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琉球から渋谷に移籍した山内 積極性を取り戻して6連勝に貢献

大島和人スポーツライター
(C)SUNROCKERS SHIBUYA

渋谷が6連勝 東地区の3強に肉薄

Bリーグの2017-18シーズンは9月末に開幕してまもなく2ヶ月が経つ。B1東地区は特に上位争いが激しい。14勝のアルバルク東京が首位に立ち、千葉ジェッツが12勝、川崎ブレイブサンダースとサンロッカーズ渋谷が10勝で続いている。(※11月18日時点)

渋谷は18日に島根スサノオマジックを下し、連勝を「6」と伸ばした。ただチームはキャプテンで正ポイントガード(PG)の伊藤駿が負傷で欠場中。広瀬健太も含めて主力二人を欠いて週末の連戦に臨んでいる。

主力不在の穴を埋めた新加入・山内の活躍

18日の勝利に大きく貢献したのがPG山内盛久。琉球ゴールデンキングスから移籍してきた27才だ。

彼は第1クォーターだけで12得点を挙げた。渋谷は22-15と7点リードで最初の10分を終え、それが72-62の勝利の導火線になった。

山内は渋谷に加入後、1試合平均17分強のプレータイムを得ていた。ただシーズンの4分の1を終えて「『落ちている』と自分の中で感じた部分があった」と言う。しかし伊藤選手が欠場したことで、山内は否応なくチームの正PGを任されることになった。

山内が取り戻した積極性

山内が失っていたのは積極性だ。彼は言う。「もっとチームメイトから『アグレッシブにシュートを打て!』『打て!』と言われるんですけど、それに対して結果が出なかった。少しずつ迷いが生じ始めて、シュートよりもアシストを優先していた。でも今日の試合からは外してもいいから思い切って打とうというメンタルで臨んでいた。それがいい形で出たのは良かった」

18日のホーム戦。15戦を終えた段階で今季の平均得点が「3.1」だった山内に対して、島根のディフェンスはどうしても警戒が甘くなっていた。山内はそれを逆手にとって第1クォーターだけでシュートを8本も放ち、しかも高確率で決めた。

山内はこう胸を張る。「自分は相手が捨てる部分だったと思う。前半に相手の作戦を狂わせた手応えがあった」

勝久ジェフリーヘッドコーチも山内についてこう述べる。「ゲームを作らないといけない、チームメイトをオープンにしなければいけないという責任を感じてプレーしているので、今までは自分が空いたときに打たないことがあった。今日はバスケットに向かっていく、空いたらシュートを打つ積極性が良かった。そうすると相手のディフェンスはそれにアジャストしないといけない。だから今度はまた別の味方が空きます。山内が空いたときに積極的に打ったのが、結果につながった」

フルコートの守備で味方のスティールを誘発

ただ試合を終えた彼とヘッドコーチが最初の口にしていたのは攻撃以外の貢献だった。山内の持ち味はフルコートで相手にプレッシャーをかけ続けるしつこい守備。それこそが得点以上に、第1クォーターの渋谷が試合の流れをつかんだ理由かもしれない。

勝久ヘッドコーチはこう説明する。「山内が最初からボールプレッシャーをかけてくれたのがすごく良かった。彼がフルコートでボールプレッシャーをかけると、全員がそれを見て『自分たちもやらなきゃ』という気持ちになる」

ベンドラメ礼生はこの試合だけで3つのスティールを記録したが、その理由をこう説明する。「僕はどちらかというとオフボール(ボールを保持していない選手)のスティールを狙うタイプ。ガードがプレッシャーを掛ければ掛けるだけ(相手の)パスは浮くと思うし、簡単なパスが回ってくる」

ベンドラメが「プレッシャーがあってのスティールなので、すごく感謝している。いいボールプレッシャーだなといつも感じています」と口にするように、山内を中心とした相手ガードへのプレッシャーが浮いたパス、スティールしやすいパスを呼び込んでいた。

山内の次なる「壁」とは?

山内にとっては一つ高い壁を乗り越えた試合だったのかもしれない。彼はこう口にする。「今日がやっと自分の感触を取り戻せた日だった。これがずっとずっと続けばいいなと思っているので、落とさないように頑張っていきたい」

山内は沖縄生まれの沖縄育ち。2010年に琉球の練習生になってからも沖縄一筋でプレーしてきた。積極性を取り戻した彼の次なる「壁」は、初体験となる本土の寒さかもしれない。

山内は苦笑交じりにぼやく。「ひとりだけ着こんで、手袋もしているので、みんなに『こんなんじゃ冬を越せないよ』と言われるんですけど、俺としてはもう冬なので……。でも(チームメイトは)まだ秋だと言っている。『冬』が想像できないので、怖いです(笑)」

スポーツライター

Kazuto Oshima 1976年11月生まれ。出身地は神奈川、三重、和歌山、埼玉と諸説あり。大学在学中はテレビ局のリサーチャーとして世界中のスポーツを観察。早稲田大学を卒業後は外資系損保、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を始めた。サッカー、バスケット、野球、ラグビーなどの現場にも半ば中毒的に足を運んでいる。未知の選手との遭遇、新たな才能の発見を無上の喜びとし、育成年代の試合は大好物。日本をアメリカ、スペイン、ブラジルのような“球技大国”にすることを一生の夢にしている。21年1月14日には『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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