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16連敗からチーム再建中 三遠ネオフェニックスの再起はあるか?

大島和人スポーツライター
写真=B.LEAGUE

ようやく今季2勝目も既に19敗

B1(Bリーグ1部)の2019-20シーズンは、レギュラーシーズンの3分の1が終わった。

2勝19敗――。「ダントツのビリ」という表現は日本語としておかしいが、三遠ネオフェニックスはそのような状態だ。開幕から勝ちに恵まれず、10月末にはブライアン・ロウサムヘッドコーチが退任。連敗は「16」まで続き、今季初勝利は開幕から2ヶ月が過ぎた12月7日のアウェイ、レバンガ北海道戦だった。

フェニックスの名にふさわしい再起はあるのか?それが気になって、筆者は16日の新潟アルビレックスBB戦を取材した。三遠はようやくホーム初勝利を挙げている。もっとも15日の初戦は三遠が65-83と破れ、16日も追う時間が長かった。

ホームで苦しい展開を勝ち切る

16日のリターンマッチ。前半は23-28のビハインドで折り返した中で、ポイントガードの寺園脩斗はこう考えていた。

「僕たちは3クォーターに弱い。まず入りをしっかりしようと思いました。出る人出る人がディフェンスを頑張って、(ディフェンスから)走る自分たちのバスケットボールができた。それがいい流れにつながった」

しかし流れは一進一退。第4クォーター残り5分0秒のオフィシャルタイムアウト時点で、チームは53-59と6点のビハインドを負っていた。

三遠はそこから岡田慎吾、寺園脩斗の3ポイントシュートなどで追いついて一気に逆転。残り3秒で新潟の柏木真介が放った「同点シュート」は入らず、三遠が67-64で勝ちきった。

平日開催とあって観客は二千人を割ったが、劇的な展開に豊橋市総合体育館は強烈に湧いた。

外国籍選手2名が加入

チームはまさに再建中だ。12月6日にミッケル・グラッドネスと短期契約を結び、3シーズンにまたがる在籍歴があるロバート・ドジャーも12月10日に復帰した。その二人が新潟戦では影の立役者になった。

新潟の強力なインサイドに対して、グラッドネス、ドジャー、太田敦也の3人がよく粘り、身体を張っていた。河内修斗ヘッドコーチはこう説明する。

「新潟のインサイドはフィジカルです。そこに対して40分間、昨日を入れると80分間フィジカルに戦ってくれたと思っています。こういった姿勢で守って、ファウルを吹かれない…という徹底もしてくれた。ひとりが止めて、上からもうひとりが叩いて、しっかりと3人目がシンクダウンして(腰を下ろして)リバウンドを頑張るところで、日本人も含めて連動が出てきた」

走るスタイルが明確に

ドジャーはオールラウンダーで、この試合は5ブロックショットを記録した。グラッドネスもオフェンスリバウンド4本を含む10リバウンドを記録。二人はBリーグの外国籍選手の中では細いタイプだが、走れて跳べる。

寺園はこう分析する。

「自分たちは展開の速いオフェンスをしたいと言われていたけれど、ガード陣とフォワード陣だけが速くてもチームのオフェンスは遂行できない。走る二人が入ってくれたので、チーム全員でランして、アウトナンバー(数的優位)で攻めるプレーが今後強みになってくると思う」

それでも観客数は増加中

クラブが集客に力を入れていることもあり、連敗の中でも三遠の観客数は逆に増えている。ホームゲームの平均観客数はここまで2620名。16日の試合も「悪い流れでも悪い雰囲気にならない」ブースターの後押しが選手の力になった部分は間違いなくあるだろう。

B1残留プレーオフ出場から逃れるためには、B1全体の14位以上まで浮上する必要がある。新潟、シーホース三河のような底力のあるクラブが残留プレーオフ圏内に沈んでいるのは不気味だが、立て直しの時間は十分にある。

寺園のライバル鈴木達也も怪我から復帰し、プレータイムを増やしている。最悪のスタートを切った三遠だが、反攻の機運は見て取れた。

スポーツライター

Kazuto Oshima 1976年11月生まれ。出身地は神奈川、三重、和歌山、埼玉と諸説あり。大学在学中はテレビ局のリサーチャーとして世界中のスポーツを観察。早稲田大学を卒業後は外資系損保、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を始めた。サッカー、バスケット、野球、ラグビーなどの現場にも半ば中毒的に足を運んでいる。未知の選手との遭遇、新たな才能の発見を無上の喜びとし、育成年代の試合は大好物。日本をアメリカ、スペイン、ブラジルのような“球技大国”にすることを一生の夢にしている。21年1月14日には『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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