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米韓首脳会談で文大統領が説得できなければ、トランプ大統領は対北攻撃を決断か

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
原子力空母「ロナルド・レーガン」

明後日(29日)からワシントンで始まる米韓首脳会談を前にトランプ大統領は昨日、インドのナレンドラ・モディ総理との会談後の共同記者会見で「北朝鮮の政権はとてつもない問題を引き起こしている」と述べたうえで「北朝鮮の問題を至急に解決しなければならない」と言明した。

そうした中、英国の日刊紙「ファイナンシャル・タイムズ」のコラムニスト、ジダン・ラフマン氏は昨日同紙に掲載されたコラムで「文在寅大統領がトランプ大統領を説得できなければ、トランプ大統領の『米国ファース』政策が韓国を危険に陥れるだろう」と警鐘を鳴らした。

「韓国を危険に陥れる」という意味はずばりトランプ大統領による対北攻撃を指す。ラフマン氏は「トランプ大統領の米国優先主義政策が逆に文大統領を説得するかもしれない」と述べ、以下その根拠を記した。

―首脳会談を前にあった米高官らとの話から米国は実際に北朝鮮を攻撃するかもしれない。文大統領がこれを防げなければ、韓国が北朝鮮の攻撃目標となる。

―前高官らはトランプ大統領の発言はブラフで、米国は実際に北朝鮮を攻撃できないと言っているが、他の関係者らは「トランプ大統領は結果について十分に考慮せず、おとなしくしているのが嫌いな大統領だ。米国第一主義を主張するトランプ大統領が重視するのは米国の安全保障であって、米国の安全が脅かされる場合、実際に北朝鮮を攻撃するだろう」と言っていた。

―こうした考えはワシントンの右派の間で相当広範囲に広まっている。合理的な人物として知られるリンジー・グラハム共和党上院議員も「これ以上、北朝鮮の核脅威を看過できない。韓国にとっては不幸なことだが、米国が攻撃されないようにするには北朝鮮を攻撃するほかない」と語っていた。

―トランプ大統領は北朝鮮の核開発の保有を認めないと一貫して主張している。大統領だけでなく、参謀らも軍事力を使用できると主張している。マティス国防長官は米国が軍事力を使用すれば、朝鮮戦争(1950-53年)以来、最大の人命被害が発生すると言っている。以前のクリントン、ブッシュ政権、そしてオバマ政権は人口1千万人以上が暮すソウルが報復に合うため先制攻撃計画を引っ込めた。しかし、トランプ大統領にはそうした決定ができる。

(参考資料:クリントン大統領に対北攻撃を提言した国防長官の「回顧」

―トランプ大統領は今年4月フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領との電話会談で「我々は核兵器を持った狂人を好き勝手にさせておくわけにはいかない。我々は圧倒的な火力を持っている。北朝鮮のそれよりも20倍以上だ。しかし、それを使いたくはない。中国が北朝鮮問題に乗り出している。中国が解決できなければ、我々がやる」と言っていた。

―中国は解決できないでいる。トランプ大統領は今月20日の自身のツイッターで「北朝鮮問題を解決しようする習近平主席と中国の支援努力に感謝しているが、こうした努力は効果が表れてない」と呟いていた。これは、米国が直接乗り出すことを示唆したものだ。

(参考資料:作動する米中合作の「金正恩除去隠密作戦」

コラムの中でラフマン氏はトランプ大統領が前任者とは違って、攻撃を決断することができると指摘していたが、トランプ大統領は2000年の大統領選挙に無所属から出馬した際に出版した著書「我々にふさわしい米国」の中ですでにそのことを暗示していた。

トランプ氏は北朝鮮の核問題について「経験がある交渉家として見た場合、北朝鮮が核・ミサイルをシカゴとロサンゼルス、ニューヨークに落とす能力を備えることになれば、その時はこの狂った連中らとの交渉は効果がないだろう」と述べ、「北朝鮮の核脅迫と米国の人命被害を防げるなら、大統領として通常兵器を利用して北朝鮮の目標物を打撃する命令を下す準備ができている」と書いていた。実際に、トランプ大統領は1981年にイスラエルがイラクのオシラク原子炉を爆撃した例を挙げ、「国際社会から非難されたが、イスラエルは生存のためにするべきことをした」と評価した。

北朝鮮のミサイル乱射と米韓の合同軍事演習による「4月危機」は去ったものの、米国は北朝鮮がレッドラインを越えれば、いつでも先制奇襲攻撃できる体制を整えている。その証左を幾つか挙げれば;

▲米国の3大戦略爆撃機のひとつである「B-1B」2機が頻繁に朝鮮半島を飛来している。

今月20にも済州道の南側を経て日本海(韓国名・東海)に飛行して韓国空軍F-15K2機と共同演習を行っていた。「死の白鳥」と呼ばれる「B-1B」は最大速度マッハ1.2で1度の出撃で多量の爆弾を投下することができる。有事の際にはグアム基地から出発して2時間あれば韓半島での作戦が可能だ。

▲原子力空母「ニミッツ」が「カールビンソン」と入れ替わる形で西太平洋に入った。

米軍は横須賀を母港とする「ロナルド・レーガン」と合わせて再び二個群体制を維持することになった。「ニミッツ」は当初、中東に向かうものと見られていた。

▲駐韓米軍が全羅北道の群山基地に北朝鮮を精密打撃することのできる長距離ミサイル「JASSM」10機を電撃配備した。

「B-1」や「B-2」、「B-52」等の大型爆撃機だけでなく、「F-15E」や「F-16」などの戦闘機にも搭載可能なため、運用面での柔軟性は高い。長さ4.27m、射程距離370kmのこのミサイルは弾頭に目標物自動位置識別と探知機能を備えており、韓国側地域から金正恩委員長の執務室など北朝鮮の核心施設を精密攻撃することができる。一説では、配備されたのは射程距離900kmの最新のステルス長距離巡行ミサイル「JASSM-ER」の可能性も指摘されている。

(参考資料:北朝鮮に対する米軍の先制攻撃はいつでも可能な状態

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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