【平成30年7月豪雨】弁護士会ニュースや各種窓口で生活再建の知識の備えを

広島弁護士会ニュースと岡山弁護士会ニュース

豪雨災害で被災された方々にお見舞いを申し上げます。

記録的豪雨で甚大な被害:広範囲に災害救助法等が適用

平成30年台風第7 号及び東日本から西日本に停滞する前線によって、6月下旬から各地で記録的豪雨となり、洪水や土砂災害が発生し、甚大な被害が起きました。7月10日時点で130名を超える方が亡くなり、安否不明・行方不明の方も数十人以上と発表されています。

7月9日までに、全国で8府県58市36町4村(高知県は4市1町1村、鳥取県は1市9町、広島県は9市4町、岡山県は12市5町1村、京都府は6市3町、兵庫県は9市6町、愛媛県は4市2町、岐阜県は13市6町2村)という超広範囲に災害救助法の適用決定がありました。加えて、7月10日までに、広島市、岡山県小田郡矢掛町、愛媛県西予市、京都府綾部市、兵庫県宍粟市には、被災者生活再建支援法の適用決定がありました(適用市町村の一覧については、内閣府(防災担当)のウェブサイト「新着情報」等を参照)。

生活再建制度の知識の備え

法律や制度を活用することで、様々な支援を受けられる場合があります。特に初期の段階から知っておくことで役立つと思われる知識を記載します。

「自然災害債務整理ガイドライン」(被災ローン減免制度)は、災害救助法が適用された場合に、一定の条件で、個人の住宅・車・事業等のローンなどを破産によらずして減免できる制度です。利用できるかをまずメインバンク等に確認してください。また弁護士などの相談を受けることが望ましいといえます。リスケジュールをするよりも先に、まずこのガイドラインの適用を検討してください。

災害救助法の「応急修理制度」により、家屋修繕費用の一部が支援される場合があります。自治体の窓口で利用できるかを確認してください。

○家屋被害の程度を証明する「り災証明書」(災害対策基本法)の入手も不可欠です。各自治体が発する情報に耳を傾けてください。認定に不服がある場合に再調査を求めることも考えられますので、家の取り壊しや撤去の前に写真撮影をしておくことも大切です。

○広島市等をはじめ、被災者生活再建支援法の適用があった自治体では、住家に著しい被害(全壊・大規模半壊)を受けた世帯について、「被災者生活再建支援金」(基礎支援金)が支払われます(全壊世帯の場合は最大100万円)。申請を漏れなく行ってください。仮に支援法が適用されなくても、何らかの独自支援が県等で行われる場合もあります。

○保険契約がある場合には、契約内容照会や保険料支払に関する支援があります。会社がわからない場合等も問合せができます。(生命保険協会損害保険協会)。

○公共料金・各種料金等の支払について猶予措置や支援がないかを確認することで少しでも再建に役立ててください(例えば携帯電話料金については、NTTドコモソフトバンクKDDI等)。

○中小企業・小規模事業者の方々への支援メニューを経済産業省・中小企業庁がまとめていますのでぜひチェックをしてください。

安全が確保でき、これから生活再建の第一歩を踏み出そうとするときには、生活再建に役立つ法律や支援制度の「知識の備え」が重要になります。自治体の発信や弁護士会などのお知らせに耳を傾けてください。

弁護士会による被災者支援活動

広島弁護士会は7月7日、豪雨災害に関連する相談料を無料にすることをいち早く発表しました。電話相談窓口も近々立ち上げます。7月10日には、被災された方の悩みに応える『広島弁護士会ニュース』をリリースしたところです。

広島弁護士会は、2014年8月豪雨による広島市豪雨災害(広島土砂災害)の際にも、平常時から構築していた行政や15の団体で構成される専門士業ネットワークを活用し、被災された方の相談活動や、復興まちづくりのサポート等を精力的に行いました。今回の早期の相談窓口の無料化も、広島土砂災害の被災者支援経験を活かしての判断です。

(参考記事)

広島土砂災害から1年 弁護士会が250件の災害無料法律相談の分析結果を発表

(※一部記事中のリンクが切れていることをご容赦願います)

広島弁護士会災害対策委員会委員長で、2014年の広島土砂災害の際にも相談活動と復興支援で中心的役割を果たした、今田健太郎弁護士から、以下のメッセージをいただきました。全文を掲載します。

今田健太郎弁護士の話

被災直後は、通帳や証券など大切なものをなくしてしまった、隣家の家具などが流れてきたが勝手に撤去してよいものか、実際には住むことができないのに家賃を払わなくてはならないのかといった悩みごとや、家屋内に土砂が流入しており生活再建の目処が立たない、働きに出かけられないので生活が苦しい等、様々な心配事が発生します。

弁護士は、実際に発生した紛争を解決するだけではなく、生活していくうえでの悩みや支援の方法についても、法律専門家としてアドバイスをすることが出来ますし、それによって、被災者の方々の不安を少しでも解消することができるということを、2014(平成26)年8月の広島市豪雨災害における支援活動を通じて、体感しました。

このたびの豪雨災害は、広域にわたっており、我々弁護士も移動手段の確保自体が難しい状況ではありますが、他の地域の弁護士や他士業とも連携しながら、早期の段階で、被災者の方々の不安を解消できるような相談体制の構築に努めていきたいと考えています。

こんなこと弁護士に相談する内容なのかな、といった悩みは無用です。とにかく悩み事があれば相談してください。是非、災害時にこそ、生命・身体・財産などの重要な権利を擁護することを、社会的な使命としている弁護士を、頼って頂けたらと願っています。

専門家の窓口で生活再建に向けた情報を得る

今回の豪雨被害は非常に広範囲・多地域に及んでいます。住まいの再建や支払い問題に関しては、各地の専門家や行政の窓口などに相談していただければと思います。なお、県を越えても弁護士の相談受付は可能です。

広島弁護士会に次いで、7月9日、岡山弁護士会でも弁護士による被災者相談の無料化を決定しています。そして同日のうちに、支援制度などを紹介する「岡山弁護士会ニュース」をリリースしました。また、愛媛弁護士会でも同様の取り組みをすることが決定しています。

情報を収集することで生活再建の第一歩に役立てていただければと思います。これから復旧・復興を支援する専門家の方々は、これらの支援制度の存在を認識しつつ、被災者のニーズをすくいあげてください。

(参考)

・内閣府ウェブサイト「被災者支援に関する各種制度」

【大阪北部地震】「生活再建」の支援情報を大阪弁護士会が発信 在宅被災者支援も必要に

【九州北部豪雨】生活再建の支援情報「福岡県弁護士会ニュース」(2017年7月10日版)発行

・岡本正「災害復興法学」(慶應義塾大学出版会2014年)、「災害復興法学2」(同2018年)、「災害復興法学の体系:リーガル・ニーズと復興政策の軌跡」(勁草書房2018年)