委員長ら首脳部を除去する斬首訓練を秘密裏に行っていた。

 18日付の米国のサイト「ビジネスインサイダー」と英紙「テレグラフ」によると、13日に釜山に入港した射程2000kmのトマホークミサイルを150発装着した世界最大の原子力潜水艦「ミシガン」に最精鋭特殊部隊であるネイビーシールズの「チーム6)要員らが搭乗し、訓練に参加していた。

 ネイビーシールズ「チーム6」の正式名称は米海軍特殊戦研究開発団(NSWDG)、略して「DEVGRU」とも呼ばれている。航空機や潜水艦で敵地後方に侵入し、要人暗殺や味方の救出、敵施設への破壊工作などを行う。1989年のパナマのノリエガ将軍の逮捕作戦、2003年のサダムフセイン大統領の除去作戦などで知られるが、特に2011年にイスラマバード郊外のアボタバードにある邸宅でビン・ラーディンの隠れ場を奇襲し、殺害したことでその名を世界に知らしめた。

 「人狩りマシン」.で知られるネイビーシールズ「チーム6」の演習参加が判明したのは「ミシガン」の上部に乗せられていた円筒型の設置物がドライデッキシェルター(DDS)で、特殊部隊が使用する小型潜水艇を保護、運搬する措置であることがわかったからだ。DDS内には特殊部隊要員らが水中で移動する際に利用する潜水艇が入っている。

 この潜水艇の最高速度は10ノット(時速約18km)で、電気モーターを使用するためノイズが低く、水深45mまで長時間潜水が可能。魚雷と機雷も搭載されており、最大で8名まで乗れる。米海軍広報担当者はこの潜水艇が海軍特殊部隊用であることは認めたものの特殊部隊の乗船事実の確認は拒否していた。

 米韓連合軍は朝鮮半島有事が差し迫れば、先制攻撃を掛け、平壌を制圧する「5015作戦」を始動させる。この「5015作戦」の核心の一つが「斬首作戦」である。「斬首作戦」とは特殊部隊が平壌に潜入し、北朝鮮権力指導部を襲撃、排除することが目的だ。ずばり、北朝鮮で統帥権を握っている最高司令官である金正恩委員長を抹殺することにある。

(参考資料:始動した米CIAの極秘「金正恩除去作戦」

 「斬首作戦」には精密打撃兵器や無人機(ドローン)を使ったものから特殊部隊がヘリコプターUH-60ブラックホークや浸透用輸送機MC-130で平壌に浸透する方法から潜水艦を利用して、海岸から潜入する手法などがあるが、ネイビーシールズ「チーム6」は北朝鮮の挑発脅威が高まった今年4月の米韓合同軍事演習にも参加していた。

 「除去作戦」の司令塔である米CIAのポンペオ長官は今年5月初旬に韓国を密かに訪問し、李炳浩国家情報委員長やブルックス駐韓米軍司令官らと協議を重ねたが、訪韓から1か月後の5月に北朝鮮の情報収集とサイバー攻撃を担当する「コリア任務センター」を発足させている。センターの任務は秘密工作など諜報活動がメインである。

 また、韓国軍は当初は2019年に創設する予定だった特殊部隊「特殊任務旅団」を2年前倒しして、この12月に既存の特戦団1個旅団を軸に創設される。「特殊任務旅団」はずばり金委員長の除去と戦争司令部を攻撃する部隊を指す。当然、そのモデルはネイビーシールズ「チーム6」である。両国の特殊部隊は訓練から、実戦段階でも行動を共にする。作戦遂行の際の指揮は韓国特戦団司令官が執り、米特殊部隊は韓国軍の指揮下に入ることになっている。

 トランプ大統領は今年4月に北朝鮮政策を再検討した際、金委員長の殺害を検討していた。

 米NBC「ナイトリーニュース」は4月7日に米軍高位関係者と情報機関消息筋などの話として「米国家安全保障会議(NSC)が米中首脳会談に先立ちトランプ大統領に3つの対北朝鮮戦略オプションを提示した」と報じていたが、「オプション2」が「金正恩除去作戦」であった。

 米本土を狙った北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験に危機感を深めるトランプ政権にとって国連安保理による制裁、圧力が功を奏しない場合の最後の手段は「外科手術」(武力行使)しか残されてない。しかし、外科手術には出血(返り血)が避けられない。そこで、「次善策」として浮上しているのが米CIA主導の「金正恩除去(暗殺)」作戦である。

 「時間が経つにつれ、北朝鮮の挑発を阻止するオプションは狭まる」と、北朝鮮のミサイル発射に苛立ちを露わにしていたポンペオCIA長官は7月20日、コロラド州で開かれた安全保障フォーラムで「最も危険なのは(核兵器を)支配している人物で、最も重要なのは、そうした(核)能力から(使用の)意図を持つ者を分離することだ」と述べ、「金正恩排除」の必要性を強調していた。

 また、昨日(19日)もワシントンで開かれたフォーラムで「北朝鮮は数か月後には米国を攻撃できる核能力を完成する。その前に行動しなければならない。時間が残されてない」と発言し、苛立ちを露わにしていた。

(参考資料:「ソウルを重大な脅威に陥れない」米国の軍事オプションとは何か?

 トランプ大統領は今月5日、今の状況を「嵐の前の静けさ」と称していた。その6日後には「今、何かをしなければならない。我々はこのまま放置するわけにはいかない」と述べ、軍事力行使を示唆していた。

 外交解決を唱えるティラーソン国務長官は「最初の爆弾が投下されるまで外交を続ける」と数日前に口にしていたが、仮に北朝鮮が自制できず、トランプ政権が警告を発している大陸間弾道ミサイル(ICBM)を太平洋に向け発射すれば、「斬首作戦」が本格的に始動することになるだろう。

(参考資料:トランプ大統領は米議会の同意なく北朝鮮を攻撃できるか

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て、フリー。1982年 朝鮮半島問題専門誌「コリア・レポート」創刊。1986年 テレビ、ラジオで評論活動開始。98年 ラジオ短波「アジアニュース」パーソナリティー 。2003年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会会員、日本ペンクラブ会員。著書に「在日の涙 間違いだらけの日韓関係」(飛鳥新社)「世界が一目置く日本人、残念な日本人」(三笠書房)「大統領を殺す国 韓国」(角川)「金正恩の北朝鮮と日本」(小学館)「北朝鮮100の新常識」(マサダ)「韓国人と上手につきあう法」(ジャパンミックス)など20数冊

有料ニュースの定期購読

「辺真一のマル秘レポート」サンプル記事
月額540円(初月無料)
月3、4回程度
テレビ、ラジオ、新聞、雑誌ではなかなか語ることのできない日本を取り巻く国際情勢、特に日中、日露、日韓、日朝関係を軸とするアジア情勢、さらには朝鮮半島の動向に関する知られざる情報を提供し、かつ日本の安全、平和の観点から論じます。