6年生の担任の先生たちへ。もしクラスのなかに中学受験生がいるのなら

イメージ(写真:アフロ)

いよいよ中学受験が本番を迎えます。多分に釈迦に説法ではありますが、もしクラスのなかに中学受験生がいるのなら、聞いてほしいお願いがあります。

この時期、多くの中学受験生たちの恐怖、不安、焦り、そして緊張はピークに達します。

そのせいで、教室の中がざわつくかもしれません。入試当日だけでなく、それ以前の時期から学校を休み始める子もいるかもしれません。

で、ときどきいるようなんです。

「まったく、だから中学受験生は……」とか「受験のために学校を休むような子は……」などと、つい嫌みをおっしゃる先生が。

気持ちはわかりますし、中学受験生を特別扱いする必要はありません。中学受験をしない生徒だってたくさんいるわけですから、学校はいつも通りでいい。

でも、極度の恐怖、不安、焦り、緊張の中にあれば、大人だって、平静を保つのは至難の業。

中学受験生たちが浮き足立っているようなら、叱ったりなじったりしてさらにストレスをかけるのでなく、心が落ち着くような一言をかけていただけませんか。それが難しければ、せめてそっとしておいてもらえませんか。

入試が終わってから、休んでいた分の宿題のドリルの山を渡されたという話も聞いたことがあります。

中学受験生は、たいていの場合、限界近くまで勉強しています。そのうえさらにやらなきゃいけない宿題って、何ですか。それをやらせることで子供たちに伝えたいメッセージは何ですか。

「学校をサボった罰」ですか。「宿題は平等に課される苦役である」ということですか。

中学受験そのものや塾の存在に、否定的な考えをおもちの先生も多いことでしょう。その気持ちもわかります。小学生には過酷ですから。でもその過酷な状況でがんばっている子供たちには何の罪もありません。

中学受験そのものを嫌いでもいい。塾の存在を嫌いでもいい。こうやって偉そうなことを言うおおたとしまさを嫌いでもいい。だったら中学受験や塾や私を批判すればいい。

でも、いま、必死にがんばっている子供たちのことだけは、温かく見守っていただけませんか。

もしスポーツや将棋などの大会に出場するために、学校を休んだり、宿題をやる時間がなかったりする生徒がいても、クラスのみんなで応援しますよね。

それなのになぜ、中学受験生は、肩身の狭い思いや後ろめたい思いをしなければならないのでしょう。

人生には、脇目も振らずにがんばらなきゃいけないときがある。それを教えるのも先生たちの大切な役割ですよね。

中学受験生には、「いま」がそのときなんです。

できることなら、心身ともにベストコンディションで入試当日を迎えられるように、「がんばってるね」「応援しているよ」「体調には気をつけてね」と励ましていただけないでしょうか。

その一言が、ものすごい勇気になります。

早めに望み通りの合格がもらえれば、最初の2~3日間で中学入試が終了し、笑顔で学校に復帰できる子もいます。でも、不本意な結果をもらってしまった子供ほど、中学入試は長引きます。

立て続けに不合格をもらっても最後まで諦めず、歯を食いしばって、4日目、5日目の入試会場に向かう子供たちもいます。

泣いても笑っても、だいたい1週間ですべての結果がわかります。

お願いです。

壮絶な1週間を終えて、いや、すべてをかけた3年間を終えて、学校に戻ってきた子供たちを、どうか、大好きな先生の温かい笑顔で、迎えてあげてもらえませんか。

100%望んだとおりの結果を得られる受験生は3割もいません。もしかしたら、まだ結果を受け入れられず呆然としているかもしれません。家では親御さんが浮かない顔をしているかもしれません。

そんな生徒にこそ、「よくがんばったね。みんな待ってたよ」と、本当に小さな声でいいので、一言、声をかけてあげていただけませんか。

それだけで、その子も、笑顔になれます。

たとえほろ苦さを味わったとしても、その結果を正々堂々と受け止めて、新たな一歩を踏み出すことで、すべての中学受験は成功体験として終了します。

かわいい教え子さんたちが、その新たな一歩を笑顔で始められるように、ちょっとだけ、力を貸してあげてください。