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「こんなの、おかしい」と思うなら 意見を伝えてPTAを改善する方法

大塚玲子ライター
お手紙や意見書だっていいのです(写真:アフロ)

 委員決めや部長決めを休んだ人に電話で役を押し付ける、みんなの前で「できない理由」を言わせて承認を求める……。今年もまた、PTAクラス役員決めの悲しい話が聞こえてきます。

 この春は「加入届を配る」「無理な委員選出をやめる」など、改善に向かうPTAも増えているのですが、その一方で旧態依然とした、あるいはむしろ劣化した冒頭のようなケースもまだ多く、PTA間での差が広がっている印象です。

 もし残念ながら、冒頭にあげたようなPTAにあたってしまった場合、一般会員は、どうすればよいでしょうか?

 あまりひどい場合は、退会もアリだと思いますが、もし「このままではいやだ」と思うのでしたら、ぜひご自分のPTAに改善を求める意見を届けてください。

 PTA、または会長さんが連絡先を公表している場合は、そこに届ければいいですが、もしも窓口が何も見当たらない場合は(現状そういうPTAも多いのですが)、学校を通して、会長さんや校長先生にお手紙(封書)を渡すのもいいでしょう。子どもが学校に行くときに手紙をもたせれば、担任の先生を経由して届くはずです。

 もしさらに余力があれば、PTA総会の場で意見を届けてもらえたらと思います。手紙やメールだけだと、その意見をどう扱うか(どこまで共有するか)は会長さん・役員さん次第です。総会の場では、より広範囲の人に、確実に情報を共有できます。

 筆者も以前、以上すべての方法(会長・校長にお手紙、総会で発言)でPTAに意見を伝えたところ、いくつか改善してもらうことができました。

 ただ実際のところ、総会で発言するのは、ちょっと度胸のいることです。発言が歓迎される雰囲気ではないことも多いので、筆者は毎回胃が縮みます(講演で話すほうがよほどラクです……)。

 そこで今年度の総会では、意見書をペーパー1枚にまとめて配布してみました。このやり方だと伝えたいことが確実に伝えられますし、「こちらをお読みください」と言うだけで済みます。いちおう事前に会長さんにも、こんな内容ですとお知らせしておきました。

 予算の用途など、すぐ確認できる内容は、その場で手を挙げ質問したほうがいいと思いますが、PTAの仕組みややり方の見直しを認める場合は、こんなペーパーを配り、「ご検討ください」と預けるのもアリかと思います。

 以下ご参考まで、筆者がサンプル用に作成した文書を掲載しますので、ご自由にアレンジして使ってください。会長さんや校長先生へのお手紙にも使えるかと思います。

〇〇小PTAへのご意見書 (〇年保護者・お名前 メールアドレス)

PTA役員のみなさまには、いつも〇〇校の子どもたちのためにお骨折りいただいていること、感謝しております。

このたび、PTA運営における法令遵守を求め、以下のお願いをいたします。

〇PTAが任意加入であると伝えること

 ~現状PTAは強制加入、義務と認識されており、さまざまなトラブルの原因となっています

  新入生保護者には入学式等で、在校生保護者にはお手紙等で、任意で入る団体であることを伝えてください

〇加入意思を確認のうえ、会員として扱うこと

 そのために、保護者・教職員に、入会届(確認書)を配布すること

 ~加入意思を確認せずに、会費徴収、委員決め等を行うことには問題があります

〇「必ず〇名出す」という委員会制度を見直すこと

 ~やりたい人がいない場合、やりたくない人がやる前提になっています

  「必ず〇名」をやめ、集まった人でできる活動をしてください

〇学校がもつ保護者の個人情報をPTAの用途で無断流用しないこと

 ~昨年5月から改正個人情報保護法が施行され、PTAも対象となりました

  現状、PTA会員が誰で、何名いるか、といった会の成立要件が、学校がもつ個人情報に依っており、問題があります

〇PTA会費を学校徴収金(学級費・積立金等)と分けて徴収すること

 ~抱き合わせ徴収はPTAが学校の一部という誤解を生みます

  過去の裁判では、単独の封筒で会費を集金していたことがPTA側に有利に働いた例もあります

〇非会員家庭の子どもにも区別なくサービスを提供すること

 ~会員限定サービスを行う団体ではない旨、よろしくご確認ください

※参考

熊本市教育長が市内小中学校長に出した通達(H30.3.23)

「学校におけるPTA加入世帯・非加入世帯への対応について(通知)」

1 保護者の加入の有無に関係なく児童生徒へは平等に対応する

2 PTAからの依頼については、全児童生徒が対象となる場合のみ対応する

3 学校からPTAへ依頼する場合にも、全児童生徒が対象となる場合のみ依頼する

  • 筆者の過去の記事を、引用元を添えたうえでプリント、配布していただいてもかまいません

(追記)

 何度も書いていることですが、PTAが現状こうなっているのは、過去70年のすべての関係者(保護者、学校、教育委員会、文科省等)の責任です。くれぐれも、いまの役員さんを感情的に責めることがないよう、お願いします。

ライター

主なテーマは「保護者と学校の関係(PTA等)」と「いろんな形の家族」。著書は『さよなら、理不尽PTA!』『ルポ 定形外家族』『PTAをけっこうラクにたのしくする本』『オトナ婚です、わたしたち』ほか。共著は『子どもの人権をまもるために』など。ひとり親。定形外かぞく(家族のダイバーシティ)代表。ohj@ニフティドットコム

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